[設備と建材のトレンド情報] 第9回(2006年12月掲載)

トイレ編

環境に配慮。節水機能がたかまった

「水の惑星」といわれる地球。ところが、その多くは海水で、我々が日常使うことのできる淡水は全体のわずか0.01%しかないということをご存じでしょうか。それは20L(ペットボトル2L×10本)の水に換算するとティースプーン1杯にも満たない量ということで、これを世界65.6億の人が使っていることを考えると空恐ろしくなります。

家庭で最も大量の水を使うと言われているのが、今回のテーマであるトイレ。このためトイレのメーカー各社では、いかに少ない水で汚れをきれいに落とせるか、さまざまな企業努力が行われてきました。その結果、洋風便器が出始めた当初は1回の大洗浄に16?の水量を必要としたものが、徐々に減少して2006年には半分以下の6Lを実現。これは家計の上でも大きなメリットで、大洗浄が6Lでできる節水型便器の年間水道料金は約8125円と、旧来型(13L)に比べて約1万2000円も節約できる計算です(INAX調べ)。

コンパクトトイレがゆとりをもたらす

節水のほかにも、トイレの機能は格段に高まっています。そのひとつがコンパクトタイプのトイレ。通常の腰掛けタイプ洋式便器には、洗浄用の水を貯めたタンクがついていますが、このタンクをなくしたコンパクトトイレが約5年前から登場。タンク付きよりも約14Lも奥行寸法を減らすことができ、狭いトイレを広く使えます。空間にゆとりを持たせて居心地を高めることができ、人気の商品になっています。便器自体は大型サイズと普通サイズがあり、体型やトイレの広さで選択することができます。

脱臭機能や抗菌仕様で、設置場所も自由に

また、掃除のしやすさも高まっています。陶器自体に水アカや汚れを寄せ付けない機能を備えたり、上から流した水を円を描くように旋回させて流すなど、水流の流し方を工夫して汚れを残さずに洗い流す工夫をしています。さらには、従来の便器にあったフチをなくしたり、便器外側も凹凸をなくしたデザインにして掃除しやすい工夫をしています。つい最近登場したのが、汚れをはじく新素材を採用し、気泡入りの水で隅々まで掃除してしまうといった機能を備え、「3ヶ月間ブラシ掃除が不要」という全自動お掃除トイレ。面倒な掃除が3ヵ月に一度でトイレをきれいに保てるとあって話題です。抗菌仕様や脱臭機能などは、いずれも各社で搭載しています。

 かつては家の片隅に押しやられていたトイレですが、イヤなにおいがほとんど気にならなくなってきたことで自由に設置場所が選べるようになっています。寝室の隣に設けても抵抗感がなくなったことは、高齢化がスピードアップしている今、朗報といえましょう。

香川喜久江プロフィール

[かがわ・きくえ] 住宅ライター
住宅展示場の企画運営を経て、ライターに。幅広いテーマで全国各地を飛び回る。

 

バックナンバー