防犯対策はなにをすればいい?
自ら意識を変えることからはじめよう

[ゲスト]佐野 裕 氏/有限会社佐野工務店代表取締役
    北村 進 氏/トステムショールーム横浜 館長
[司 会]出町 正義 氏/フリーライター

ゲストプロフィール:
佐野 裕 氏 佐野工務店代表取締役。1960年創業の佐野工務店の二代目として昨年社長に就任した。横須賀市や横浜市などを営業範囲として、新築からリフォームまで手がける。快適な暮らしのヒントとして、住宅や地域に関する情報を満載した「すまい造りメール」を月1回発行。1998年から年1回のペースで勉強会「すまい造り工房」を実施している。
北村 進 氏 トステムショールーム横浜館長。2002年の開設以来、館長を務めている。2005年にトステムセキュリティ講習を修了、同ショールームで防犯セミナーを開始し、現在までで120回以上開催している。取引先の工務店やハウスメーカーの依頼によって出張セミナーも実施、自治体から防犯に関する相談を受けることもある。

防犯に対する意識がまだ低い?

―― 北村さんは3年前から防犯セミナーを行い、これまで100回以上開催しています。どのようなことを訴えているのでしょうか。

○北村 防犯について、意外と知っているようで知らないのが現状です。ショールームに来たお客様に、ご自分の家の開口部は何箇所ありますかと尋ねても、まずぴんとこないことが多いようです。二階は大丈夫という意識も強いですが、泥棒の心理としては、入りやすい家がターゲットになります。二階は施錠していない場所があるので、まず二階にあがる算段をします。泥棒は下見をしていますので、よくチェックしてください。ほかに施錠していない場所は浴室です。換気のために開けっ放しにしていて、下見の段階で外出するところを見られていますと、タイミングが合えば一発で入られてしまいます。

―― 佐野さんは地域で活動する工務店として、防犯問題について感じることはありますか。

○佐野 何年か前にピッキングが問題になり、防犯に対する意識が大きく変わりました。私もトステムさんのセキュリティ講習を2005年に修了しましたが、大変勉強になりました。その後、OB客に対してなにかできないかと考え、「すまい造り工房」でトステムセキュリティ事業部に来ていただき、防犯対策についてお話を伺ったり、実際にピッキングをやっていただきました。テレビで見ていることが大げさではなく、本当に起きていることなのだという感想をもたれた方が多かったです。傾向を知るだけでもいい機会だったと思います。ただ、最近思うのは、犯罪の手口がどんどん変わってきており、いたちごっこのようになっているような気がします。

○北村 泥棒も進化していますし、日本人の泥棒の質も変わってきています。昔の日本人の泥棒は、自分の失敗を見られたくないと逃げていましたが、今では日本人でも逃げないで相手を殺すというくらいの覚悟で臨んでいます。外国の窃盗団ではそれが当たり前で、武器を持っていますし、見つかったら国に帰れないという考え方ですから、鉢合せしたときには殺されるつもりで対処しないと。万一鉢合せしたときは、必ず大声を出して外に逃げていただくようお話しています。

○佐野 お金がありそうなところにわざといくらか置いておき、あとは隠しておくという方法も、命を守るためにはあるかもしれません。私も話を聞いたときは「そんなことないだろう」と思っていましたが、新聞などを見ると実際にそのような事件が起きています。

地域ぐるみで犯罪を防ぐ

―― 神奈川の泥棒の傾向はどうですか。

○北村 神奈川は人口密度から見ると多いほうです。海岸沿いは土地が限られていて、先祖代々から住んでいるので隣同士のコミュニケーションが築き上げられていますが、内陸の宅地造成がまだまだ行われているような地域では、コミュニケーションが足りない部分が泥棒のターゲットになりやすいです。

―― 侵入の手口は。

○北村 ガラスを破れば音がしますから、下見の段階で絶対に不在だと確信してからガラスを破り、侵入します。下見を相当やっているということです。私が泥棒だったら、施錠していない家を探します。それが一番安全に侵入できるからです。一階だろうが二階だろうが関係ありません。それが二階があれば、二階に上がる算段をします。

○佐野 泥棒は侵入する際になるべく面倒ではないような場所を選びますので、逆に面倒くさくなるようにしむけることが大切です。これはちょっと意識しているな、と思わせることが抑制になります。

―― 下見段階である程度防げるのでしょうか。

○北村 道路から玄関までの距離も関係します。例えば、センサーライトが見える位置にあったとすると、下見の段階でここは入れないかもしれないと一歩下がります。ただ、道路からライトが近づきすぎていると、事前に壊すことができます。
最近は防犯植栽といいまして、目の高さで剪定したり、隙間をあけたりして、家の中から、あるいは道路から見えるように植木を整えることが行われています。

○佐野 自分ひとりでは守れませんから、地域の方々でお互いに守りましょうという考え方です。
○北村  町ぐるみで防犯していることと同じです。

防犯に対する意識を高める

―― 防犯に対する意識を高めることが重要ですか。

○北村 ひとりでも多くの方にセミナーなどに参加していただきたいですし、市や町で機会を作って広めることが大切だと思います。一回話を聞いただけでもだいぶ違うと思います。お金をかけたから100%大丈夫ということではありません。

―― 地域の工務店として行っていることはありますか。

○佐野 お客様のお話を伺ったり、情報を提供したりすることが役割だと考えています。毎月発行している「すまい造りメール」で取り上げ、みなさんの意識を変えない限りはだめですよということを訴えています。いたちごっこの部分がありますから、町ぐるみで防ぐことが大切だと思います。

○北村 防犯は自ら意識を変えていくというのが大前提です。洗濯物を乾いたらすぐに入れる、鍵を家の周りに隠さない、ごみの捨て方に気をつけるといった、身近なところから注意していくことです。まずは意識が大切ですから、お金をかけるよりも、安いものでいいですから少しずつ防犯対策をやっていくことでいいのではないですか、とお話ししています。
どんなものでもかまいませんから、まずは面格子をつけていただきたい。外して入るには時間が掛かりますから、それだけでも泥棒をあきらめさせることにつながります。二階でも、上がれる場所には面格子が必要です。それほど費用も掛からず、後づけできるものもあります。

○佐野 お金をかけるより、まずは意識していることをアピールすることからはじめることを提案しています。面格子ですとか、ガラスが割れにくい防犯フィルムなども有効です。お金をかけたから大丈夫ということはありませんので、被害をなるべく減らすという意識で取り組まれるほうがいいのではないかと思います。

―― 防犯性能の高い製品を選んだほうがいいのでしょうか。

○北村 防犯性能の高い建築部品を表すCPマークがあります。5分間耐えうる商品として国が認めてくれたというお墨付きですので、侵入を防ぐにはCPマークのついた商品を使っていただくのが本当はいいでしょう。
○佐野 結局ガラスを割って侵入するわけですから、防犯シートを貼るということです。ホームセンターで売られているシートは小さいものがほとんどですが、工務店に相談していただければ窓全面に大きなシートを貼ることができます。



トステムセキュリティ講習修了証

○北村 侵入される危ない場所は決まってきます。そこに防犯合わせガラスやセンサーライト、ガラスが割れたことを知らせるガラスアラーム、カメラを取り付けることも有効です。
―― 入られやすい場所とはどんなところでしょうか。
○北村 家の敷地内に入ってすぐに自分の姿が見えなくなる場所、あるいは早く入れる場所です。ブロック塀だと、そこに入れば見えなくなってしまいますから、隠れた状態で窓を割ることができます。ベランダも、囲ってしまって見通しが悪い状態ですと、そこに入ってしまえば姿が見えません。第一次で防ぐなら、家に入る前の段階で対策が必要になってきます。例えばフェンスが高ければ、目立つ格好をしなければ中に入れません。簡単には乗り越えられない高さの門、見通しのよいバルコニーが有効です。
○佐野 泥棒が稼いだお金で建てた家が実際にあり、プロの泥棒から見て侵入されない家にしてありますが、とても住めるようなものではありません。防犯のことを考えればそのような家になってしまいますが、果たしてそれがいい住まいかというとそうではありません。
○北村 下着泥棒から発展して家の中に入るケースもありますので、洗濯物の干し方にも気をつけていただきたい。洗濯物は乾いたらすぐにしまうことです。シャッターも、下ろしているからと安心して内側の窓を施錠しないことがあります。シャッター自体も、閉めただけでロックをしていないこともあります。
―― 防犯について詳しく知りたいときはどうすればいいでしょうか。
○佐野 まずは北村さんの講義を聞いてください。
○北村 半年に10回はショールームでセミナーを開催しています。これまでは戸建ての対策が多かったのですが、最近はアパートやマンションの対策も含めてお話をしています。
○佐野 なにか聞きたいことがありましたら、お気軽にご相談ください。
――  今日は本当にありがとうございました。