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お二人は工務店の二代目で、横須賀を中心に逗子、葉山、鎌倉など三浦半島をエリアに、いわば地域密着で仕事をされているわけですが、今日は、地元職人ならではのリフォーム工事のありかたや可能性についてお話しして頂きたいと思います。 ところで、三浦半島ならではの地域性というのはありますか。 |
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○渡辺 |
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○三留 |
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○渡辺 |
そういう意味で工務店もお客様も安心しているというか、のんびりしていますね。 |
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そうしたのんびりした中にあっても、新しい事にも挑戦されていると聞きましたが。 |
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○三留 |
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○渡辺 |
世の中が変わっていけば、お客様のニーズも変わっていくし、家も変わっていくわけですから、当然、その家を造る職人も変わっていくのは当然だと思います。太陽光発電やオール電化、エコキュートなど、自分たちの技術力に新しい技術をプラスαすることでお客さまにも喜んで頂ける訳ですから、対応出来るようにするのは当然だと思います。 |
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耐震のための改修工事などは増えていますか。 |
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○三留 |
去年あたりから少しずつ増えています。やはり関東ローム層が走っていますから、みなさん不安はあると思います。 |
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○渡辺 |
僕の方も相談はたくさんあります。例えばお風呂のリフォームを頼まれたついでに、ウチは25年経っているけれども大丈夫かね、なんてね。ですから関心のある方は非常に多いと思います。
渡辺さんはいつも車に大工道具を積んでいる |
| ―― | お年寄りのためのリフォーム工事はどうですか。職人ならではの工夫や技術のようなものはありますか。 |
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| ○三留 | 僕は、床を平らにしたいと言うお施主さんには、「本当に全部平らにしていいんですか」とまず確認します。というのは、床の段差を無くして無意識に歩くよりは、場所によっては敢えて15センチ位の段差を付けて、そこに来たら注意を呼び起こすようにした方がお年寄りのためには本当はいいんじゃないか、といった考え方が、介護に携わる一部の人たちの間ですけれども、あるからです。
もし段差を付ける時は、車椅子が必要になった時に、そこにスロープを付けられるように工夫をします。さらに進んで、そのお年寄りが亡くなった時はスロープを外して、また段差に戻すことも出来るようにするわけです。その時に、取り外したビスの跡が目立たないように綺麗に仕上げるのも職人なら当然です。 |
| ○渡辺 | お年寄りのためのリフォームで一番感じるのは、ケアマネジャーや介護士さんから介護のプロとしてのアドバイスをもっと貰えれば、より良い住宅改修が出来るんじゃないかな、ということです。
僕も福祉コーディネータの資格を取って勉強はしているんですが、それでも僕らからするとケアマネジャーさんは介護のプロですから、それがどんなに難しい注文であっても、「この患者さんはこういうハンディを持っているから、こういう風にした方が本当はいいのだけれども出来ますか」と、一応は相談して欲しいわけです。それを受けて、出来るだけそこに近づけるのが僕たち大工の仕事なわけです。でも、そういう話はあまり出てこなくて、「足が悪いから手摺りを付けて下さい」で終わってしまうケースが多いのが残念です。 |
| ○三留 | お年寄りの方も、どちらかというと作ってもらう立場という意識があって、どうしても遠慮してしまう。そんな時は、「おばあさん、好きな高さにしていいんですよ」と言って、使い易い高さを測ってあげるとか、思っていることを言い易いやすいように話を持っていってあげるようにするのですが、まだまだコミュニケーション不足を感じますね。
とくにリフォーム会社から派遣された職人の場合は、使い勝手より、会社に言われた通りに付けて終わりです。何かあった時は、私じゃなくて会社に言って下さいとなる。 その点、僕らのように地域密着で仕事をしている工務店は、お施主さんにとって使い易いのが一番という大前提があるからね。トイレットペーパーの位置にしても、「もし、使ってみて都合が悪かったら位置を変えてあげるからね。ビスの跡なんか綺麗に消せるんだから」なんて、工事の後も色々と便宜を図ってあげることが出来るわけです。 |
| ○渡辺 | 僕がこの仕事を始めた頃、親父とお客さん回りをすると、1時間、2時間お茶飲んで世間話をして、挙げ句の果てに近所の人まで上がり込んで話の中に入ったりして。最初の頃ははっきり言って苦痛でしたね。ただお茶飲んでいるだけでいいのかなって思ったりして。
でもそれがあるから段々仲良くなって、信頼関係が出来てくる。さっきの手摺りの話じゃないですけれども、信用してくれないと本音も出てこないし、言いたいことも言えないで我慢しちゃうことって、あると思うんです。実際、「渡辺さんの所はそんな仕事もやってくれるの」なんていうお客さんも時々いたりして、まだまだ接し方が足りないなと反省することもあります。 |
| ―― | そんな仕事って、どんなことですか。 |
| ○渡辺 | 棚を吊すとかですね。そんな小さなことを頼んだら申し訳ないと思っているお客さんが結構いるみたいで。でも、そんなことはないんですよ。ちょっとしたことでもお客さんに喜んで頂けるなら、僕らも嬉しいし。 |
| ―― | リフォームという表現自体が最近出来た言葉で、もともとは修繕、営繕といった言葉でしたからね。 |
| ○三留 | そのためにも僕は出会いの場が必要だと考えて、一昨年、「木楽倶楽部」という、定年退職をした人たちに大工道具の使い方や工作を教える教室を始めました。ノコとカンナとノミの使い方。あとは釘を打つことが出来れば、ちょっとした家の修理なら自分でも直せますからね。分からないことがあれば相談もできる。今はまな板を直しています。まな板は幅があるから直すのは結構大変なんですが、カンナの腕を磨くにはいい練習です。 |
![]() ![]() ![]() 木楽倶楽部 |
| ―― | この地域ならではのリフォームというのはありますか。 |
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| ○渡辺 |
横須賀は山が多く傾斜もきついので、車が通れない場所がたくさんあるんです。そういうお宅のリフォームを何とかお手伝い出来ないかと思っています。実際、クレーン車が入らないのでハウスメーカーから断られたといって来られるお客様もいますから。
そうした場所ではリフォームを諦めている方が多くて、車で言う乗り潰しじゃないですけれども、家もそういう風に考えている方も結構いるようです。
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| ○三留 | 採算が合うかどうかはメーカーや工務店側の問題であって、大型車が入らなければ自分らで運ぼうというのが、昔ながらの地元工務店の考え方です。家族を総動員してもね。 |
| ○渡辺 | 僕が高校生の時も、山の上の立地条件の悪いお宅を工事するからと、友達を大勢アルバイトに頼んで資材の荷揚げなんかを手伝って貰ったことがありました。 |
| ―― | これまでだと、三ちゃん経営の会社なんてダメだよ、と否定されてきた部分があるけれど、そうじゃないんだと。 |
| ○三留 | 工務店は零細企業なんだから、ハウスメーカーと同じ考え方ではダメ。奥さんが手伝わないような工務店だったら潰れちゃう。僕の所は集金に行くのはウチの奥さんです。そうすると向こうの奥さんも話しやすいから、僕には言えないことも言ってくれる。そんな風に出会いの場をたくさん作っていくことが、地域密着型の工務店というか・・・ |
| ○渡辺 | 生きていく道ですよね。 |
| ―― | 工務店も二代目、三代目の時代を迎えている訳ですか、何か変化のようなものはありますか。三留さんは元はエンジニアで、渡辺さんは公務員。渡辺さんの弟さんも、大学の建築科を出て設計事務所勤務の経験があるということですが。 |
| ○三留 | その意味で、これからの職人は良くなると思いますよ。一応大学で建築を勉強して一通りの知識を身につけた上で、木を扱う仕事をしたいと、はっきりした方向性を持った人が職人の世界に入って来るようになりましたからね。
そうすれば、言われたままに、ただ頑丈な家を建てるだけじゃなく、お客さんともきちんと話が出来るようになる。いずれ、技能も昔のトップクラスの職人に近い腕を持った職人が増えて来るんじゃないかと見ているんです。その代わり苦しいよって。これはどうやって作ればいいんだと一所懸命考えて、いいものが出来れば苦しみが楽しみに変わる。それは職人もエンジニアも同じです。職人の腕が上がれば家も良くなる。そういう自覚とプライドを持って、これからの若い職人さん達にも仕事をして欲しいですね。 |
| ―― | 今日はどうもありがとうございました。 |