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リフォームかわら版

真夏のドタバタリフォーム奮闘記(前編)
――体力がないと家のリフォームは出来ません――
「紺屋(こうや)の白袴(しろばかま) 」の独り言
リフォーム&インテリア編集長
          
末吉正浩

◇「安易なリフォーム実践の勧め」の戒め

これからリフォームをという読者に、いささかでも参考にと同時進行で自宅の極めて普通のリフォーム工事をレポートしてみます。その期間中は、予想できないことが起きて生活が大いに乱されました。多少のことは予想していましたが、僅か3人の少ない家族の中でもトラブルが発生し、軽く考えていた筆者の甘さに自分ながら呆れています。

いわば典型的な「紺屋(こうや)の白袴(しろばかま)」です。辞書で調べると、「紺屋が自分の袴は染めないで、白袴をはいている意で専門としていることについて、それが自分の身に及ぶ場合には、かえって顧みないものであるというたとえ。髪結い髪結わず。医者の不養生」(大辞泉から)と言うことになるようです。

日頃、リフォームのことについて書いたり話したりし、この業界専門でウン10年とうぬぼれていましたが、今回自らがリフォームしてみて分りました。リフォームについてあれこれ指摘するものの、「自身のリフォームについてはなかなか思い当たらない」という、まさしく「紺屋の白袴」でした。つまり、いつもの業者(供給)側からの目線でみていると、頭では分かっているつもりでしたが、リフォームユーザーの立場に建って物を考えるということは、言うは易く、現実にはなかなか難しいようです。

◇なぜ今リフォームに踏み切ったか

先日、急につれあいから「来週の月曜日からリフォームを始めるよ」との宣言がありました。ところでわが家の建物や設備の実態は、というと、点検や更新・取替え「家の点検の目安」(表=「住宅金融公庫」の資料から)に当てはめてみると、すでに家のすべての設備や壁紙などの劣化は激しく、北側の洋間の結露で変色しめくれ上がっています。

また、メンテナンスの実施は、10数年前に行ったきり、近年話題の地震対策もこれまで気にはしていても対策はしていません。極めて楽観的でルーズな、現在の日本の家もち庶民の典型です。

大幅なリフォームは、10数年前からわが家の懸案だったのですが、今とりあえず最低の改修工事は必要で、遅かったくらいです。表に従って、具体的な不具合の箇所を洗いだしてみます。

まず、当方の住まいは、郊外のメゾネットタイプの3階建てマンションで、その2階部分の4LDK。1986年だから築22年といったところ。その間ろくな補修もしていない。居住者は60代の夫婦と同居の成人の息子の3人暮らし。


主婦の憧れはリフォームで最新のキッチン設備
・給排水管。壁や床の中など隠蔽部分なので何とも判断できないのですが、20年なので何とも。2回目の大規模修繕が数年前にあり、問題はなさそう。なお、強制的になされる外装から基本構造に関わるそれらの工事は、管理組合が行うため考慮外です。

・水洗金具。方々のパッキンがいかれ水漏れもあり、金具も一部取れて壊れている。

・キッチン・シンク・洗面。収納が不十分の上、設備の老朽化がはなはだしい。


・トイレ。20年以上前の製品なので水の量や音もが大。新式の洗浄便座にしたい。

・ユニットバス。シャワーもすでにガタが来て取っ手部分がいかれ、給水感知のセンサーもだめ、水抜きの栓も鎖が駄目で、ビニール紐で結わえて代替している状態がここ数年続いています。

・給湯器。すでに壊れかけの建築当初からの給湯器は、ガスのエネルギー転換・点検時にガス会社の係員が不注意で不具合にしたため、責任を取り燃焼部分の部品を交換した。そのため、給湯器本体の寿命が延びているのだが、外観はおんぼろで錆付き蜘蛛の巣が張り、カバーも取れかかっている。

・電気設備などその他設備。パソコンや電話配線で蛸足状態。その他のほとんどの設備が20年以上経過して劣化が著しいため、取替えの時期に来ている。

それでリフォームの目的は、まずキッチン、バスルーム、トイレといった水回り設備の総取り替えがメインで、洋間3部屋の壁紙張替えや和室の壁紙と畳の表替えで、耐震で最も問題にされている金具止め10数箇所となっている。

不具合は、台所の水栓がいかれている上に、4つ口もあるコンロがいずれも壊れていて、2口は完全にダメ、後の2口は何とか火が点くが、マッチやライターなど火付け道具がなければ点火できない。ガス噴出口の一部偏り火が横に噴出し、初めての人には危なくてガスが使えない。我が家では、料理のたび「何とかしなくちゃ」が口癖になっていたもので、つれ合いが仕事を定年退職直前の数年前からの懸案でした。そして今、我慢の限度に立ち至ったわけで、やっと思い切ってリフォームへと踏み出したのです。

◇業者は2社から1社に絞る

地元のガス会社系のリフォーム会社とマンション管理会社系のリフォーム会社0で見積もり合わせを行ない、結局、価格や対応の面で後者に決まりました。リフォームの担当はと言うと、当初のS氏が4月の転勤でA氏になっているが、技術者タイプで寡黙だが真面目そうで、その上小柄で気が利くような雰囲気の30代後半のようです。早速見積もりの打ち合わせに入りました。
当初の予定でリフォームを試算したところ、660万円と言うことでしたが、わが家の家計上削るべしとの方針から、結露防止の二重ガラス、洗面台の取替え、分電盤増設、クローゼット増設を取りやめ、430万円に抑えたのです。

つまり、極めて現在のリフォーム調査でも見られる平均的なリフォームといったところ。
つれあいはインターネットで価格や商品を検討し、団地の集会場で開かれるリフォーム相談会で情報を得ています。なお、今回リフォームについて、業者選びから見積もり、契約まで筆者は一切関与していません。紺屋はカヤの外です。

予算が限定されているとなれば、幅広く満遍なく安価なリフォームするか、あるいは気に入った高額の設備を絞った箇所に配置するか、の2点の選択が迫られるのです。後者に
「500万円以内であれば、主婦のヘソクリでもでき、主婦主導のリフォームが主」が常道かもしれない。今回のリフォームの主権者はわが家でも主婦でした。

◇暮らしながらの工事は日常生活に影響が出る

「リフォームは暮らしながらが普通」といわれています。その普通が曲者で非常な苦痛を施主に与えるもので、当のリフォーム施主にとってはつらい期間ということです。施主を「リフォームで病気にし、建替えでは死に至らせる」とあるリフォーム業者が言ったことを思い出しました。「建替え新築間もなくで葬式を出し、リフォームが終わったら病院通い」というものです。


北側洋室の結露で、壁紙が剥がれ落ちている
その例えは極端にしても、普通のリフォームユーザーにとって、普通の暮らしながらのリフォームは、現場が寝起きする自宅だけに、作業をこなす職人さん以上に施主は気を配り、気ばかりではなく荷物の移動・整理など気力・体力ともに消耗するのです。工事の期間中ながら職人が入らない日曜日や予備日は、施主が安心して休める貴重な日々でもあります。職人の仕事場の移動にあわせて荷物を移動させることは、高齢者にとってはかなりの負担となるでしょう。それこそ「体力のあるうちにリフォームや建替えをしましょう」となるのではないでしょうか。


わが家では、わずか2週間超のリフォームでしたが、居ながらのリフォームで1ヶ月近くの工事も少なくないと、統計では出ています。普通のリフォームで我慢し、神経をすり減らす人は少なくないようです。リフォームが住宅産業界の中でメジャー化しないのは、この辺にも問題がありそうです。工事現場は顧客満足になっていないからです。

大規模なリフォーム工事の場合には仮住まいもありえますが、部分的なリフォームの場合には、住まいながら工事を進める「居ながら工事」が一般的です。居ながら工事の場合には様々な注意が必要で、軽視してはいけません。居ながら工事の際にも、日常生活の一部の機能が制限されるほか、工事中の騒音や振動、粉塵、シックハウスなどの対策が求められますので、事前に業者に確認しておくことが重要です。


なぜ、居ながらの工事が多いのでしょうか。単に仮住まいすれば高いと言うことだけではなく、リフォーム特有の細かさにもその原因があるのです。これはリフォームが小工事といえども図面だけの指示だけではなく、現場の状況に的確に指示ができなければならないからです。つねに「奥さんこれは……」と、設備機器の位置、色の指定など、図面にあっても担当者がその都度確認してきます。また、荷物の管理や貴重品の紛失の問題などの保管にも気を使うからです。

(次回の後編では工程表に基づいた現場リアルタイム報告の予定です)


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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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