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前年比倍増と減らない「悪質リフォーム」
を根源から考える

―公正で判りやすい情報公開「品質標準」に注目―
リフォーム&インテリア編集長
            
末吉正浩

先月末に発表された警察庁のまとめでは、「昨年1年間に検挙された訪問販売による悪質リフォーム事件の被害額が、前年比13.5%増の約252億8953万円に上り、統計を取り始めた2004年以降、最悪となった」という。また、1人当たりの被害でみると「約92万円から約54万円に減少したが、被害者数は95.3%増の4万7204人に達し、過去最多となった」とし、被害者に限っても去年比で2倍弱になることが分りました。

マスコミ報道が減っているため、影を潜めているように見えますが、統計に見るように「悪質リフォーム」の実態は、金額こそ減っているものの、被害者の数の上で相変わらず被害者が増えているのです。

リフォーム業界の根本の改善を事業者の「品質基準」から考えてみました。

1.優良のリフォーム事業者が見つけにくい

消費者の勉強不足を指摘する声もありますが、被害者である方たちの大半が判断力に問題のある高齢者や認知症患者であることを考えれば、多くが供給側のリフォーム業者側の問題だといえます。また、詐欺まがいのリフォーム業者の問題もありますが、施工技術不足や接客面で顧客とトラブルを繰り返すというような、不良会社にも問題があることを忘れてはなりません。

その背景には、法的には、金額が500万円以下の小工事(多くのリフォーム工事)には、建設業法に定められた免許や届け入れ義務が必要でないからです。

極端な話、日曜大工程度の腕もない素人を職人・大工さんにして、建設とは無関係の業から転進してきた営業マンが、注文取りに走る、といったスタイルの「リフォーム業者」の参入が後を絶ちません。それらの業者の一部が悪徳へと走り、他の部分がクレームだらけのリフォームでトラブルメーカーとなるのです。

一方で、従来からのまじめに地元でコツコツと住宅建築やリフォームを手がけてきた、技術力はもちろん顧客満足度においても定評のあるリフォーム専門店・工務店も少なからず存在します。

2.情報の質にも問題がある

日常的にチラシや新聞・雑誌・TVの広告、最近ではウェブ上でもリフォーム各社が情報提供してきます。リフォームを考えている生活者にとって、そのような中から「悪質」業者と「優良」業者をどう見分けるか、リフォームを考えようとしている生活者にとって極めて切実な問題です。

もちろん国や自治体でも対策を講じています。消費者契約法の改正など法規制の強化や悪質業者に警告を発し、摘発を強化するなどです。また、国土交通省の管轄する団体が運営する「リフォネット」のウェブ上で、企業情報の登録、「リフォーム憲章」の徹底や「標準書式」の普及などで生活者のため、として情報提供を積極的に展開しています。

それで表面的な沈静化は見られるものの、先の警察庁の数字が示すように抜本的な実効にはほど遠いのが現状といえるでしょう。
これは「企業情報」の質と公平性に問題がありそうだ。

3.第三者による業者のミシュランのような客観評価

ところで、リフォーム専門のポータルサイトを運営するホームクリップが、去年4月に調査しています。その中で「リフォーム会社情報で充実してほしいもの」という問いに、ユーザーの回答は、(1)施工事例59%(2)客観基準・評価54%(3)得意分野23%−となっています。

最近では、Web上でリフォーム会社を指名するユーザーが多くなっていますが、ホームページ上での施工の写真などの判断材料を大半が欲していることが6割近くを占めていますが、それとほぼ同程度の54%が客観評価を気にしています。

お決まりの会社の所在地や業種・売上高に加え、資格者の数、業法の許可、所属団体など、「単なる情報の羅列で参考にならない」という消費者の声も聞こえてきます。その情報が客観的に公正な第三者や過去の顧客からどう評価されているものなのか、ということが欲しいのです。つまり、一見して各リフォーム会社の仕事の質や中身で比較・判断できることが、ユーザーにとって好ましいのではないでしょうか。

リフォーム企業の第三者による客観評価に挑戦しているというホームクリップに取材してきました。この会社では、「“生活者の満足リフォームの実現”を目指して、リフォーム希望者とリフォーム会社のベストマッチングを支援して」きているという。そして、ホームページ上で「リフォーム依頼先選択を効果的に機能させるため、情報開示項目に“お客様満足度評価”の項目を加え」ている。さらに昨年4月から、「リフォームの“業務品質基準”を策定」しているのです。

その仕組みは、現場調査、見積時・契約時、着工前、工事中、中間・最終検査、引渡し、アフターなどの30項目の実践が自社で行われ、マナーの遵守がなされている―こととし、これらを中立の?住宅リフォーム・紛争処理支援センター・(中)日本増改築産業協会、マンションリフォーム推進協議会の3団体からなる「諮問委員会」で審査に当たり、業務品質の一定の基準を満たしたと客観的に認められるリフォーム企業に「品質基準認定店」のマークを授与しています(なお、認定には登録・審査料として6万7200円を要し、2年間有効とし2年後に新たに更新が必要)。

単に情報の羅列ではなく、このようにフランスのホテル・レストランのミシュラン・ガイド(あらゆるカテゴリーのホテルとレストランを、ミシュラン独自の基準に基づく評価とともに掲載したガイドブックで、100年以上にわたり、ドライバーや旅行者から不動の人気を得ています)のような、まあそれにはかなり程遠いが、リフォームユーザーの立場から積極的に業者を評価・認定しようという、業界内部からの動きが出てきたことは、大いに評価できるのではないでしょうか。

現在は、ホームクリップに登録されているリフォーム店約1000件のうち、約70件が「業務品質基準」の認定を受けています。5月にもこの認定店を網羅した書籍が、女性誌専門の出版社から発刊されるといっています。

4.信頼できる企業評価の今後の広がりに期待

残念ながら未だ立ち上がって間もないため仕方のない面もありますが、
第一に全国で70店と認定店の数が少なく地域の生活者のニーズに応えられていない、
第二に今のところウェブ上での情報公開に限定され利用に限界がある、
第三に外壁や屋根など一部の分野が除外されるなど部分的に認定情報が不足、
第四にまた認定の判定者が第三者として公正であり権威があるかどうか、
第五にユーザーや専門家による技術評価がどの程度に評価されているのか、
などの問題点もあるように思います。

願わくば現行の70店認定が700、7000と拡大して全国をカバーし、多数の生活者に支持されることは理想です。さらに、その一定の認定基準の上に、信頼できる公正な特定企業の順位評価があれば、生活者にとって、自分にとって最もふさわしい事業者の選別が容易になろう、と筆者は夢みています。
これは、ホームクリップという1企業を超えた「評価基準」制度の共有化を意味します。それで業界全体の情報の良質化となり、これがひいては事業者の質的向上につながると期待しています。

必然的に悪徳業者は自然淘汰されリフォーム業者の切磋琢磨も広がり、リフォームユーザーのリフォーム実施への意欲は格段に高まるものと期待しているのですが…。そのための一石を、ホームクリップは投じたことになるのではないでしょうか。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・是食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/
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