新年は、親戚や友人が家に集まる場面が多くなります。昔から「1年の計は元旦にあり」といわれ、新しい年を迎えてリフォームや建て替えについてじっくり考え、実行するには良い機会です。
また、住宅メーカーやリフォーム会社も、早くも新年の第1週目から、ショールームやモデルハウスで華々しく住まいのイベントなどを開催しています。
消費者から見れば、格好の暮らし方の素材が提供されるわけです。お屠蘇気分でイベントを楽しみながら、住まいの情報をがっちり収集するなど、積極的に新築・リフォーム会社の新春の催しを活用するのもよいでしょう。
ところで12月号では、日本増改築産業協会のリフォームコンクール応募作品の中から、施主のリフォーム動機や施工側のアピールポイントの傾向を紹介しました。この情報は、一般的なアンケート調査では得られないセレクトされたリフォームと、本年のコメントがこめられているのです。
つまり応募するリフォームの担当者側には、年間工事の中で選りすぐりの作品としての思いがあり、他方では施主、つまりユーザーの側にはリフォームが成功し、満足したとの安堵感があったといえるでしょう。

その中で生活者のリフォームを始めた動機について、もう一度注目してみましょう。
「リフォーム動機」のトップに、「LDK」が26%とほぼ4件に1件でした。
さらに、キッチン以外の部屋も含んだ、「明るい、広い」7%、「収納」7%を配慮した「キッチンの改修」をも加えれば、40%もの動機が、LDKのキッチン中心のリフォームとなると思われます。キッチンリフォームの理由に「友人を招いて料理を楽しみたい」、「料理教室を開きたい」なども加わり、趣味が本格的なものに進化する例も少なくないようです。
「リフォームの動機」には、結局、主婦の意向が強く反映されているように思います。
第一に、明るく広いリビング・ダイニングそしてキッチンは、親子の絆、家庭の団欒の象徴として、ドラマのような理想の家族像が目に浮かびます。しかも主婦の主導によるリフォームとは、キッチン中心のLDKなのです。
第二に、収納は日常的に忙しい主婦の悩みを象徴しているようです。「収納アドバイザー」なる民間資格も登場人気を呼び、テレビなどのマスコミでは、カリスマ収納の大ベテラン渡辺典子さんがワイドショーなどにも出ずっぱりの大活躍中です。
1日の生活の中心となるLDKについて、狭い、暗い、乱雑で片付かない、導線が悪いなど、と感じるようになる時があり、それはリフォーム適齢期のシグナルです。そのような暮らしの不満がリフォームの動機となるのです。
第三に、最近では核家族や少子高齢社会を反映してか、娘や息子が独立して家から出てゆき、これからは、夫婦二人暮らしとなるので、空き部屋をなくし広々と気楽に暮らしたい、という希望が寄せられます。そのために思い切ったリフォームをしたい、老後のことを考えてバリアフリーにしたいなどが、最近は目立っているのです。
以上3つの要望に共通するのが、日常の暮らしの中で家族の絆を深めたい、というわけです。
昨今の家庭内暴力や学校でのいじめ問題など、家庭教育、親子の対話の無さが問題視されています。子供とのふれあいを重視したいという親の意向も反映し、家族と向き合いながら台所仕事をしたいという要望はかなり多くなっています。当然、老後の介護の問題も健康なうちから考え、住まいの改修に関心が寄せられるのです。
閉鎖的で暗いキッチン空間を、間取りの変更や壁の撤去により、リビングと一体感のあるキッチンにするという希望が圧倒しています。
例えば、カフェスタイルの対面型にして「おしゃれなカフェでブランチを食べる」イメージのキッチンへとリフォームを希望される方が、目立って増えていることに現れているように思われます。
というのも、リフォーム適齢期に入る今から15〜20年前のキッチンは、壁式が多く、主婦が家事の時にはリビングやダイニングにいる家族に背中を向け、会話どころではなかったからです。
ところで憧れの壁式から対面式キッチンへの変更には、予算やリビング部分の広さ家の構造との関係が障害となる場合があります。また、多くの場合、壁式から対面式のキッチンに変更する場合は、キッチンとリビングをつなぎ合わせたような広いスペースが必要ですので、たいていの場合既存壁を撤去することになります。
昨年12月、日本経済新聞社主催で開かれた「日経リフォーム博」で、筆者も相談コーナーを受持ちましたが、主催者の呼びかけもあり、自宅の建築図面を持って、相談に見えた生活者がほとんどでした。
計画する場合は、プランニングの段階からじっくりとリフォーム業者と打合せして、安易な壁撤去は避けるようにしたいものです。
もしどうしても耐力壁を撤去したい場合は、十分に建物の構造を考えた上で、補強も同時に行う見積書を提示してもらい、リフォームに対する要望と、それを実現するためのリフォーム予算をしっかり照らし合わせて検討しましょう。
対面式(カフェスタイル)キッチンリフォーム工事の概算費用は、一般に間口2550ミリの場合 キッチン本体80〜200万円+工事費40〜100万円以上、大まかには120万円から300万円程度の予算が必要とされています。その場合、解体撤去・処分費、壁の一部撤去、床及び壁の標準的な補修工事、給排水切替工事、電気工事、ガス配管工事、換気ダクト工事が含まれます。



[すえよし・まさひろ] 株式会社コスモジャーナル社代表/リフォーム&インテリア編集長
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp