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インスペクションを知っていますか?
住まいの「困った」をプロと解決
リフォーム&インテリア編集長
          
末吉正浩

インスペクションあるいはホーム・インスペクションという言葉を聞いたことがありますか。英語では[Home Inspection]と書き、調査、検査、監査という意味です。アメリカでは普通に住宅の購入や住宅建築の際に専門家が行なう検査です。日本でも住宅の状態を調査することを指しています。中古住宅に限らず、完成済みの新築住宅などの調査も該当します。

相次ぐ建築物の偽装、建築トラブル、詐欺事件報道で消費者の不安が増しています。米国の進んだインスペクションが消費者の頼もしい味方として日本でも広がってきそうです。今回はその話題を追ってみました。

1.消費者の住まいの「困った」の現状

偽装が建築から食の方に移った感がありますが、姉歯事件以降も相変わらず建築士から建材までと「本家」の建築偽装がさらに広がっているようです。マスコミによる過剰な報道もありますが、一般消費者の住まいを巡る悩みやトラブルが尽きないものです。

ところで、住宅は、庶民にとって一生に一度といわれるほどに高価な買い物です。

購入するものが払うお金に価する価値あるものなのか、本来なら何にもまして最も注意を払わなければなりません。ところが、「専門的なことはわからない」と業者にまかせきりにしていたために、後で「こんなはずじゃなかった」という事例が絶えることがありません。例えば、

「建て替えの出来ない土地だった」

「金利の高いローンを組んでしまって返済できない」

「申込みを断ったらお金を取られてしまった」

「図面と違う箇所があるけれど聞き入れてくれない」

「建築途中に手抜き工事がないか心配」

「入居間もないのにいろいろな不具合が」

―というような内容です。これらのほとんどの事例が、知識さえあれば未然に防ぐことが出来たものといえます。

建売住宅などの不動産や新築注文住宅の購入時だけでなく、既存住宅や中古住宅、リフォームのユーザーも、

「断熱材不足でカビだらけになってしまった」

「この家ずいぶん揺れるけど大丈夫かな?」

「リフォームを検討しているけれど悪質な業者にだまされたくない。」

「知り合いに建築の専門家がいないので自分だけでは心細い。」

こういう消費者の「困った」の問題の根底には、業界の構造的な問題があるというのです。

2.建築・不動産業界の消費者泣かせの仕組みに

本来、日本の住宅建築工事は、ハウスメーカーや一般工務店が一括元 請けで契約し、設計・施工・監理が同一の業者で行われています。そしてチェックといっても、建てる側の身内で行なっているのが普通です。そのため、ほとんどの現場では、施主側に立った専門会社による検査が実施されていないのです。 このような一括元請システムが、手抜き工事を生みやすくし、欠陥住宅になる最大の要因と言われています。

不動産業から住宅検査会社に転進したある社長は、「建物検査の必要性は、不動産・建設業界で仕事を経験してきた者にとって充分すぎるほど理解できる」と、根本のところには業界の悪い仕組みがあげられる、と次のように指摘しています。

『建設業者は競合会社との価格競争で建築費を安くおさえなければなりません。また、利益確保のためには、下請け業者に低価格で請け負わせるしかないのです。下請け業者が利益を確保しようと思えば、部材の仕様を落としたり、本来必要な手間や部材を省く事になり、欠陥住宅が誕生する結果となります。住宅の要である構造体や断熱材は内装材によって「お化粧」されていると、素人目にはきれいな最新の住宅に見えてしまう』というわけです。

特に建物の基礎部分や天井、外壁、壁の内部、配管部分、その他構造的な部分の判断は消費者の目には、理解が難しいものです。そういう意味で、施主や購入者である素人の消費者が、プロに対抗するには限界があるのです。

3.リフォームでもインスペクション活用で不安の解消

ところで耐震強度偽装事件で、建築基準法の一連の検査体制の問題が表面化し、建築基準法の中間検査や完了検査が、いわば公的なインスペクションとして義務付けられています。それに対し話題となっている民間で行うインスペクションは、購入する住宅が消費者の求める性能に合致するかどうかを調べることが目的なのです。しかし、民間で行われているインスペクションの本旨は、公的検査をカバーするものでもなければ、欠陥を見つけることが狙いでもないのです。

そこで「厳しい目を持った専門家に家を診断して」という要望も消費者の間から出て、それに呼応したビジネスが登場しています。

不動産鑑定士や一級建築士などの住まいのプロが、マンションや戸建住宅購入前の「内覧会」に同行し消費者側に立ったアドバイスや交渉をする、といったビジネスです。

当初は、「内覧会同行」でユーザー側のプロが、不動産業者に対峙しアドバイスしたため、当の不動産業者に嫌われることもあったようです。しかし、したたかな大手の不動産業者は、最近ではその「同行」を織り込んで営業をするまでになっているといいます。

これらのコンサルは、今のところその多くが新築の物件ですが、徐々に中古の住宅やリフォームでも浸透しているようで、今後は一般化しそうです。

なお、民間企業の日本住宅保証検査機構では、新築の第三者検査・保証制度と同様に住宅リフォームでも中間検査・完了検査を行い、第三者の保証を付ける制度もスタートさせました。リフォームを対象としたインスペクション企業も増えているようです。

最近では、リフォームで困った、あるいは不安だという場合には、気軽に専門技術者を抱えているインスペクション業者に依頼する、ということも問題解決の方法になってきたようです。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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