[葛西紀巳子の暮らし色いろ] 第7回(2006年10月掲載)

学校の色を変えよう!

学校の施設環境を変えよう!」今回は、地元の中学校で活動している「ザ・ペインターズ」についてご紹介することにいたしましょう。

 色は心に影響を及ぼすということは、皆さまもすでにご承知のことでしょう。特に、感受性がもっとも豊かな小、中学生の時期こそ、 “心の状態に適応した色彩環境づくり”は重要です。色の使い方によっては色彩が心身に有効にはたらくことも、その逆もあるからです。

欧米では、こうした色彩の効果に着目して、子供の発達段階に対応して学年ごとに教室の色を変えているところもあります。けれど、日本の公立学校は、どこも白い壁が一般的。或いは、廊下の壁面を腰から上下2色に色分けする程度です。そこにわずかでも明るい色があれば、楽しい気分にもなって、学校に通いたくなるに違いありません。こうした子供たちの心理や行動を把握した色彩計画が学校環境には必要なのです。

そんな思いから提案したのが「ザ・ペインターズ」。生徒と一緒に廊下の壁の色を塗ろうというものです。

ここでは教職員や生徒だけでなく、地域のボランティアやPTAなどにも積極的に参加していただいています。もしそのなかに塗料関係者がいたなら、そこから塗料を購入し、代わりに技術指導の協力もお願いします。それは、住民が学校に関心を寄せるきっかけと、相互間交流によって地域が子供たちを見守ろうとする意識の芽生えも狙いにしてのことです。

作業は現状の壁の色を調査することから始めます。そして現況に対する子供たちの感想や意見を聞き、どんな色にすれば問題点が解決できるかを一緒に考えます。

そのような環境条件や機能などを勘案しながら適切な色を選び出し、みんなで塗装作業を始めていくのです。終了後、自分たちの手で学校が美しくなったことで生徒の登校拒否が減ったということも聞きました。なかには職業意識が芽生えた生徒もいました。

今、この活動は他校にも広まっています。未来を担う子供たちの学校環境づくりは重要です。もはや公立学校を“効率学校”にしてはなりません。みんなでつくる学校。生徒参加の学校づくりは、色彩環境の側面からもじっくり動き始めているところです。

 

 

葛西紀巳子プロフィール

[かさい・きみこ] (有)色彩環境計画室代表/アメニティ&カラープランナー。
心理学専攻後インテリアデザイン、色彩、照明を学ぶ。嶋佐知子氏に師事しインテリアデザインを、ジェリィ・フォリー氏からはカラーデザイン学を学び,1993年独立。1994年(有)色彩環境計画室を設立。住宅、病院、施設、ホテルなどの「快適な環境づくり(内外装)」を心理的+生理的+機能的+美的な視点から理論的、総合的に色彩設計していく。他方、専門家や学校教育における「まちの環境色彩教育」の必要性を提唱・実践中。
色彩環境計画室 http://www.sikisai.co.jp

 

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