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リフォームかわら版

新築に代わり中古住宅重視時代が来るか?
米国と違い日本は
「専門的な検査はせず、見た目の印象で判断」
リフォーム&インテリア編集長
          
末吉正浩

今年2月号のコックさん「リフォームかわら版」の『新しいものが美しい文化の終焉』と、先月号の『いま、あなたの住まいに価値がありますか?』で、中古住宅の問題点、住宅検査などについて述べました。“住まいを求める”ことが、もっぱら新築住宅を指すのではなく、日本でも良質の中古住宅に取って代わろうとする時代が近づいてきました。昨今の200年住宅の話題や今国会に出されている「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の狙いがそこにあり、今回は、「住宅購入者を対象とした」意識調査などを紹介し、現状の中古購入者の意識とその日米の違いなど、さらに内容を深めてみたいと思います。

それにしても日本の「中古住宅」というイメージは良くないですね。
いま「中古」でWeb検索してみました。「中古バイク, 中古パソコン, 中古楽器、中古カメラ, 中古PC, 中古CD, 中古ゲーム, 中古ゴルフクラブ」とあり、一部には「ビンテージ楽器」もあるようですが、一般にはいかにも何か二流・三流品というイメージです。それらと並んで「中古マンション、中古戸建て、中古住宅」と住宅がありますが、ここでも「中古」となるとどうしても使い古しのイメージが付きまといます。それで最近では役所でも「既存住宅」などと呼び方を変えていますが、ここでは「中古住宅」を基本的に使います。

◇住宅建て替え時のCO2排出量の数字は?

ところで、今年夏の洞爺湖サミット開催を目前に控え、環境問題が大きな話題となっています。私たちの地球温暖化に無関心でいられません。個々人としても環境問題に待ったなしで対応が迫られています。

先のかわら版でも述べましたが、「地球の資源問題、温暖化問題などでこれまでのような供給側の論理が通じない事態に急速に直面」しているのは、確かです。特に、住まいからのCO2の排出削減については気になるところです。

日常の居住時の省エネ・環境に配慮する意識は大事ですが、ひんぱんな建て替えが地球環境に大きな影響を与えることは常識となっています。すでに数年前から欧米先進国から、日本の住宅寿命の短さが批判の的にもなっていますが、日常の生活や住宅の建て替え時で、いったいどれくらいのCO2が排出されるものか。日本の住宅は30年間CO2を出していますが、いつ一番多く出すかというと、取り壊して建て替え新築するときです。

それについて、大手住宅メーカーの積水ハウスは、私たちが今住んでいる住まいの環境負荷について、興味ある計算をしています。同社のホームページ「環境に配慮した住まい作り」の中で、「住宅1棟あたり30年間のライフスタイルCO2」ということで、住宅の一生の、住宅の一生を通した環境負荷を把握するため、生産から解体にいたるまでの各段階におけるCO2排出量をライフサイクルアセスメント(LCA)の手法を用いて算出しています。

それによれば、30年間の居住時(照明、給湯、厨房、冷房、調理)のCO2排出量が69.9%(188.8t)、残りの30.1%(33.4t)を建て替え時の原材料、工場生産、輸送、施工、修繕更新、解体、処理、企業活動において排出する―としています。

住宅の寿命は、総務庁の調査によれば「イギリスが141年、アメリカ96年、フランス86年、ドイツ79年」とし、日本のそれは30年と極端に短いのが分ります。

日本と先進各国がその年数で建替えるとして、示された条件・数字などをいわば四捨五入して計算してみましょう。日本で住宅1戸を30年に建て替えるとして、CO2排出量の国際比較をすれば、イギリスの4.7倍、アメリカの3・2倍、フランスの2.9倍、ドイツの2.6倍と、圧倒的な環境負荷を1軒の家がもたらしています。それが、産業廃棄物の中で建設廃材の排出量が圧倒的な割合を占めている原因となっています。

◇中古の流通量を先進国並みに高めるための課題

戦後の焼け野原の時代から一生懸命住宅をつくり続けた結果、4700万世帯に対し住宅ストックが5400万戸あり、その13%の700万戸、10戸に1戸以上の人の住まない空き家(住宅あまり)があります。そのため国では、昨年施行された住生活基本法で、これまでの新築住宅重視の政策を大幅に見直す方針に転換しました。

以前も述べましたが、ある住宅業界関係者は、「今ある4000万戸の戸建住宅は1981年以前か、以降かという違いはありますが、…実際に住めるに十分な家も沢山あり、現状の日本では、もはや “建て替え禁止令”を出す時期ではないか」とまで述べているほどです。いずれにしても、中古住宅の活用は全国民の課題となりそうです。

それでは新しく家を求めたいという人たちはどうすればいいか、先進各国なみに既存住宅(中古住宅)を購入するよう体制を整えようというのです。

国も住宅政策を見直して住生活基本法を施行し、今年は200年住宅関連で法案を作り、先進国で最低の既存(中古)住宅の流通シェアを飛躍的に高めようとしています。具体的には、平成15年の13%から平成27年には23%に上げようという目標を掲げています。達成するには、既存住宅の流通量を12年間で1.7倍の約30万戸にする必要がある、という試算があります。(平成27年の新着着工を100万戸と仮定した場合)

目標は示されましたが、日本人の「新築好み」では、なかなか実現は困難、という見方は少なくありません。このほどリクルート社から興味ある調査研究(既存住宅流通活性化プロジェクトの「住宅購入者調査」)が発表され、中古住宅の実態が明らかになりました。

◇日本人は中古住宅に関心が無いのか

この調査によれば、新築分譲住宅購入者の4割弱は、中古住宅購入も検討したうえで新築を選択しています。内訳は、マンション購入者のうち36%、戸建て購入者のうち41%が既存住宅と並行検討しており、意外に検討段階では中古住宅に関心があることが分ります。

既存住宅を買わなかった一番大きな理由は「折角のマイホームは新築の方がいいから」が4割強を占めています。それに続いて、「価格の妥当性が判断できない」、「リフォーム費用で結局割高に」と、価格の不透明感と品質への不安が合計で6割を占め、けっこう大きな割合になっています。「瑕疵への不安」、「昔の建物は性能・品質が低い」が、合計で4割5分を占めて、これも半数近い比率になっています。

新築購入者の既存物件評価では、「新築へ逃げた層」は、ほぼ全項目についてネガティブな評価をしています。特に、水まわりや内外装の美観に対する評価が厳しく、新築購入者の6割は、物件内覧で「購入意向が減退した」と回答しています。「予算内でどの程度リフォームできるか分らない」、「新築の方が安上がり」「新築購入者は不動産会社からリフォームの提案も受けていない」などが分っています。

新築購入者には、「中古を買ってリフォーム」というアイディアが不足しているようで、結局、リフォームに関する知識・情報のなさが、価格の妥当性の不安を増長させる結果となって、中古と新築の並行検討者を新築へ向かわせる結果となっています。

◇持ち家層の住意識の日米比較−リフォーム内容と住宅検査に違い

日本人の「新築好き」の実態を日米比較調査で見ると、「新築志向」は日本の専売特許ではなく、米国人も潜在的には「新築」を志向しています。

日米の最大の違いは、「見知らぬ人が長年住んだ家への抵抗感」の有無で日本が強い。また経年によって「見栄えが悪くなる」に対して、米国は「味わいが出る」と年季を経た住宅・建物への評価・愛着が強いようです。

また、既存住宅の取得方法では、日本は既存住宅を「リフォーム済みで」7割が購入しており、リフォームは内装が中心。それに対し米国は、「取得時リフォーム」はあまりないが「品質検査(インスペクション)を実施する」4割弱で、リフォームではエクステリアや隠蔽部分もする、となっています。

現在の住居を取得する際の住宅検査(中古住宅購入者/複数回答)では、「専門家検査員の目視による住宅検査」「不動産鑑定士による鑑定」「シロアリ検査」がいずれも日本が数%に止まるのに、米国は6割強で実施しているのが大きな違いで、日本人の検査に対する無理解が際立っています。

買主の取得後のリフォーム内容では、日本のリフォームは、「壁紙・クロス」、「カーペット・フローリング」「水回り」などの内容リフォームが中心。それに対し米国のリフォームは、内装以外にも外壁や屋根など構造の耐久性に関わる補修や、水道・電気・暖房などライフライン系設備のリフォームがみられます。

日本人の新築志向の正体は、建築構造的なこだわりではなく、水回りを中心に、他人の使用した設備などに対する潔癖症的な清潔意識が特徴となっています。逆に自分の使用による劣化には寛容なので、流通市場では悪循環ともなっているのが実情のようです。


◇「既存住宅に対する不安」で購入しない理由に

瑕疵に対する不安は、「物件に隠れた不具合や欠陥があるのではないか」と、既存住宅を購入した層で大きい。新築購入者に特徴的な不安は、「設備の耐用年数、修繕費、前住人、見た目の悪さ」である。買わなかった理由として、「品質に対する不安」と「価格の妥当性」は、後々の修繕費用も込みで心配しているのです。

構造の劣化や品質に対する不安が、「既存住宅を買わなかった理由として大きな影響」と回答は7割以上となっています。しかし、その評価方法は「専門的な検査はせず、見た目の印象で判断」(43.5%)か「特に何もしなかった」(25.3%)と、合計で7割近くを占めています。そして、不動産会社のアドバイスがようやく25%といったところです。現況の品質・性能は、「シロウトの見た目」で判断されているのです。

「新築の方が気持ちが良いから」の真意は、水まわりを中心とする「見た目の悪さ」にあり、また、瑕疵や品質・性能に対する不安の判断基準も「見た目」にあります。

結論で言うと、「本当は中古を買いたかったが、品質が不安だからあきらめた」という切実さはないようです。そして価格情報や性能・品質の評価情報の整備は重要だが、中古住宅の流通活性化には「見た目の悪さ」を改善しなければ、根本的な解決にならない、としています。中古住宅購入には、住宅検査とリフォームの活用こそが肝心、と言えるでしょう。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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