「色彩デザインの仕事をしています」というと、多色づかいで派手になるのではないか、奇抜なことをされるのではないか、と思う人も多いようです。デザインを「装飾」、つまり飾り立てることと勘違いしているからでしょうが、環境における色彩デザインは、そういうものではありません。むしろその逆、飾り立てるのではなく、「騒色」をなくすことです。それは、整理整頓すること、色を調整すること、つまり、多くのデザイン構成要素を絞り込んでいく「マイナスのデザイン」なのです。けれど、最初はどんなに整理された家でも、日常生活を送っているうちに、どうしてもモノが増えて散らかってしまうのも現実です。それらを、すっきりすさせることはできるのでしょうか。今回は、そんなマイナスの色彩デザインについて話をしたいと思います。
よく、デザインが良い、悪い、このデザインが好き、嫌いとかいいますが、何がよくて、何が悪いのか考えてみたことがありますか?そう、デザインというのは、それらを構成する要素(色、形、素材、大きさ、方向性)をどのように組み合わせていくかによって、デザインの良し悪しが決まります。インテリアの場合も、エクステリアの場合もそのコツを知っておくと、空間をまとめるのに役立ちます。
簡単な図で説明しましょう。図1は、さまざまな要素がバラバラに置かれたもの。デザイン性は感じられません。図2は、図1の共通した要素を抽出して、一定の法則に基づいて並べ替えたもの。
いかがですか?無秩序なものに規則性がでてきたでしょう。これは色や形の共通項を抜き出し、縦方向に整え、それ以外の要素に変化を与えたからです。そこに秩序が生まれ、デザイン性がでてきました。
つまりデザインをまとめるコツは、デザインを構成する要素のいくつかの要素を絞り込んで、それ以外の要素に変化をつけ、繰り返し使うことなのです。そうすることで空間にリズムとバランスを生み出し、調和感をつくります。それはインテリアをまとめる場合も、エクステリアでも同じこと。たとえばイラストの場合、ソファの縞の数色を抽出して繰り返し使い、花瓶やテーブルランプなどは縦にリズムをつけています。ソファの縞模様も線をなぞると上下に目がいきます。このように方向性を限定し、多色であっても、それ以外の色は一切使わないように要素を絞り込むと、統一した中にも変化でて、まとまり感を生み出すことができるのです。



[かさい・きみこ] (有)色彩環境計画室代表/アメニティ&カラープランナー。
心理学専攻後インテリアデザイン、色彩、照明を学ぶ。嶋佐知子氏に師事しインテリアデザインを、ジェリィ・フォリー氏からはカラーデザイン学を学び,1993年独立。1994年(有)色彩環境計画室を設立。住宅、病院、施設、ホテルなどの「快適な環境づくり(内外装)」を心理的+生理的+機能的+美的な視点から理論的、総合的に色彩設計していく。他方、専門家や学校教育における「まちの環境色彩教育」の必要性を提唱・実践中。
色彩環境計画室 http://www.sikisai.co.jp