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誰でもできる『家具転倒』対策や『耐震診断』にチャレンジ

―住まいを安全にする神奈川各市の耐震補助制度一覧
リフォーム&インテリア編集長
            
末吉正浩

3、4月と三重県や能登半島で地震が発生しました。神奈川県西部にあるわが住まいも何弱地盤の上に建っているせいか、そのたびに揺れを感じ、「すわ!東海大地震、あるいは関東大地震では?」と急いで揺れる吊り電灯を見上げ、またNHKや民放のTVの地震情報画面に釘付けになったものです。最近、そういう場面が多いと思いませんか。

関東大震災から84年、阪神大震災から12年、いずれも亥年でした。そして24年前の1983年にも日本海中部地震があり、亥年は地震が多い年ともいわれています。今年の前半を終える段階で既に大きな地震が2つもあり、単なる周期とするにはちょっと不気味です。

幸いにも首都圏では今のところ大きな地震がないせいか、他人事のように地震情報をみて、そして時間とともに忘れ去っていますが、隣の静岡県に次いで神奈川県は大地震発生の確率が高い地域といわれています。神奈川に住むわれわれは、自分のこととして地震対策など真剣に取り組んでいなければならない立場なのです。

ところで、地震の怖さは、人命を守るはずの住宅が、一瞬にして凶器に変わるところです。しかしふだん寝起きしているわが家が地震に耐えられる建物なのか気にしたり、耐震リフォームが意外に話題にもなっていないのです。本来は、素敵なインテリアや快適な暮らしのためのリフォームと、耐震診断や耐震改修は切り離せない関係にあるはずですが…。

事態を改善すべく、神奈川県内でも自治体によっては、耐震補強に補助金を支給するところも出てきました。この機会に検討されてはいかがでしょうか。それも面倒という「かながわコックさん」の読者に、金も時間もかけずに手軽に被害を減らせる地震対策も紹介しましょう。

◇地震対策に対する一般住民意識

地震の専門家は、「能登半島地震も比較的確率の低い地域で起きており、日本はどこでも地震に対する警戒が必要」と指摘し、また特に大正時代に起きた関東大震災級の地震が関東・東海地方にいつきてもおかしくない、と警告しています。

また、政府の地震調査研究推進本部は先月、30年以内に震度6以上の地震に見舞われる主要都市の確率を発表しています。その中の関東各都市の状況を見てみると、東京新宿区11.4%、さいたま市の12.0%、千葉市27.1%に対して、わが神奈川の横浜市が32.7%となって首都圏でもっとも高くなっています。隣接する静岡県の静岡市は、何と86.1%となり東海地震の確率が9割近くあると理解してもおかしくない状況です。

新潟中越や能登半島のような直近の地震クラスでも、首都圏で発生すれば大きな被害になることは、必至と予想されているのです。そのため、東海地区はじめ神奈川県など関東各県では、地震対策に力を入れています。

しかし、横浜市の例でみると、「耐震診断で“危険あるいはやや危険”という結果によって耐震改修ではなく建て替えを選択した人もいますが、多くはそのままで耐震改修に踏み切るのは1割にも満たない」ようです。耐震診断をしても約9割という大多数の人が対策をとっていないのです。

国や自治体によって補助・融資・税の優遇処置がとられても個人にとっては大きな経済負担であり、個人の防災意識が後押ししなければ住宅の耐震化は進みません。地震に対する個人的な防災の第一は耐震性のある住宅に住むことです。しかし、地震は前触れも無くやってきて、安心・安全と思っていた住宅を倒壊させ、人に大きな被害を与えます。「天災は忘れたころにやってくる」を忘れず、地震にたいする意識も麻痺させてはいけないのです。

◇被災の教訓はまず「家具の転倒防止」

消防庁の調べによると、大地震による室内被害状況と負傷者を、家具等の転倒落下、本人転倒、ガラス等、熱湯等、その他の内訳で見てみると、十勝沖地震(平成15年9月)の場合「家具等…」49.4%とほぼ半数を占め、本人転倒」24.4%、「ガラス等」10.6%などを圧倒しています。また、新潟中越地震(平成16年10月)でも「家具等…」41.2%、本人転倒」24.5%、「熱湯等」10.6%、「ガラス等」7.9%などで、やはり「家具等…」が4割強を占めています。その地域特性や時期や時間によっても被害状況が違うと思いますが、それにしても「家具転倒落下による被害」は大きいものがあります。

しかし、あらゆる調査で、災害対策で建物の耐震補強はもちろん、何もしていないという人が多い。まず、手軽に出来、被害を最小限に食い止めるための「家具転倒落下」対策から進めてはいかがでしょうか。

内閣府のホームページ「一日前プロジェクト」に、被災者たちの教訓が載っています。

http://www.bousai.go.jp/km/imp/bam/kt.html

「(自宅の観音開きの食器棚から大事なグラスやカップが落ちて粉々になった)そんな私をかわいそうに思った友達が、1回目の地震のあと、いくつか食器を持ってきてくださったんです。けど、1ヶ月後の2回目の地震のときに、それもまた割ってしまいました。…最初の地震で大事なものを割ってしまったから、しばらくは食器棚の扉が開かないようにヒモでくくりつけていたのに、1ヶ月たったらもう忘れているんです。(50代主婦)」

「今回の地震では、もちろん構造自体もそうだったんだけど、まず家財道具の転倒がものすごかったんです。ですから、そういうのをあらかじめ、やはり転倒防止、たとえば食器棚やタンスとか、ほんのちょっと、わずかなことなんだけど、それをしておけばまだ被害が軽かったなというのが、災害後にまず実感したこと。(大工)」

その他にも、家具や窓からのガラスが床に飛散して逃げられなかった、などの教訓が聞かれます。しかし「のどもと過ぎれば暑さ忘れる」のことわざ通り、時間とともに忘れ去ってしまうことになります。

まず、防災の第一歩として身近な家具や家電製品などの転倒、落下防止対策を考えてみましょう。

◇家具類の転倒や落下を防止するポイントと対策法

まず、転倒や落下のポイントと固定方法を紹介します。

転倒や落下防止のポイント

  • タンスなどの高いところに危険な物を載せて置かない。
  • 本棚や茶ダンスなどは、重い物を下の方に収納し、重心を低く。
  • サイドボード、食器戸棚、窓などのガラスが飛散しないようにしておく。
  • 食器棚などに収納されているガラス製品(ビン類など)や電灯などが転倒・落下したり、すべり出したりしないようにしておく。


家具やガラスなどの固定方法

  • 二段重ね家具類には、上下を平型金具などで固定。柱や壁に固定する場合は、木ネジを使用しL型金具などで家具の頭部を固定。
  • ピアノなどは、脚にピアノ移動防止器具をはかせる。
  • ガラスには、ガラス飛散防止フィルムを張る。
  • 食器棚のガラス製品(ビン類など)が、転倒したりすべり出したりしないよう防止枠を設ける。
  • 吊り戸棚など開き扉には、掛金などを取りつけて扉が開かないようにする。

なお、相模原市では、障害や高齢のため、自分では大工仕事ができない人を対象に、相模原ボランティア協会が、地震に備えて家具の転倒防止活動を行っています。対象は、内容が居間や寝室など、利用頻度の高い部屋の対策、費用 1,000円〜3,000円(固定用針金や金具の実費)が必要です。

◇住いの耐震診断の例

従来、住宅は個人の財産であるため、その耐震化は個人の問題として捉えられてきましたが、個人の住宅倒壊が災害を拡大させるという認識に立つと社会問題です。そこで、震災後の公費解体に税金を投入するのなら耐震改修に税金を使い震災を軽減するべきであるとの議論が高まり、耐震診断や耐震改修に補助する自治体が増えつつある状況です。国の方針を受けて、多くの自治体(市町村)で何らかの補助事業が実施されています。

耐震診断は、1981年以前に建築された旧い基準で建物について、大地震に対して強度(耐震性)があるかどうか調べる診断作業のことです。

この診断で、強度の不足が見込まれたとき、建物を補強し地震に耐えるように改修することを「耐震補強」や「耐震改修」と言います

耐震改修の前に住まいの診断は欠かせませんし、多くの自治体が本格的な「耐震診断」には補助金を支給しています。

インターネットでできる「誰でもできるわが家の耐震診断」
専門家に予備調査を依頼する前に、インターネットのホームページ(下記アドレス)には「我が家の耐震診断」といった居住者などが簡易に判定可能なページがあり、我が家にあった診断を選びに活用されるとよいでしょう。これらの耐震診断は、お住まいになっている木造住宅について、住んでいる方がご自身で住宅の耐震診断を行い、住宅のどのようなところに地震に対する強さ、弱さのポイントがあるかなども分かります。

(財)日本建築防災協会
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/wagayare/taisin_flash.html

木造住宅の簡易耐震診断(JavaScript版)日本建築士事務所協会連合会
http://www.njr.or.jp/a05/mokuzou.html

日本建築学会
http://www5d.biglobe.ne.jp/~kabataf/taisin.html

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合
http://www.mokutaikyo.com/shindan/2006/q1.html

◇神奈川の自治体別「耐震関連補助」制度一覧

以下に各自治体の補助制度を紹介しますが、詳しくは各市役所に直接問い合わせるか、ホームページで確認してください。

・横浜市 1)耐震診断無料 
2)耐震改修補助金(木造住宅耐震改修促進事業として100万円単位) 
3)無利子の貸付制度―があり、また「木造住宅耐震診断士派遣制度」による診断は他の自治体に先駆けて平成7年より実施しています。
・厚木市 診断費用のうち3万円(個人負担なし)
・綾瀬市 診断費用の2/3で上限4万円 設計費用の2/3で上限8万円 工事費用の2/3で上限100万円
・海老名市 耐震相談は無料 簡易診断費用3万円のうち2万円を補助 一般診断費用の1/2で上限5万円 工事費などの費用の1/2で上限50万円
・小田原市 診断費用の2/3で上限2万円 工事費用の1/2で上限50万円
・鎌倉市 診断費用4万円のうち3万5千円を補助
・川崎市 診断費用は無料 改修工事費用の1/2で上限50万円
・相模原市 窓口簡易耐震診断は無料 現地耐震診断は費用の3/5で上限6万円 改修計画等の作成は費用の1/2で上限3万円 耐震・防火構造改修工事にも補助があります
・座間市 簡易診断費用の2/3で上限2万円 耐震診断費用の1/2で上限5万円 改修計画書の作成費の1/2で上限5万円 改修工事費の1/2で上限50万円
・逗子市 診断費用の2/3で上限2万円
・茅ヶ崎市 診断費用8万5千円のうち、5万円を補助 補強工事費の1/2で上限50万円
・秦野市 診断費用の1/2で上限5万円 補強設計費用の1/2で上限5万円 補強工事費用の1/2で上限50万円 工事監理費用の1/2で上限3万円
・平塚市 耐震診断および耐震改修工事費の1/2で上限50万円(うち診断費は2万円)
・藤沢市 地震被害による建築物の安全性を確保する耐震(簡易)診断にかかる費用を補助。耐震診断費用補助額 所有し居住する3万円のうち2万5000円を補助。(個人負担5000円)。 耐震改修工事費用補助額  補助金交付申請手続きで定めている耐震補強設計、工事監理、耐震改修工事に必要な費用の1/2かつ合計60万円を上限として補助。
・三浦市 診断費用31,500円のうち2万円補助 中古住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除制度
・横須賀市 現地診断費用:3万円のところ2万円を補助 精密診断(耐震設計):5万円のところ2万5千円を補助 工事図年作成費用:10万円のうち5万円を補助他 工事費用の1/2で上限100万円
・寒川町 診断費用の2万円

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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