[リフォームあたふた記] 第11回(2007年05月掲載)

シロアリ騒動

家の病発見に毎日掃除をしていこうとO氏は思った

●プラス発想でいこう

シートで覆われた浴室――「病室みたいだな、俺は重病なのか」と考えたり、「異空間をさまよう私」と空想したり、それはそれなりに楽しむO氏であった。だが家族はというと、「いつまでシートを貼っておくのかしら」と不評、鬱陶しいようだ。

おっとお湯かけちゃったよとシートを点検、大丈夫だと頷いて、今度はちょぽりちょぽりと身体に湯をかける。楽しそうなO氏である。

リフォームの達人O氏の楽しみも永遠に続くわけではない。ふと、このままシートを貼ったまま暮らそうかと考えていたO氏であったが、3日後、仕事から帰ってみるとシートはなかった。タイル屋の主人がはがしていったという。O氏の楽しみは奪われたが、家族は「これで終わった」とホッとした。

リフォームという真剣勝負の戦いは終わった。その工事の期間中をたいへんだと思うか、楽しいと思うかは大きな違いがある。楽しく思えばプラスの発想となり、リフォームの質もあがっていくだろう。そんなことを学んだO氏であった。

●シロアリ工事総額74万円

リフォームの戦いすんで日が暮れて、次にやってきたのが請求書。これがなければリフォームはもっと楽しいと思うO氏。N棟梁から届けられた請求書をそっと開くと「44万円」と書かれてあった。

どんな工事をやってもらったのか、O氏は思い浮かべた。


・浴室の腐った根太の取替え
・浴室のドアを取り外し、壁にする作業
・洗面室の床張替え
・床に4カ所穴を開け、ふたを作ってもらう作業
・玄関庇の張替え(杉板)
・洗濯機パン(台)の設置
・タイル貼り工事


44万円というのはこれらタイル工事を含む額。これにシロアリ駆除の費用が30万3187円(28.8坪×単価10,500円)加わるので、合計74万3187円となった。

ウーン、掛かるもんだ、とO氏はつぶやいた。

「シロアリ飛んで、74万飛んだ」

金がふわふわ飛んでいく光景をO氏は想像した。

金を飛ばさないためにも、家をしっかり守ろう。そのためにも家の掃除を毎日やろうとO氏は考えた。そして「みんな掃除だ」と語った。何でと家族は言う。どうもO氏の発想はいつも飛躍しており、ついていけないのである。

そこでO氏は説明をした。毎日掃除をきちんとやっていれば家の中はきれいだ、これはいいことだ。そして掃除をしていると家の異変に気づく。床が壁が塗れているとか、変な音がするとかわかる。そこが大事なんだ、病の早期発見は掃除からなのである。

いいことを言うなーとO氏は自画自賛。だが、その日からO氏は掃除を義務付けられた。

(おわり)

岡田 憲治プロフィール

[おかだ・けんじ] 住宅ジャーナリスト・NPO法人埼玉住まいの情報ネットワーク代表。
辛口『野次馬住宅時評』を発行。著書に『住宅のお値段・原価の秘密』『住宅業者の良し悪しがピタリわかる本』『住まいたちの半世紀』など。近著『昭和の住まい学』。
野次馬住宅net http://www.tcat.ne.jp/~yajiuma

 

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