かながわ百景[33]

田浦梅の里から見る海とトンネル (横須賀市田浦)

JR横須賀線田浦駅から散歩するつもりで歩けば約20分。八百屋や魚屋やなど昔懐かしい店つくりに出会う。板張りの民家、ブロック塀ではなくて、生垣が続く家並みに昭和の光景を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。のんびりとした世界に入れる。

そうであるから、まだ寒いけど、日中はぽかぽか陽気の頃に出かけたくなるのが、ここである。…紅と白の梅の花咲く――田浦梅の里である。昭和9年に現天皇陛下の誕生を記念し、地元の人々が梅林組合をつくって700本の梅の木を植樹したことに始まるという。いまでは2700本というからみごとである。里の山に登れば三浦の海が見渡せる。梅に海、三浦の里にはよく似合う。遠くの海から近くに目を戻すと、京浜急行の電車がいまトンネルに入るところだった。この光景もまたいい。梅と海とトンネルと。いい組み合わせだ。目を瞑れば赤白青と暗闇を加えて昭和の世界に入っていく。

O/2008.12