[工務店とリフォーム] 第35回

「リフォームはおもしろい」そしてバトルは続く

●IHかガスかで揉める

ある友人夫婦曰く「リフォームはおもしろい」と、そのわけは、「ここをこうしようと決めて、それに向かって夫婦で邁進する過程がワクワクする。終わってしまうと達成感を味わうまもなく、脱力感を感じてしまうこともある」という。

どうやら、この友人夫婦は、リフォーム計画を実践することで夫婦の絆を確認し合っている節がある。お互いケンケンガクガクで意見を戦わせるようだ。時には取っ組み合いのケンカになることもあるというから凄い。

とはいっても、決して仲が悪いわけではなくスポーツ感覚でお互いじゃれ合っているのではないかと、私は想像している。

キッチンをリフォームした時のことである。いま流行のIHヒーターにすべきか、昔ながらのガスにするべきかで揉めた。どちらも、それぞれ長所短所があるわけですが、奥さんはIH派、旦那はガス派であった。

「IHにしないのなら、キッチンをリフォームする意味がない。これだけは譲れないわよ」

「バカいうんじゃないよ、ガスでこそ美味しい料理ができるんだ。現にわが家では電気釜よりもガス釜で炊いたごはんが旨いということで、以前からそうしているではないか」

「炊飯器の話しをしてるんじゃないわよ。いろいろな調理をするコンロの話しをしているんだから」

「だから、米だってそうなんだから、他の料理もガスの方が旨くなるちゅうの…」

「ふん、IHでつくったものを食べたこともないくせに、よくいうわよ」

「そんなもの、食わなくたって分かるちゅんだ…」

●ケンカ両成敗の製品

こんなバトルが一時休戦も含めて数ヵ月以上も続くという。何ともお互いエネルギーに満ちあふれています。私など、すぐにギブアップして、好きなようにしてくれ、と逃げ出してしまうでしょう。

それはともかく、この友人夫婦の結末はどうなったのかというと、結局、長い取っ組み合いのケンカに疲れ果てて、キッチンカウンターにIHとガスの両方をビルトインしてしまったのです。

ケンカ両成敗にうってつけの製品があったのです。ドイツ製で高額な高級キッチンですが、奥さんも旦那も大満足。めでたし、めでたしです。

その後、さぞかし夫婦仲良く美味しい料理を楽しんでいる、と思いきや蜜月時代はそう長くは続かなかったようです。また、新たなリフォームを思いついたからです。

でも、友人夫婦の「リフォームはおもしろい」という本当の意味が分かったような気がします。私にはとてもマネなどできませんが、これからもリフォームを楽しんでくれ、とエールを送りたい。


IHとガスの両方をビルトインしたキッチン

(2009.02)

松下 寛光プロフィール

[まつした・ひろみつ] 住宅アナリスト 1948年札幌生まれ。住宅産業新聞編集長を経て1993年独立、住宅から森林、環境問題まで幅広いジャンルで評論活動を展開している。プロデュース会社(有)インパルス代表取締役。
インパルス・ハウジング・ネット http://www.impulse.co.jp

 

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