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長寿命住宅とリフォーム・そして環境問題を考える その2

―リフォームが200年「超」寿命住宅の受け皿になれるか―
リフォームの低価格パック商品を考える
リフォーム&インテリア編集長
          
末吉正浩

「100年や200年ももたせられるようなリフォーム」の前に、専門紙の立場から足下の問題点、リフォーム事業の現状について今回は考えていきましょう。具体的には、最近のリフォーム業界で「パック商品」が話題になっていますが、200年住宅と同関連付けられるか、過去の歴史から現在までと、その経営の方向も含め検討してみました。

1.地域密着で地元の信頼を築く

■業界誕生から「リフォーム」の名称の起こり

そもそもリフォームという言葉はなぜ生まれたか。

今から20年ほど前に、建設省(現国土交通省)がこれまで町場の大工さんが新築の合間に片手間で行っていた「修繕営繕」や「増築・改築」の仕事を、ハイカラなカタカナ名でこの分野を表現しようとしたもの。当時はリフォームといえば、洋服の繕い物をリフォームと称していましたが、それをそのまま住宅に適用したものです。

新築住宅分野に対抗して、既存住宅のメンテナンスから増・改築までの幅広い産業を表現しようとしました。その背景には、従来型の大工さんの片手間仕事としての住宅や設備機器の不具合の修理というサービスから、住む人のライフスタイルに合わせて既存住宅の本格的な増築や改装などにつながる仕事への脱皮を図ろうとの狙いがあったのです。

しかしこれも仕事の担い手に問題がありました。新築が落ち込んでいるときはいいのですが、バブル時のように新築工事が活況を呈しているときには、リフォームが大工・工務店から見向きもされませんでした。

しかも500万円以下の小工事のため、参入に法的な制限は無く、落ちこぼれ仕事というイメージが昔からありました。「リフォームでも」やろうか、「リフォームしか」出来ない、「デモシカ」大工と言われ、一段と低い評価でリフォーム担当の大工・工務店が見られていたのです。だが、既に統計上は10数年前から住宅あまりの時代に既に突入していることを背景に、「これからはリフォームの時代だ」という認識が生まれ、新築住宅と関係なくリフォームを専業とする専門店が盛んに登場してきたのです。

■新築とは比べ物にならないリフォーム専業のしごと

ところで、「リフォーム」という一言では表せない多様な仕事やノウハウが求められます。

リフォームの対象となる家はというと、同じ地域に建てられていながらまず第一に、木造か、プレハブか、ツーバイフォーか、鉄筋コンクリートかというように建物の構造・建て方、それに床面積が異なります。

第二に、建てられた時期、つまり築年数がまちまちなので、建てられた当時の建材・資材・設備の家の劣化や老朽化の度合いに違いがあります。

第三に、住む人の数や世代、それに伴う暮らし方や住まいに対する考えが各家にはありますので、それに対応した住まいの手入れや改装がなされています。

以上のように、それこそ住まいとは、家の形というハードの部分から、その住まっている家族の暮らし方、考え方まで千差万別といえるでしょう。

このような住まいや暮らしを相手に事業を展開していくのですから、リフォームの仕事は地域の住宅や人に密着でサービスを提供する、という地域密着営業にならざるを得ませんでした。

■地域密着でもリフォームビジネスは苦戦

そのため、地域の実情に即した住宅の維持管理的な要素がどうしても付きまといます。既存の住宅を相手にして、しかも暮らしに密着した提案が必要で、生活者の満足を得るサービスが必要です。従来の新築の建売住宅を野っぱらの更地で建てていた建築技術だけでは不十分で、様々な住宅の工法から設備機器、古い建材までのハードの知識、リフォームの動機となるリフォーム後のライフスタイルを聞き取る技術とプロとしての提案というソフト部分と広範囲な知識や経験が要求されます。

しかし、現実には住宅の便利屋さんからのスタートでしたから、技術力があっても利益の少ない小工事が多く、専門業もうだつが上がらないというような状態が続いてきました。目的とするライフスタイルの向上を目指すような増築や改築など全面リフォームは数えるしかなく、採算的にはどこも厳しい状況だったと言えるでしょう。

リフォーム専業の経営は、全面リフォームの競合も激しく、苦戦しているのが現状でした。それでリフォーム事業者の悩みは、地域密着で修繕・営繕などの小工事を重ねても、なかなか本命とする本格的な住宅のリフォームに至らないことです。せっかくの施工の実力を持ちながら、それを発揮する場が訪れてこなかったのです。

もちろん、訪問販売業者が、リフォームという事業に目をつけ、外観で判断できる塗装リフォームや素人では見られない床下、屋根、屋根裏リフォームに目を着け、在宅の高齢者や主婦の素人をだまして荒稼ぎをする、不埒なやからも跋扈し、まじめなリフォーム業者を苦しめました。

こういう中でここ2,3年新しいリフォームの動きがはじまっていました。リフォームの価格トラブルを逆手に取った提案でした。

2.新築建替え対抗で地域密着からの脱却

■「建替え」並みを定価格でというパッケージ商品の登場

リフォームは『料金体系が分かりにくい』といった消費者の不満は、昔からトップクラスにありました。

4、5年前に流行った悪評高いリフォームのチラシでは、「30%OFF」や「キッチンのリフォーム40万円〜」という表現方法で「根拠のない安さ」を強調し、さらにチラシの隅に特別小さい活字で「工事費は別途」や「先着○人様限定」、「諸経費別」が付いていました。消費者は油断していると誤解させられ、契約させられてしまうのでした。

このようなトラブルも相次ぎ、消費者のリフォーム価格への不信感が高まったのです。

このような事態に素早く対応し定額制を打ち出したのが、住友不動産の「新築そっくりさん」という名前のリフォーム商品です。これは、いわばリフォームの定価を掲げた、格安の旅行で知られる「ジャル パック」などと同じような定(低?)額のパッケージ商品なのです。施工に粗さがあると一部でうわさされながらも、完工棟数で毎年二ケタの伸びです。それを見習ってここ2、3年リフォームの定額商品が続々と登場しています。

そもそもパッケージ商品とは何でしょうか?

リフォームでいうと、「『商品代』+『工事代』+『諸経費・消費税』が含まれた価格の後に“〜”がないズバリ表示」(ゆとりフォームの場合)というパターンです。しかも、新築住宅で価格の目安になっている「坪単価」という、素人でも分かり易い表現をリフォームにも応用したわけです。つまり「定価30坪で630万円、床面積1坪当たり21万円」のリフォームパック、などというわけです。

■各社のパッケージ商品は坪単価の発想

この業界歴30年の老舗のリフォーム専門企業の東急アメニックスのパッケージ商品『暮らしアップ』が、今年4月から新たに加わりました。これは、標準仕様で、30坪タイプが840万円というから、坪当たりで28万円といったところ。店舗を大型化し、ターミナル駅にショールームやモデルホームを配置し、地域密着店舗を大型店に集約しました。これまでと異なり修繕などの小工事では、提携工事店を紹介するなどで極力避ける体制としました。東急に先行しているリフォーム各社のパック商品(戸建専用)を紹介しましょう。

三和シヤッター工業の定額プラン「ミチガエル」は、2階建て以下の戸建ての場合、延べ床面積40坪以上で坪21万円。屋根や外壁の塗装、システムキッチンやユニットバスの取り換えなど、14項目のメニューが標準仕様に。

住友不動産の「新築そっくりさん」が首都圏の場合、40坪以上で坪21万円。標準仕様には耐震補強工事も含まれる。

東京ガスリモデリングの「改装くん」は延べ床面積40坪で坪23万円。床暖房や浴室暖房乾燥機の設置も標準仕様となっている。

ミサワホームが15年から企画・展開する「まるごとホームイング」は、延べ床面積50坪(約165平方メートル)で坪22万円。

文化シャッターの子会社のゆとりフォームのパック商品「安心価格」とは、戸建リフォームで約22万8690円。顧客が希望する施工範囲、商材グレード、価格帯をもとに「おてごろ」「おすすめ」「ふんぱつ」の3価格帯で場所ごとにパッケージ化したもの。

実際にはこのパック商品が人気沸騰しているのか、取材してみたところ、皮肉にも、このようにパック商品を掲げても実際には消費者との打ち合わせで、いろいろな要望を汲み取らなければならないため、定額制の原則が崩れるケースが多い。それで、「パック商品」はあくまでもお客さんとの折衝のきっかけで、本音のところ「開店休業状態」と明かす担当者もいました。

■ローコスト建替え新築対応で超寿命住宅路線からリフォームが外れる?

ところで「初ガツオ」のように日本人は、その気候風土のせいか、「初モノ」をありがたがる傾向が強いですね。何でも新しいのが良くて、古いものは2、3流のものだという印象があります。

いまあるメーカー住宅が、さかんに有名タレントを使いTV宣伝を繰り広げています。普通のサラリーマンでも買える(ローコスト)新築住宅というのが、そのうたい文句です。ローコスト住宅が全てそうだとは思はないのですが、短命住宅の再生産、資源の無駄遣い、産廃の拡大再生産につながっていませんか。確かに、取り壊ししか選択肢のない老朽住宅も世の中には少なくないのですが、それにしてもテレビで大宣伝し、営業マンが量産住宅を売り歩く時代は去ったのではないでしょうか。

日本の全住宅数は約5400万戸あり、そのうち700万戸で住宅に人が住んでいない、いわば全住宅のうち約13%が空き家状態(平成15年度国勢調査)なのです。年間に120万戸もの住宅が建てられ、空き家の比率はますます高まる傾向が強いのです。少子高齢化の時代が進むにつれて、住宅の数はいらなくなるのに長持ちしないローコスト住宅を、高い住宅ローンで買わされる消費者は悲惨です。

ところで、リフォームの相談でも、価格が1000万円を超えると、消費者の心理も建替え新築に傾く傾向が強い。現実にローンを組むとき、新築だと有利に働くと営業マンは誘導する。思うに、リフォームパックは、このようなローコスト住宅との競合を強く意識しているようです。
しかしその結果、「新築そっくりさん」の名称の裏を読めば、「新築のまがい物が格安で建てられます」にならないか。提案が安易にパターン化され、価値のない住宅になっていないか。このエコ時代に古いものを軽んじる日本人の有害な考え方を、本来正反対の立場にあるべきリフォーム専門業者が助長する立場、見栄えだけのリフォームで終わらないか。

要するにパックリフォーム競争に突入することは、これまで培った手作りに近いというべき仕事のノウハウが、否定されることにもなりかねません。200年(目標)という気の遠くなるような超寿命住宅が具体化へ進む中、リフォーム業者本来の路線から外れ営業主体の建替えの代替業界へと後退するのではないか、受け皿として機能できるかと危惧するものです。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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