このところ新築したお宅の取材にいくと、蓄熱暖房機を目にすることが多くなりました。
オール電化にするお宅が増えているせいもあるのでしょうが、吹抜けのリビングなどに蓄熱暖房機がデ〜ンと据え付けられています。サイズは大きいもので、横1.5メートル、奥行は30センチ弱、高さは64センチほど。リビングに面したキッチンのカウンター横やリビング壁面に置かれていて、真っ白な本体はストーブというよりおしゃれな現代風の飾り棚というイメージ。千葉県のあるお宅では、これ1台だけで吹抜けでつながる2階建ての住まい全体が暖房できると話していました。寒がりの私にとっては、魅力的な暖房機です。
底の方から温風を吹き出すのですが、目の前に立ってもそれほど風量は感じません。室温と設定温度の差があるときは、自動的にファンが作動して温度調整をするのだそうです。
蓄熱暖房機のなかには、蓄熱効果の高い蓄熱レンガが入っています。このレンガを電気で暖めることで熱を蓄えるしくみ。およそ600~700度に加熱された蓄熱レンガは、昼間にゆっくりと放熱して暖房を行います。もちろん蓄熱しながらも放熱するので朝もぽかぽか。夜間時間帯の電力使用料金が割安になる電力契約をしておけば、蓄熱は昼間時間帯よりも約1/3〜1/4も安い電力で行うことができます。これで1日の暖房エネルギーがまかなえるわけで、かなり経済的といえるでしょう。
住まいの条件としては、高気密・高断熱であること。そうでなければ、せっかく蓄えた熱もあっという間に放熱してしまい、効果を発揮できないのです。また、間取りも空気の自然な流れを考えたオープンなスタイルにしておくことが大切です。
蓄えた熱は輻射熱と自然対流により、家中を暖房します。輻射熱とは、遠赤外線のように柔らかく全体を包むような熱のこと。物体から熱波長で放出する熱が、部屋の壁や天井、家具などの物体に当たってエネルギー変換を起こし、部屋全体をほとんど均一の暖かさに保ちます。このため、空気が乾燥したりほこりが舞うこともありませんし、燃焼しないので空気が汚れる心配もなく、水蒸気も出ないのでカビ・ダニの発生も抑制します。もちろん燃焼音などもなく、とても静か。しかも、燃焼部分がないため20年以上の耐久性があり、定期的なメンテナンスもほとんど不要だそうです。
良いことばかりのような蓄熱暖房機ですが、最も大きな難点は「夏は使えないこと」。重いものでは300kg以上もあるので、住まいの設計時にきちんと配置する場所を決め、据付時には床や壁を補強する必要があります。地震時は基本的にセンサーが作動して運転を止めますが、転倒防止金具などで床面や壁面にしっかりと固定しておいた方が耐震対策になります。
幅50〜60センチほどの機種や奥行20センチ程度のスリムな機種もありますので、これらは使わない季節は移動することも可能です。ただどんなに小さくても60kg程度の重さはあります。邪魔にならない場所を選んで配置し、使わない季節も一定の場所に置いておいた方が良さそうです。
また、蓄熱暖房機を導入した人の話によれば、寒い冬場に蓄熱しすぎてしまうと、思いがけず暖かい陽が射した昼間は放熱温度が高すぎる場合もあるようです。窓を開けて熱い空気を逃がすなど、人知れずの苦労もあるとか。ただ秋口や春先など気温の変化が激しい季節は、蓄熱量を自動的に調節するシーズンセンサーという機能を持っているものも。余分な蓄熱をしないので省エネになるそうです。
![]() 白山製作所のホームページより 蓄熱式電気暖房機:RDFー4040シリーズ |
(2007.12)