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朝比奈切通しを“もののふ”気分で歩いた

藤沢での取材が終わり、次は夕方に追浜で飲み会である。まだたっぷりと時間はある。さてどうしようと、まずは列車に乗り考えた。大船から逗子に出て京急逗子線で金沢八景にでる方法もあるぞと、横須賀線に乗り換えた。列車が鎌倉に着いたとき、思わずふと飛び降りた。そうだ、鎌倉から六浦まで歩いてみよう、そう思ったのである。

一度、歩いてみたかった道である。鎌倉八幡宮を右におれ、金沢街道を滑川にそって歩いていく。気分は鎌倉の“もののふ”である。

十二社神社前で朝比奈切通しへ向かう道があり、進んでいくと、泥濘になった。三郎の滝あたりで道の工事をしていた。終われば歩きやすくなるのだろうが、靴がはまる。朝比奈切通し――鎌倉と六浦を結ぶ軍事道路であり商業道路であって、朝比奈三郎義秀が一夜でこの峠を切り開いたということで朝比奈切通しと名付けられたという。

切通しというのは、山を切り開いて通した道であり、人工的な道である。両側の道を弓のようにえぐった崖や垂直に切られた大きな石場など、見ていてあきない、迫力がある。回りが白い世界となると、立山黒部アルペンルートだ。時に狭く曲がりくねる道、そんなところを歩くと、上から石でも落ちてくるのではないかと恐れ、早足となる。切通しは一面、恐い道でもある。

川のせせらぎ、シダの葉などを眺めつつ、ふとみると小さな地蔵も佇んでいたり。わるくない。もののふ気分というより、ハイキング気分になっている。

右、熊野神社とあるところへ出た。頼朝所縁の神社でもあり寄ってみたいが、陽が暮れてきた。急がねばならなかった。峠をおりて出たところは横浜市金沢区の朝比奈町、中世から現代へと戻った気がした。


(住宅ジャーナリスト 岡田憲治)

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