[設備と建材のトレンド情報] 第8回(2006年11月掲載)

屋根編

屋根は、あらためて言うまでもなく建物の頭部(頂部)を構成する部位です。瓦やスレートなどの仕上げ材と、その下に防水紙や下地材(野地板)、断熱材などが組み込まれ、仕上げ材と一体となって住まいを外側から覆い、風雨や暑さ寒さから守る機能を果たしています。屋根の仕上げ材は、素材やデザインによって外観イメージはもとより、街並みの美しさも左右するアイテムともなります。 
屋根の仕上げ材、いわゆる屋根材は大きく分けて、粘土系、スレート系、金属系、セメント系の4系統があります。日本で古くから使われてきた素材が粘土系の瓦です。といっても、一般の住まいに瓦が使われ始めたのは、明治時代に入ってから。それまでは、板葺きや藁葺きなどが一般的でした。現在多く使われている瓦屋根は、釉薬によってさまざまな色を出せる陶器瓦。価格は他の屋根材よりも高めですが、いぶし瓦などに代表される釉薬を塗らない無釉瓦よりは安く手に入ります。耐火性・耐寒性に富み、耐久性は半永久的といわれています。和瓦のほか、住まいの洋風化にともなってスペイン瓦や波形など洋瓦の種類も増えています。

瓦やスレートなど多彩な種類が

スレート系屋根材の代表が、化粧スレート。スレートは本来、板状の天然石のことですが、高価なためセメントに繊維を混入して天然石を模した化粧スレートが普及しています。価格が手ごろでデザインも多彩と人気が高く、最近では独自の製法を用いて吸水率・含水率を低くし、より耐久性を高めたものも登場。コスト的に瓦を上回るものもあります。
金属系はカラートタンに代表される屋根材です。軽量で加工しやすいため、複雑な形状の屋根に使われることが多いようです。最近多く見かけるガルバリウム鋼板は、溶融55%アルミニウムを含有した亜鉛合金めっき鋼板。外壁と一緒に使われることも多く、シンプルモダンの住宅などに映えて人気も高まっています。軽量なので地震に強く、機能・デザインともにトタンを超えた製品といえるでしょう。
屋根材のコストは、素材そのものだけでなく形状や勾配にも影響されます。例えば、寄せ棟屋根など複雑な形状よりもシンプルな形状の切り妻屋根などの方が割安。勾配がきつい、軒の出が深い、屋根の重なりが多いなど、複雑な屋根は工事にも手間がかかり、施工面積も増えるのでコストを上げる要因になります。屋根材は使う面積も広いため、わずかな単価の差が屋根材のコストに響いてきます。

環境問題の視点も採り入れて

“クールルーフ”という言葉をご存じですか?東京都がヒートアイランド現象の緩和策として打ち出した施策、「クールルーフ推進事業」に使われてクローズアップされました。具体的には屋上緑化や高反射率塗料などで屋根を被覆した建物のことをクールルーフといい、その所有者に対して費用の一部を補助するという施策です。屋根は降り注ぐ太陽の光をまともに受け止めるため、夏はコンクリート面の場合で表面温度が約60°にも達します。クールルーフにすることで、緑化面では約35°、高反射率塗料面で約47°の表面温度にとどめられ、室内の温度上昇も抑えられるため省エネ効果も期待されています。
 ちなみにヒートアイランドとは、都市部のアスファルト舗装やビルの冷房の排気熱、車の排気熱などにより、夏になると周辺地域よりも気温が数度上昇する現象のこと。夏の平均気温の上昇や熱帯夜の増加のほか、局地的な集中豪雨などさまざまな環境問題を引き起こすといわれています。2005年10月から始まったばかりの施策で、しかも都内23区のうち中心部の7区を対象としたものですが、オフィスビルや工場、集合住宅のほか、戸建て住宅も対象になっています。屋根材を考えるときの選択肢の一つとして、今後全国に広がっていくことが考えられます。
また、環境への配慮という点からは、太陽光発電システムも屋根材選びに大きく影響します。屋根の上に太陽電池モジュールを設置する従来の方法に加えて、最近では屋根一体型のシステムも増えているからです。屋根と一体になった太陽電池モジュールは、デザイン的にも人気を博しています。
 このように、住まいの外側を覆う屋根材は環境への影響も著しい素材。これから新築を考える場合、こうした視点も採り入れながら屋根を考えてみてはいかがでしょうか。

伝統の落ち着きと凛とした美しさが漂う
「清箔」
モダン建築にもフィットするナチュラルな風合い「ノウム」
写真提供(2点とも)/神清

香川喜久江プロフィール

[かがわ・きくえ] 住宅ライター
住宅展示場の企画運営を経て、ライターに。幅広いテーマで全国各地を飛び回る。

 

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