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リフォームかわら版

不安解消でパック商品が満足度の高いリフォームになるか
住宅リフォームの明朗会計「定価・定額商品」の研究
リフォーム&インテリア編集長
          
末吉正浩

今回は、消費者のリフォーム価格不信を払拭しようと打ち出した「定価・定額リフォーム」商品。話題のとおりなのか、その狙いと本質について調べてみました。

◇リフォームは「価格不透明の不満」が2人に1人でトップクラス

「現在の住宅をリフォームする上での不安」について国土交通省の最新の調査結果(住宅リフォームに関するアンケート調査〈06年〉)があります。トップが「適切な業者情報が得にくい」40.1%、次いで「費用がどの程度になるか分からない」37.4%、3位に「信頼できるよい業者が少ない」34.7%、「リフォームにより住宅改善されるか・効果に不安」32.7%と続いています。

そのうち「業者」に関連の1位と3位を合わせると74.8%で、実に4人に3人と圧倒的な人が「業者探し」で不安を持っていることがわかります。もう一方の「費用…」の関連では「当初の予算をかなりオーバーした」16.5%を合わせると53.9%と2人に1人の過半数が「リフォーム金額」に不安を持っていることになります。

その他、民間調査機関の実施したリフォーム予定者の不安についての調査でも、第一番に「どこに頼んだらいいかわからない」、に続き二番手として「リフォームの値段が分らない」という2つの不安が、常にトップを占めています。リフォーム業者と金額への不安感が根強く、「リフォームはしたいがリフォームへ踏み切れない」という現実が広がっているのが分かります。

◇価格明快でリフォームパック商品が登場

現にリフォームの現場でも、リフォーム価格での利用者と業者とのトラブルが増えてきています。「追加工事が発生したことによる見積額を上回る請求」というような代表的な事例などがあり、国民生活センターなどへの料金絡みの苦情・相談は後を絶たないようです。

リフォームへの信頼性を取り戻すには、「価格」や「費用」面で消費者の不安を取り除くことが不可欠です。

しかし、現実には「リフォーム工事は、『床下を開けてみれば腐っていた』など具体的に工事を進めなければ分からない部分もあるのも確かですし、リフォームユーザーも、たとえば『ドアを取り換える』という場合、扉だけなのか枠も含むのか、はっきりしない。その上に、施工する業者それぞれによって判断が違うなど、価格の基準がはっきりしないケースが多いのです。

住宅の改善を考えている生活者の不安に答えるため、リフォーム業者も知恵を絞っています。それを大マスコミが取り上げています。

読売新聞(6月5日付け)は「大手不動産会社や住宅メーカーなどが、床面積に応じてあらかじめ料金を決める一戸建て住宅の定額制リフォーム商品を次々に売り出している。これまでは、完成後に多額の追加料金を求められるなどして、業者と利用者とのトラブルも多かったという。定額制なら料金もわかりやすく、依頼しやすい」と報じています。

また、産経新聞(6月25日)でも「一戸建てのリフォーム工事費用を坪単価であらかじめ客に示す定額サービスが大手業者の間で増えている。背景にあるのは、見積もり以上の追加工事代金をとられるなどお金絡みのトラブルの増加。安心感を与える商品の提供で、客の不信感を取り除こうという試みだ」と、リフォームに踏み切れないユーザーに“価格明快”の「定価・定額」商品の狙いを紹介しています。

◇定価・定額制のリフォームとは?

では、その定価・定額整理フォームとはどういうものでしょう。

定額制リフォーム商品とは、主にリフォーム料金の坪当たり単価を定額にするサービス。外壁の塗装や室内フローリング、クロスの張り替え、台所や浴室の刷新など一通りの内外装リフォーム工事が組み込まれている。建て替え料金の半額くらいで全面改装できるというのが、リフォームパック商品の売りになっています。オプションを発注しない限り追加料金はかからず、通常のサービスと比べ料金が事前に確認しやすいとされています。

しかし、そのオプションが曲者ですが…。

新築住宅でもよく使われる単位の「坪単価」とは、家の建築工事費を床面積(坪)で割ったもので、リフォーム「定価・定額」商品の目玉です。自由設計の注文住宅では、お客様と基本設計(間取りプラン・外観・仕様)を決め、積算をして最終的な建築工事費を出します。

例えば2つのまったく同じ面積の家でも、「外観・間取り・工法・仕上げ材料」によって建築費は違います。家の形が複雑で間仕切りが多い家と、シンプルな形でオープンな間取りの家とでは当然坪単価は違います。

一般的に大きい家より小さい家の方が坪単価は高くなります。これは小さい家でも大きい家でも、一番コストのかかるキッチンや浴室・トイレなどの設備の数はほぼ同じですから、これらの比重が高まる小さい家の方が坪単価は上がります。

よく考えてみると、「定価・定額」商品にも落とし穴があるのです。

◇主な定価格リフォーム商品の「坪単価」

各社の定額リフォームは、坪単価(3・3平方メートルあたりの価格)と表現され、実際のリフォームに掛かる費用としては、面積×単価+オプションであり、トータルで建て替えの約半分の費用で、ということも大きなアピール点としています。

以下に主な企業の戸建リフォームパック商品を羅列しておきます。

・人気第一の住友不動産の「新築そっくりさん」は、首都圏で40坪以上の場合、坪単価は21万円。(耐震補強・床下防蟻工事・防湿処理工事も含め)

・東急不動産グループの東急アメニックスが提供する「暮らしアップ」は、延べ床面積に応じて総額が決まる(前述参照)が、40坪換算で坪当たり24万1400円(耐震診断+耐震補強、床下防蟻処理、防湿シート敷き含め)。

・ミサワホームイングの「まるごとホームイング」は、坪単価24万4000円(リサイクル素材「M―Wood」を使用)。なお、「50坪の場合22万円より」と表現。

・三和シヤッター工業の「ミチガエル」は、防犯性の高いドアなどを使う、坪単価は21万円。
・東京ガスリモデリングの「改装くん」は、坪単価は23万円(標準仕様に床暖房や浴室暖房乾燥機)。

・ゆとりフォームの「安心価格」は、坪単価22万8630円(耐震診断付き)

マンションのリフォームに定額制もあります。プランは専有面積60平方メートル以上の施工の場合、壁や床、天井などをすべてリフォームし、水回りなど設備品の取り換えも含んだ価格で、住友不動産と三和シヤッター工業は、1平方メートルあたり6万8250円で、同10万前後。三井ホームリモデリングで、1平方メートルあたり6万3000円(専有面積60平方メートル以上)。

なお、延床面積が大きいほど単価が下がります。例えば、東急アメニックスの定価制の例では、30坪で840万円ですから坪単価は28万円、40坪で966万円ですから同じく坪単価は24万1400万円ですから坪当たりで4万1400円の差があることになります。表の表現単価は、現実よりかなり広めの40坪台の坪単価を基準にする企業が多いようですのでご注意ください。

ただし、ゆとりフォームの注意書き「※お客様のご要望と現場の状況により工事価格が変更になる場合がございます。※最初の現地調査(無料)後、オプション工事が発生する場合は、きちんとご説明させていただきます」のように、価格変更が生じる場合があることを正直に表明する「低価格」商品もあるのです。

これで大づかみの値段の比較は素人の生活者でも、たやすくなりました。

◇パック商品がリフォームの“きっかけ”に

元々リフォームとは、店から車で30分以内の狭いエリアで、地域密着的な営業を売り物にしてきました。地元の馴染み客のライフスタイルに合わせて、リフォームを提案するもので、「出入りの大工さん、あるいは住まいの町医者をリフォーム店が目指す」というのが一般的な営業体制でした。

定価制のパック商品とは、地域密着とは無関係に新築住宅メーカーの建替えに対抗する営業スタイルを掲げているように見えます。リフォーム店が、住宅街からターミナル駅前や都心繁華街に移動をはじめ、住宅のモデルハウス並みの大型化した店頭には最新の住宅設備が展示されているのです。

最後に、「定額・定価制リフォーム商品」について、先の東京ガスリモデリングの担当者に聞いてみました。

「ホームページに載ってはいるものの、積極的には薦めていません。その理由は、お客にとって非常に分かりやすいですが、お客様がこれはこういう仕様にして欲しいという要望などもあって当たり前です。われわれが設定した価格帯でのフルセットみたいなものが少ないが、決まった仕様でこれしかできませんよと、ということではなく、それを切り口にいろんな相談を受ける中で、それではなくオリジナリティーという方向の持っていくのが多分正しい、と考えています。決まりきったものではなく、リフォームの商品はそうではないものが多いと思う」

とパック商品がユーザーに満足を与えられているか、疑問を呈しています。

既存住宅のいろんな暮らし向きの生活者の希望をリフォームに落とし込む作業は、決まりきった新築の比ではなく、パターン化が難しいはずです。「住宅リフォームの明朗会計」としている『定価・定額商品』を上手に活用するには、生活者も定額のサービス範囲はどこまでか、何がオプションなのか、などを賢く判断しなくてはならないでしょう。

◇リフォーム定価についての注意点

最後に、希望するリフォームを行った場合、事前にどれくらいの費用がかかるのかをつかむにはどうすればよいか?いくつかの注意点を以下に紹介します。

(1)今建っている家の状態によって施工も大きく違いますので、隣の家の浴室改装費が140万円だったからといって、自分の家でも同程度の費用になるとは限りません。

(2)リフォームの場合、間取りや部屋の大きさだけでなく、窓の位置や面積、窓を移動するかどうか、使う材料の品質、内部の腐食状態などによって金額に大きな差が出てきます。

(3)リフォームでは見積もり段階で予想できなかった費用が発生することが普通です。いくら事前調査したからといって、内部腐食まで完全に見極めるのは大変難しく、開けてみてはじめてわかるからです。追加工事は必ずあることを念頭に。

(4)建て主(依頼主)の申し出で、工事中の追加工事も多くあります。というのも工事を開始してから気づく要望もあるからです。

(5)たとえ余った材料でも、手が加われば技術料や手間賃がかかります。口約束やついで工事でも、費用発生の確認をしましょう。

〈参考〉◇坪単価は実は分かりにくい(坪単価の研究)

新築住宅を建てるときによく使われる「坪単価」。たいていは安さをアピールするために用いられているようです。でもこの「坪単価」、単純に価格を比較できそうで、実は案外ややこしい。おおきな勘違いが、ひそんでいます。

ハウスメーカー等の案内で、「坪○○万円」と謳っている宣伝広告を見かけますが、工事内容、仕様(グレード)、工事範囲など、総工費を予測する材料が不足しすぎているので、専門家であっても高いか、安いかの判断は難しいといえるでしょう。

坪単価とは本来、「いくらで建築します」と提示するものではなく、「この敷地にこの条件を満たして、この工事範囲で建築をすると総工費÷坪数で、○○万円が坪単価となります。」と提示すべきものなのでしょう。

新築で、40坪の家を比較しても、手間、材料ともすべてが倍になる訳ではないのでさらに割安感がでてくると思います。(玄関や階段、サッシなどは坪数が倍になっても金額は必ずしも倍にはなりません)

(1)「坪単価の中に含まれている工事範囲や内容やグレードが、話す人間と聞く人間によって違い定義がはっきりしていない。本体工事の中身がどこまでの工事を含めているのか分からないと思います。

(2)
平屋、2階建てか3階建てか?大きさは?構造は?など、どんな計画なのか、どんな要望があるのかわからない。「坪単価」の金額だけ知りたい方は、あまり見積りの基になる情報を教えてくれないため、具体的な数字が出せないのです。

このように、新築でも「坪単価」という一見「分かり易い」表現では、業者も戸惑うことが少なくないようです。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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