[リフォーム旬刊タイムス] 第5回(2006年8月掲載)

住まいのかんたん暑さ対策と省エネリフォーム


関東地方にもやっと梅雨明け宣言され、いよいよ暑い夏が本格的にやってきました。梅雨真っ盛りの先月、西日本を中心に大雨による大災害が相次ぎ、異常気象の現象は地球温暖化のせいだといわれ、温暖化防止のため省エネを真剣に考える人も多いようです。家族が顔を合わせる機会が増える夏休みのこの時期、リフォームを検討する絶好のチャンスです。その際には、冬の寒さ対策も含め省エネリフォームもぜひ検討課題に入れたいものです。今回は住まいのかんたん暑さ対策と省エネリフォームについて考えてみました。

1.住まいの性能をアップする省エネリフォーム

住まいの省エネとは具体的にどのようなものでしょうか?
住まいを省エネルギー対応にするには、室内温度をできるだけ一定に保つよう高気密・高断熱で、季節ごとの気温の変化に影響されにくい構造が肝要です。そしてエアコンなど設備機器の効果を上げエネルギー使用量を減らすことが基本。家の隙間から流入・流出する空気量を少なくし、窓や壁から伝わる室外の温度変化の影響を最小限にするものです。
省エネで最も簡単で効果的なのが、窓・玄関ドアなどの「開口部」のリフォームです。窓は小さなものでもガラス部分等を通じて熱が外へ逃げやすく、また外の温度が室内に入りやすい部分です。従って窓の断熱性・気密性を高めることは、住宅の省エネルギー化に大きな効果が期待できます。ペアガラスなどの断熱サッシに変更したり、室内側に内窓を取付けるという手法などがあります。
まず、手軽にできて住宅の断熱効果が高い、窓まわりの省エネ対策から始めましょう。窓まわりのリフォームは、どれも比較的簡単で工期も一日程度と短めなので、省エネリフォームへの第一歩として検討してみてはいかがでしょうか。

2.お手軽な窓回り省エネリフォーム

省エネのポイントは「開口部」

日差しを遮るのにもっとも一般的なのが、窓の内側にロールスクリーンやブラインド、カーテンなどを取り付ける方法です。インテリア性が高く、目隠しとしても重要な役割を持っているため、多くの家庭で取り入れられており、手軽に設置できる遮熱の第一歩です。ロールスクリーンは、日射をカットするほか熱の出入りを防ぐのにも有効です。大がかりなリフォームをしなくても、壁や天井に取り付けるだけで、通気をコントロールしながら部屋の仕切りや目隠しとしても有効です。

ロールスクリーン

「ロールスクリーン」とは、コードを使ってロール状の布を引き下げたり、巻き上げたりして開閉するカーテンのこと。吊りカーテンに次いでポピュラーなスタイルです。

サンシェードとブラインドシャッター

効果的に遮熱をするには、室内に入る前に日差しをシャットアウトすることが大切です。ブラインド(直射日光49%カット)は、設置方法も簡単です。サンシェードや外付けのブラインドシャッター(直射日光を82%カット)なら、季節や時間帯に応じて自由に開閉できるので、窓の外側でしっかり遮熱し、冬は暖かい太陽の熱を取り込めます。ブラインドシャッターは、防犯性に優れ、閉めたままの状態でも通風や採光を調整できます。 サンシェードなら約半日で取り付けができます。
*サンシェード
ガーデンのアプローチ、お子様の遊び場やプールなどに利用し日よけ対策、車のパーキングエリアでの日よけにもGOODです。木陰のような快適な空間ができ、その下の人々や植物を強い直射日光から守ってくれます。

ひさしとオーニング(日よけテント)

昔の日本家屋にはどこにでも設置されていた庇は、伝統的な方法で直射日光をよせつけない優れものです。太陽の光を高いところで遮ることができるため、遮熱方法としては非常に効率がよく、サンシェードやシャッターよりもさらに高い効果を発揮しています。
古くからヨーロッパで使われているオーニング(直射日光を95%カット)も、ガーデニングブームの影響からテラスやバルコニーで使用する家庭が増えてきました。窓の外側から日差しや西日をシャットアウトするオーニングや庇があれば、快適に過ごせ、結果的に省エネにも貢献します。
また、ガラスに貼るだけで日射を調整できる遮熱フィルムや、遮熱タイプのガラスも人気があります。
*オーニングとは、日差しを外部で遮る可動式テントのことです。ヨーロッパが発祥の地で約20年前に日本に登場しました。

3.複層ガラスと断熱サッシ

断熱性だけでなく、さまざまな機能を持ったものが複層ガラスです。さらに2枚のガラスの間に乾燥させた空気を封じ込めて熱を伝えにくくした複層ガラスに、断熱タイプのサッシを組み合わせれば、断熱性が大幅にアップします。サッシまわりの目に見えないすきまから空気が漏れにくくなるため、気密性も高まるのです。

省エネ向きの断熱サッシ

サッシには戸建住宅(木造)と集合住宅(非木造)の住宅に対応したサッシがあり、サッシの材質による分類には、鋼製(スチール)、木製 ステンレス、樹脂があります。サッシの仕様による分類では、一般サッシ ─ 特殊な性能を有していない一般的なサッシ。防音サッシ ─ 外部からの騒音を遮断することを目的として設計され、規定の遮音性能を有するサッシ。断熱サッシ ─ 熱移動を抑えることを目的として設計され、省エネルギーと居住性向上に役立ち、規定の断熱性能を有するサッシ。改修用サッシ ─ ビルや木造住宅に取り付けられている古いサッシや建具を、躯体などを傷めず取り除いて取替えができる特殊なサッシ―があります。これまで一般住宅で広く採用されてきたのは、アルミサッシと単板ガラスの組み合わせでしたが、結露が起こりやすいという問題がありました。そこでガラスを複層ガラスに替えて断熱性を高めたのがこのタイプ。複層ガラスは単板ガラスより熱伝導率が低く断熱性に優れているため、最近は多くの新築住宅や大半のリフォームでも取り入れられています。

アルミ熱遮断構造サッシ

アルミ熱遮断構造サッシとは、室外側と室内側に分離させたアルミの間に熱を遮断するための樹脂素材をはめ込んだもの。軽くて扱いやすく、耐久性に優れているアルミサッシのよさを生かすと同時に、熱を伝えやすいという短所をカバーしています。断熱サッシの中では比較的手軽に取り入れられるので、リフォームする家庭が増えてきました。

アルミ・樹脂複合サッシ

特殊な構造によって室外側はアルミ、室内側は樹脂のサッシをはめ合わせたサッシ。樹脂は触ったときにアルミのような冷たさがなく、柔らかい感触に仕上がるのが特徴です。また、和室でも洋室でもマッチするインテリア性の高さもポイント。表面に特殊な金属膜をコーティングした高断熱複層ガラスを入れて、断熱性をより高いタイプもあります。

樹脂サッシ

熱伝導率がアルミの約1000分の1である樹脂を主部材としたサッシ。樹脂は木材とほぼ同じぐらい熱を通しにくく、高断熱複層ガラスを入れると寒冷地でも高い断熱効果が得られます。強度を保つのに面積を必要とするため、ガラス部分の面積がせまくなってしまうという難点もありますが、室内側が樹脂製で冷たさがないため、本格的に開口部の断熱を考えている方にはおすすめです。

木製サッシ

熱を通しにくい性質を持つ木材を主部材としている木製サッシ。断熱性に加え、木材には湿度を調節する働きもあるので、結露対策に優れた効果を発揮します。ほかの素材にはない自然のぬくもりは柱や家具との相性もよく、木造住宅のインテリアにピッタリです。複層ガラスを入れるためにサッシを取り替えることができない場合、2枚のガラスに真空層をはさみ込んだガラスを採用すれば、サッシの厚さを変えずに断熱性能を向上できます。
*複層ガラス
複数の板ガラスの間を密封した、断熱・遮音に効果的な窓ガラス。ペア-ガラス。難しい定義によれば、複層ガラスは、2枚以上の板ガラス、加工ガラスまたはそれらの表面に光学薄膜を加工したものを一様の間げきをおいて並置し、その間げきに、大気圧に近い圧力の乾燥空気を満たし(以下、中空層と呼ぶ。)、その周辺を封止したものです。

4.その他の省エネリフォーム

省エネリフォームによる効果は、エネルギー使用量の低減だけでなく別の効果もあります。例えば、窓へのペアガラスの採用により、断熱性のアップに併せて防音性が高まります。また、室外の温度変化に影響されやすい浴室の断熱性を高めるリフォームにより、各部屋による温度差を小さくすれば、高齢者の身体に与える負担も軽減されます。

窓の内側に後付けの窓

ガラスやサッシは取り替えずに、すきま風や結露を抑えたいときにおすすめなのが後付けできる内窓です。既存の窓に内側から樹脂製の窓を取り付けて“二重窓”にするもので、断熱性、気密性、防音性を高めることができます。工期の目安は約半日。引き違い窓や開き窓など、取り付けられる窓の種類には制限がありますが、簡単リフォームのひとつです。

玄関付近の寒さ対策

室内の温度を適度に保って快適な環境を整えるには、窓と同様にドア部分でも熱の出入りをコントロールすることが必要です。新しいドアに取り替えて、夏は涼しく、冬は暖かい住まいづくりを目ざしましょう。中でも玄関と勝手口は外気が入りやすいため、熱を通しにくい素材や構造であることが望まれます。玄関は住まいの”顔“なのでデザインや重厚感も大切ですが、断熱性のほか防犯面での性能も忘れずにチェックしましょう。

勝手口

玄関と同様に勝手口は開閉回数も多く、家の中でも外気の影響を受けやすい。そのため従来の一般的なアルミ製ドアは、近くに立つとひんやりし、表面に結露を起こすケースがみられました。しかし、同じアルミ製でも内部に断熱材をはさみ込んだり、ガラス部分に複層ガラスを採用した断熱タイプのものにすれば、熱の出入りを防ぐことができます。

5.床・壁・天井のリフォーム

開口部以外では、壁・床・天井などに断熱材を設置したり、結露を防止するための防湿フィルムを設置するなどのリフォームがあります。

床のリフォーム

地面から伝わる冷気を床下でシャットアウトするためのリフォームです。1階の床や車庫に面した2階の床など、外気に接する床を張り替えるときは、床の下に断熱材をしっかり入れることが、快適な室内環境へとつながります。なお1階部分は床と基礎のどちらで断熱するかによって、床下の空間を活用できるかどうかが変わってくるので、家のつくりや状況に合わせてふさわしい工法を選びましょう。床の断熱で一般的なのは、床面の下に断熱材を施工する方法です。この場合、床下空間は室外と同じ環境となるため、空気がたまらないように基礎と家の土台の間にすきまを設けたり、換気口を設置して風通しをよくする必要があります。

一歩進んで床暖房

床暖房には、床下のパイプに温水を循環させる「温水式」と床下のヒーターに電気を通して発熱させる「電気式」の2種類があります。足もとから心地よい暖かさが得られる床暖房は、暖められた空気が高い所に集まりやすい通常の暖房に比べ、床面から出る熱が空間全体を暖めるため省エネ性も期待できます。ただし、その効果を最大限に引き出すためには、床や壁、屋根など家全体の断熱を行うことが大切です。

壁・天井のリフォーム

天井の場合では、天井裏に断熱材などを施工するのが一般的です。事業者に依頼する前に、可能ならご自宅の点検口から天井裏を確認し、断熱材がきっちりと敷き詰められているか確認してみましょう。また、壁の状況は内装や下地材をはがさないと確認できないので、ご自宅の設計図等での記述内容を確認してみましょう。これらの工事はおおがかりなものになるケースが多いので、施工事業者と十分に事前打合せのもと取組んでください。

5.省エネの補助金制度

リフォームを行う際にぜひ知っておきたいのが、補助金制度です。地球温暖化対策の一環として、省エネ効果の高い設備の導入については、国が補助金制度を設けています。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、空調や給湯、換気などの中で2つ以上の機器を効果的に組み合わせたシステムを導入する人に対し、補助を行っています。このほか消費エネルギー量の削減率や工事完了日などにも細かい規定があります。
なお、潜熱回収型給湯器やガスエンジン給湯器、CO2冷媒ヒートポンプ給湯器(エコキュート)を単独で導入する場合も、一定の条件を満たした機器であれば、補助金制度を利用することができます。このほか、地方自治体によっては太陽光発電の導入に補助金を出しているところもあります。
参照
NEDO http://www.nedo.go.jp/
(社)日本ガス協会 http://www.gas.or.jp/
(財)エルピーガス振興センター http://www.lpgc.or.jp/
(財)ヒートポンプ・蓄熱センター http://www.hptcj.or.jp/
(財)新エネルギー財団 http://www.nef.or.jp/

末吉 正浩プロフィール

[すえよし・まさひろ] 株式会社コスモジャーナル社代表/リフォーム&インテリア編集長
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp

 

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