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リフォームかわら版

行政のバックアップで地元事業者選びが的確にできる
リフォーム業者の品格への道
リフォーム&インテリア編集長
          
末吉正浩

品格とは「その物から感じられるおごそかさ。品位」とあります。
この『リフォーム旬刊タイムス』欄では、先月号では家の履歴書である『家歴書』について触れました。それの裏には「良いものを長く使う』方式を定着させて、短命といわれる日本の住宅の寿命を延ばす狙いがあるとしました。問題はその家歴書に関わる優良なリフォーム業者や検査・診断業者の確保です。リフォームについては、リフォームユーザーの不安を払拭できる仕組み『リフォーム10』が行政側から出されました。これにより品格あるリフォーム業者の塊ができるか注目されます。

◇入口価格と出口価格をなくす工夫を書面で確認

・プロの責任で的確なアドバイスを

家歴書には、住宅の診断・検査とともにリフォームの経歴が欠かせません。

特に大地震のたびに指摘されるように、耐震への配慮を欠いたリフォーム工事によって被害が拡大した、などの事例が散見されます。特に1階に駐車場を設けようと壁を取り払ってしまった結果、地震に弱くなり1階部分が潰れてしまい、本来は2階建てであった建物が平屋のようになっているような震災家屋です。リフォームによって地震で建物が倒壊したという痛ましい事故の写真が例外なく見られます。

1階が潰れた(新潟中越地震より)

つまりこれは、住宅の構造体に無関心な住まい手と、無知なリフォーム業者がもたらした不幸な人災といえるでしょう。プロの業者ならば、リフォームの際にそのような建物についてのアドバイスをし、あるいは検査・診断を勧める責任があるはずです。


・「後の祭り」にならない工夫

また、一方では、リフォーム工事をした人の大半が業者の信頼性に不安を持ち、またリフォームの値段についても不満を持っているといわれています。

例えばたいていのリフォームでは、口約束の契約で済ましてしまうケースが少なくなっていると思いますが、契約書を交わすようなキチンとした会社でも工事途中の追加工事も書類にする例は少ない、と言われるほどです。そしてリフォームが終わり、いざ支払いの段階になって予算を大幅に上回って、とトラブルになり、消費者は言うに及ばず事業者からも反省が聞かれることもしばしばです。また、出来ばえも当初に予想していたものと大違い、などという不満も出てきたりします。全てが「後の祭りになっていた」というわけです。

つまりケースでは「入口価格と出口価格が大幅に違っていた」というわけです。大きな不満がそこにもあるのです。

そのようなリフォームの不安を解消し、消費者が安心してリフォームの依頼が出来る可能性が高い信頼されている業者にとっても厳しい仕組みと思われます。地元の業者に リフォームについては、「入り口から出口まで書面化」を義務づけることで、信頼性を高める、というものです。それでも未だに「小額の工事だから」と契約を交わさないでリフォームをするケースもあると指摘されていますが、全ての工事にその書面化が課されると言う、画期的なものです。

◇地元の団体と東京都で「リフォーム10」を制定

このほど東京都から「住宅リフォームの工事内容・業種・業態が多様でトラブルも散見されるなど、消費者にとってわかりにくく、不透明な面もある」として、「入り口から出口まで書面化」(都都市整備局民間住宅課)を基本とした地域の工務店等のリフォーム事業者が守ることが望ましい基準「住宅リフォーム事業者行動基準(リフォーム10)」を策定しました。

これは地域の中小の住宅生産者や設計者、工務店などの18団体で構成する東京都地域住宅生産者協議会が東京都との協力で実現したもので、行動基準は以下の10項目です

(1)問合せに対する迅速かつ適切
   な対応と情報の開示
(2)具体的に記載した見積書の提
   出
(3)書面による工事請負契約
(4)元請事業者の責任による工事
   ・管理
(5)工程表の提出
(6)工事打合せ記録書の作成及び
   工事写真撮影の実施
(7)工事完了確認書の提出
(8)アフターサービスの実施
(9)標準書式により関係書類を整
   備
(10)トラブル等への責任ある対応

リフォーム10の仕組み


上の項目中で、例えば(6)には「工事施工状況を写真などの記録で残し、整理しておく」や「特に工事後に隠れてしまう部分は、施工後でも確認できるように整理しておく」があります。意外に実行されている企業が少ないのではないでしょうか。

これを地元団体と自治体が保証しようというものですから心強い。


・リフォームローンの利用での優遇措置も

さらに、基準の普及や組織的な対応など一定の条件を満たした団体に所属する会員工務店に対して、提携金融機関が消費者向けの優遇ローン「住まいのあんしんリフォーム10制度」もあるようです。

これは都と生産者協議会が連携し、団体としてトラブルへの組織的な対応やアフターサービス基準の整備、契約書などの関係書式の整備といった行動基準を守る体制を整えていることを確認した場合、その会員工務店と契約する消費者は、協力金融機関による優遇融資などを利用できる制度です。

このように都道府県が地元の信頼できる団体と協力し、生活者の満足できるリフォームサービスを提供できるような動きが始まっています。いわば『地元の品格ある優良リフォーム業者づくり』といえるでしょう。神奈川県民も注目しましょう。


・『リフォーム10』をリフォームのチェック項目にしてみよう

ところで、話題の『リフォーム10』はリフォーム事業者が、具体的に各項目を実践するにはかなり厳しいものがあります。ということは、リフォームユーザーにとって安心・満足リフォームが実現できるわけです。

リフォームを計画されている皆さんのため、リフォーム10の全項目を下に挙げますので、事業者に依頼する際のチェックリストとして活用してみてください。実行できない業者はリフォームの品格には不足であるといえるでしょう。

東京都の行動基準(リフォーム10)の10の項目と事業者の対応は、次の通り。

◇住宅リフォーム事業者行動基準(リフォーム10(テン))の内容

1)問合せに対する迅速かつ適切な対応と情報の開示

□会社概要や施工実績などの情報を積極的に消費者に提供する。
□消費肴の疑問、不安、問合せ等に対し、迅速、的確、かつ、きめ細かく誠実に対応する。
□消費者の選択の白由を阻み、リフォーム業界や地域の信用を失うような強引な営業は、行わない。


2)具体的に記載した見積書の提出

□事業者は、全ての工事において見積書を作成し、消費者に提示する。
□見積書は、消費者の希望を的確に聞き取り、よく理解した上で過不足のない内容とする。
□見積が有償か無償か、あらかじめ消費者に説明する。
□見積書の有効期限を明示する。
□材料名、製品名、使用機器名及びメーカー名等を具体的に明示する。
□数量・単価は具体的に提示する。
□止むを得ず、「一式」と表示する項目は、内容を詳しく説明し、消費者の理解を得る。
□消費者から説明を求められた場合は、丁寧でわかりやすい説明を行う。
□リフォーム工事には、下地や土台など外からは見えない部材の状況など、着工後でないと工事の詳細な内容を確定できないケースもあり、新築工事と条件が異なることをあらかじめ説明し、理解を得る。


3)書面による工事請負契約

□工事請負契約を書面で結び、注文主・事業者双方で確実に保管する。
□工事請負契約書は、工事内容及び契約内容を明確に記載する。(添付書類含む)
□契約書に定められた内容を適切に履行するため、注文主・事業者双方で契約約款の内容を確認し、契約書とともに確実に保管する。(契約変更も同様)


4)元請事業者の責任による工事・管理

□契約した工事を、一括して他の事業者に請負わせることをしない。
□資格が必要な特殊工事は、法令等を遵守し適切に施工・管理する。
□専門工事や特殊工事で、外注(下請契約等)が必要な場合は、外注先リスト等を作成し、注文主に明示する。
□工事施工にあたっては、注文主への確認事項等を元請事業者が責任を持って書面で記録し、注文主・事業者双方で保管する。
□施工上発生した問題やトラブルには、誠意を持って迅速に対応する。
□外注工事で発生した問題やトラブルも、元請事業者が責任を持って迅速に対応する。


5)工程表の提出

□事業者は、工程表を作成し、注文主に提示する。
□工程の検討にあたっては、注文主の日常生活に与える影響を考慮し、細心の配慮をする。
□工程表には、工事箇所、工事内容、工事時期、工事期間等必要な事項をわかりやすく記載する。
□工事後に隠れてしまう部分などの施工状況を注文主が確認できるよう、重要な施工時期を説明する。
□工事着工前に、必要に応じ近隣へ挨拶し、工程の概略を説明する。
□工事完了時も、必要に応じ完了したことを近隣へ報告する。
□施工上、やむを得ず工程の変更が必要となった場合は、速やかに注文主に状況を説明し、協議する。


6)工事打合せ記録書の作成及び工事写真撮影の実施

□工事に関する注文主との確認事項等は書面で記録し、注文主・事業者双方で保管する。
□注文主の希望を的確に聞き取り、よく理解した上で、過不足のない工事内容とする。
□工事施工状況を写真などの記録で残し、整理しておく。
□特に工事後に隠れてしまう部分は、施工後でも確認できるように整理しておく。
□工事内容に変更の必要が生じた場合は、速やかに、原因や対応などを注文主と協議し、合意された協議内容は、工事内容変更合意書として双方で保管する。
□必要に応じ(内容・金額・工期等軽微でない場合等)、改めて変更の契約を行う。
□当初契約と同様に、内容等を注文主に詳しく説明する。


7)工事完了確認書の提出

□工事完了時には、注文主・事業者双方の立会いで、現場を確認する。
□工事完了確認時は、設備機器類やその他の使用上の取扱い説明などを行うとともに、注文主が、安全で長く快適に使用できるよう、維持管理に関する注意点についても詳しく説明する。
□工事完了の確認書を取り交わし、注文主・事業者双方で保管する。
□工事完了確認書とともに、取扱説明書、保証書及び工事写真を含む関係図書等を注文主に引き渡す。


8)アフターサービスの実施

□工事完了後も、消費者の身近な相談相手として良好な関係を築く。
□アフターサービスについて、対象、項目、期間等を予め注文主に説明する。
□不具合発生時は、迅速に状況を把握する。
□緊急を要する場合は、直ちに補修等の対応をする。
□不具合の原因を究明し、注文主とともに対応を検討、確認する。
□必要に応じ、最善の補修方法を検討し、工事内容、工程等を注文主に詳しく説明する。
□瑕疵担保責任に係るものは、民法等法令に従う。
□当初工事と同様に詳しい説明を行い、協議が整った内容を書面にし双方で保管する。
□有償の場合は、費用、内訳等を詳しく提示し、契約書を結ぶ。
□当初工事と同様に、行動基準を守って施工する。
□補修完了を書面で確認する。(当初工事と同様)
□無償の場合も、完了を書面で確認する。


9)標準書式により関係書類を整備

原則として住宅リフォーム推進協議会の「住宅リフォーム工事標準契約書式(小規模工事用)」を使用する。


10)トラブル等への責任ある対応

□リフォーム工事においてトラブル等が発生した場合は、誠意をもって対応する。
□トラブルに速やかに対応できるよう、事業者内の連絡体制を整えておく。
□トラブルの原因を的確に把握し、速やかに原因に応じた適切な対処をする。
□トラブルの原因、対応等を事業者内で周知し、繰り返さないよう対策を図る。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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