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リフォームにオール電化の時代到来近し
―熱源や動力源をすべて電気でまかなう
            エコ住宅の選択とは?
リフォーム&インテリア編集長
          
末吉正浩

先月から国会では、ガソリン値下げ問題でマスコミが騒いでいますが、今月から同時に電力、ガス、牛乳、食用油、航空運賃などの10%を超える大型値上げラッシュが続いてきます。生活に大きな影響を与える物価高の中、主婦の値上げに対する生活防衛が、今後の大きな課題となっています。キッチン・バスなど住まいの光熱費と深いかかわりのある従来のガスから「オール電化」という、いわば住まいの光熱転換が始まっているようです。

◇既存住宅のリフォーム分野が「オール電化」の焦点に

その時に当たって、TV、雑誌、新聞の広告などで、高効率で低コストのエネルギーで、地球環境にやさしい「オール電化住宅」情報が盛んに流れてきます。光熱費が安くなる、火を使わないので安全、安心、空気も汚れないなど。その中でも、エネルギー代が安くなるとされる最近人気のオール電化は、生活者にとって大きな魅力となってきたようです。住宅建築業者にとって、新築の勢いが落ちている昨今、リフォームが注目され中でも既存住宅を電化する「オール電化リフォーム」が脚光を浴びそうな気配です。

背景には、政府も地球温暖化防止CO2の削減の政策の一環として、エコキュートの拡販に力を注ぎ、2010年までの販売目標を520万台に置いており、今後、年間100万台以上販売しなければならない、ということも追い風でしょう。それで電力会社や国は面子を掛けてオール電化を進めているのです。その受け皿として、住宅設備メーカーも大手住宅企業、それに工務店、リフォーム企業と過熱気味の宣伝、営業合戦が繰り広げられているのです。

新築住宅の「オール電化」と歩をあわせるように、既築住宅のエネルギー転換を狙いとする、またエネルギーコスト大幅削減や地球環境に易しいを大々的にうたう「電化リフォーム」が前面に躍り出てきました。

東京電力の取り組みスタートが遅かったため、全国各地に比べ関東地区での「オール電化」の普及が遅れているといわれますが、今全国各地や北関東などでは、オール電化住宅が一種のブームの状態にあるようです。すでに横浜地区の新築分譲住宅のチラシでも、高級仕様は「オール電化が標準的」という工務店も多くなってきました。オール電化住宅が割高にもかかわらず、一般生活者には人気があるようです。

この人気の波が、既存住宅のオール電化にまで波及しそうな勢いです。先日、中小のリフォーム事業者で組織する大手リフォーム団体の日本増改築産業協会(略称=ジェルコ)で開催した、オール電化リフォームについてのセミナーを取材しました。そのなかで、リフォーム業者のほうから見て、これからのリフォームの主流はオール電化になるという予想を立てていました。同団体が発行した施工業者用の営業・施工マニュアルも参考にレポートします。

◇家で使う熱源や動力源をすべて電気で

オール電化住宅とは、家で使う熱源や動力源をすべて電気でまかなう住宅です。別の言い方をすれば家にガス管の配管がない、あってもガス会社と契約してない状態です(オール電化住宅割引をうける基準)。今までの住宅の違いから簡単に言えば、ガスを使わない、つまり燃焼器具がないということと、給湯に関しては深夜電力でお湯を沸かして、タンクに貯めておくことになります。

新築時にもともとは給湯(ガス湯沸)とコンロにガスを使うことが一般的だったのを、IHクッキングヒーターや電気温水給湯器、電気床暖房などを設置するものが、現在のオール電化の目玉になります。

オール電化のアイテムはたくさんあるのですが、生活者の興味の高いものやはりIHクッキングヒーター、次いでにエコキュートと床暖房が、主婦層のトップ3大人気商品です。

もともとのガスコンロに替わるIHクッキングヒーターは、金額的にも安く、主婦にとって最も関心が高い台所商品で、使い勝手の良さに加えて、清掃性の良さなどから人気が高い商品。さらに室内で、裸火を使わないことから、着衣着火事故を引き起こさない、水蒸気の発生を大幅に抑えることができるために、ダニの発生を抑え、家を長持ちさせることができるなど、ガスコンロと比べてさまざまなプラスアルファーの要素を持っています。

エコキュートは、前述のように地球温暖化防止のための切り札ということで、政府も拡販に力を注いでいる商品です。イニシャルコストの面では、ガス給湯器に比べて倍以上ですが、夜間の割安な電気料金を利用する事で、ランニングコストの面では格段に割安になります。さらに地球環境や家計にもやさしいという大きなメリットがあります。

床暖房は、輻射熱と伝導熱で足もとから暖めてくれ、燃焼がないので部屋の空気はいつもクリーンで健康的。水蒸気の発生も低いため、ダニやカビの原因となる結露もほとんど無いのが特徴とされています。

◇オール電化住宅、一体何がそんなにいいの?

第一に、ガスコンロに変わるIHクッキングヒーター。火を使わないので、消し忘れや火災のリスクを減らす事が出来ます。不完全燃焼によるガス中毒の心配も無いので、小さいお子さんやお年寄りがいる家庭でも安心して使うことが出来ます。料理をする機会が多い女性にとっては掃除が楽ということや、調理時の周辺が暑くなりにくいのというも人気の理由です。

第二に、給湯器。給湯にかかる費用(ランニングコスト)は光熱費全体の3割を占めると言われていますが、特に寒い季節は使用量が増えますので実感できます。給湯器エコキュートは、深夜の割安電力を使ってお湯を沸かすので、コストが抑えられます。

第三に、光熱費。電気にすると光熱費が高くなると心配しますが、オール電化にすることによってよりお得な契約プランで電気を使用することが出来るので、結果として光熱費が大幅にダウンするというメリットがあります。特に割高なプロパンガスを使う家庭では光熱費にかなりの差が出るようです。

ところで、満足できる最適なオール電化プランの要点は、IHクッキングヒーターやエコキュートという設備機器類と、最適な電気契約を組み合わせることになります。高い初期費用をカバーするためには、上手な電気契約が肝心だということを忘れてはなりません。メリット享受の裏には、それなりの問題も隠されています。
使い勝手など実用の面から次に検証してみましょう。

◇給湯器設置スペースや使い過ぎでの湯切れ配慮も

実際にオール電化住宅を経験した方の声を、以下に集めておきます。

(1)やはりオール電化を導入するにあたっての設置工事やガス閉栓、電気工事等にかかるコストは無視できません。給湯器(エコキュート)は、かなり図体が大きいため設置場所に制約があり、狭小住宅地では設置が無理なところも多いので注意が必要。さらに、給湯器は貯水タンク式なので使いすぎると当然湯切れが起こってきます。少し余裕を持ったサイズが必要です。家族の人数が多ければより大きい給湯器が必要です。なお、4人以上の家族の場合に460〜560リットルのタンクが必要になるので、非常に重くなりますから、設置場所には基礎工事が必要になります。

(2)貯めたお湯を使うので、お風呂の追い炊きは出来ません。自動保温または、高温差し湯となり、小さなお子様のいる家庭などでは危険な場合もあります。使い方によっては一日分のお湯が足りなくなったりするので、家族が好きな時間にお風呂に入るというよりも、お湯が冷めないうちに、次々と順番に入らないといけないのです。

(3)夜間お湯を貯めている時間に入浴したりすると、次の日のお湯が足りなくなる場合もあります。貯湯タンクのメンテナンスも年に2〜3回は必要です。

(4)IHクッキングヒーターについては、メリットは燃焼による空気の汚れや、水蒸気が少ない事や、火事の心配がないというように言われていますが、調理すれば当然、油や水蒸気は発生します。IHヒーターは燃焼が無いため上昇気流が発生しないから、油、煙、水蒸気などを効率よく捕集する。そのため、IH専用の換気扇を付けなければ、室内側に流れてしまうので注意。

(5)IHヒーターの鍋は、鍋底が平らで底の直径が12cm〜26cmのもので、重さが1.5kg以上あります。その理由は、軽い鍋ですと、調理中に鍋が動いて踊り出す危険性もあり、また、鍋底が完全に平らでないと、揚げ物などの時に異常加熱を感知するセンサーが正常に機能しないからです。

(5)IHの場合は鍋底しか加熱されない上に、鍋振りも出来ないので、食材を均一に短時間で炒めることが難しい。炒め物は絶対的に火を使った方がおいしく調理できる、という人にはどうしても不満が残ります。

(6)最後に、IHクッキングヒーターによる電磁波問題。電力会社の主張のように、現時点では安全なものとされていますが、身体に影響があるかないかは未だはっきりしていません。しかし、取扱い説明書でも「心臓ペースメーカーをお使いの方は医師とよくご相談下さい」や、「テレビやラジオは3m以上離して下さい」などの記述があります。電磁波と健康の因果関係はまだ解明されていませんが、いいものではないことは確かです。


◇選択のための客観的な判断が試されている

リフォーム業は、今いろいろな業種からの参入により競合が激しくなっているため、新しい分野として登場してきたオール電化リフォームに期待を掛けています。したがって、電力会社や業者のセールスアピールの結果、生まれたブームとしての「オール電化リフォーム」という側面も否定できません。ということは、必ずしも全ての住宅にオール電化のメリットがあるとは言えないわけです。

肝心なのは流行やネームバリューに惑わされないで、本質を見極めることでしょう。さらに言えば、それが自分の家族にとって必要なものなのか、ライフスタイルに合っているのか、それを見極める客観的な判断が、試されているのです。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品?・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設?・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム?・原価のからくり』『住宅リフォーム?・良い業者?・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著?・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著?・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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