[ぶつくさおばちゃんの独り言] 第19回(2007年10月掲載)

「安全神話の落とし穴」の巻

最近、新聞の折り込みに入ってくるリフォームチラシを見ていると、オール電化のオンパレードだ。電化住宅の売りと言えば、安心、安全、クリーンと思っていたら、最近は経済性や、災害時の復旧時間の早さがセールスポイントに加わった。


電気がガスや灯油と比べて経済的であると単純に言い切ってしまうのは、今ひとつ信じがたいので、これはいずれ詳しく聞いてこなければと思っているが、これまでに起こった地震報道等を見ていると、電気の復旧が一番早いというのは本当らしい。


そんな中、安全性を大々的にアピールしていたIHクッキングヒーターで「火災発生」というニュースは、おばちゃんにとっては、ちょっとした大事件だった。油を入れた鍋をIHクッキングヒーターにかけていて、ちょっと目を離している隙に引火したというのだ。


だって、雑誌でもショールームでも、「鍋底が一定の温度に達すると過熱防止センサーが働いて、ヒーターのスイッチが切れます。だから安全ですよ」と、これまでさんざん言ってたじゃないの。


ニュースのアナウンサー嬢が解説をする。


(1)IHクッキングヒーターはプレートの下にセンサーが付いているので感度が鈍いの。だから、鍋によっては実際の油の温度と過熱防止センサーとの間に大きな差が出ることがあるのよ。天ぷらなどを揚げる時は、メーカー推奨のIH専用の天ぷら鍋を使い、油も指定の量を入れ、揚げ物キーにセットして使いましょうね。


(2)油の量が少なかったり、指定以外の鍋も、発煙・発火することがあるので気をつけて。


(3)フライパンを最大火力で予熱すると短時間で高熱になり、そこに油を注ぐと発火のおそれがあるから気をつけましょうね。


(4)鍋底がくぼんでいたり、反っていると正しく温度を関知できなくなるから、鍋底の変形にも気をつけてね。


この解説を聞いていて少し腹が立ってきた。つまり、「消費者が使い方を間違えたのがいけなかった」と一方的に言っているようで、安全性ばかりを強調してきたメーカー、電力会社の対応には一切触れていない。


電磁調理器が他の調理機器より安全ではないと言う気はもうとうないし、「取扱説明書や製品にもきちんと注意を促していますよ」という言い分も分かる。


でもね、安全、安全と耳が痛くなるくらい言われると、使う側はつい、IHは万能だ!って気分になってしまって、注意も怠りがちになるのよね。


油の量とか、鍋の材質、形状とか、使い方にこれほど様々な制約のある製品であるのであれば、一般消費者へのデモンストレーションも大事かもしれないが、既購入者にこそ正しい使い方の講習会が絶対に必要だと思う。高齢者をターゲットにしているのであれば、尚更のことだ。


さらに、このニュースはその日一日だけで終わった。殺傷事件や暴力事件のむごたらしい映像は、ニュースやワイドショーやらで日にちをまたいで同じものが何度も繰り返し流されるにも拘わらず、世のおばちゃん達の生活に最も身近で、注意を喚起すべきこの手の報道は、たった一日で終わってしまった。むむむ・・・ 残念! 

ぶつくさおばちゃんプロフィール

エッセイスト。雑誌・新聞社、住宅メーカーなどの編集業務に携わり、現在、エッセイストとして活躍。

 

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