[ぶつくさおばちゃんの独り言] 第17回(2007年8月掲載)

「ふるさとは、実家があってこそ思うもの」の巻

このところ毎年のように起こっている地震や豪雨の被害は、異常としか思えない。あっと言う間に自分の家が、土砂に呑み込まれたり、崩壊していく様を目の当たりにして、呆然と立ちつくす人々の様子がテレビに映し出されるたびに、本当に胸が痛む。


生まれ育った家というのは、特別な思いがある。

先日、従姉のアッコちゃんから電話があった。今は誰も住んでいない田舎の家をどうするかで、姉弟で意見が真っ二つに割れているのだと言う。


2年前に亡くなった叔母は、増改築を何度か繰り返したその家で、4人の子供を育てた。80歳を過ぎてなお、自分で居間の壁のペンキを塗り替えるほど気丈な人で、年に何度か里帰りする息子や娘、孫のために、家の手入れを怠らなかった。


長男は処分したいと言うが、女姉妹は大反対で、結論が出ないまま、かれこれ2年が経とうとしている。長女のアッコちゃんは、その間も時折里帰りをして、仏様をお参りしたり、家の中の掃除をしているのだと言う。


男と女の思いの違いだろうか。それとも、新たに一家を成した者と、嫁という立場にある者との違いだろうか。おばちゃんは、感情的にはアッコちゃんの気持ちがよく分かる。


もう、ン十年も前になるが、上京して間もなく、実家が建て替えをした。夏休みに帰ったはいいが、すっかり変わってしまった家に、当然、私の部屋はない。


言ってくれればさぁ、自分の部屋分ぐらい、費用は出したのに・・・」


とは言ったものの後の祭り。以来、たまに帰省をしても、なんとなくお尻が落ち着かない。


もし、家がそっくり無くなってしまったら・・・。もう、戻れる場所がないのだという喪失感は、言葉では言い尽くせないものがあるに違いない。



ぶつくさおばちゃんプロフィール

エッセイスト。雑誌・新聞社、住宅メーカーなどの編集業務に携わり、現在、エッセイストとして活躍。

 

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