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リフォーム・旬刊タイムス
少子化の現実と住生活基本法の時代、そしてリフォームの役割
リフォーム&インテリア編集長 末吉正浩

★6月冒頭の2つのNEWSが示す新しい時代
■6月1日に厚生労働省は「出生率1.25と少子化が加速」し、これまでの国の予想より早く、05年の人口が統計調査を始めて以来はじめて自然減となった、と発表しています。また、翌2日に「住生活基本法」が参議院で可決成立し、8日に公布と同時に施行されました。人口減少社会を迎え、住宅政策が新築に代表される量から質に切り替わることを、6月冒頭の二つのNEWSは、今後のわが国の住まいのあり方を象徴しているようです。まず、その年に1人の女性が産むと推定される子供の数が1.25人(東京は0.98人)と最低となったため、05年にわが国の人口が2万1000人減(同年の出生者が死亡者を上回った数)をスタートに、今後毎年人口減が続くものと見られます。その結果、人口の増加を当てにした経済活動に打撃を与えると予想されるのですが、当然ながら住宅分野も例外ではありません。すでにわが国の総住宅数は5389万戸、総世帯数は4716万世帯に達しており、空き家が573万戸と空家1割以上になっています。現状でもこの有り余る住宅をどうするかが国の重要課題で、もはや住宅総数を増やすことは考えられないのが実態です。


住生活基本法は生活者重視の住宅政策の柱に
■おさらいしてみましょう。「団塊世代」とは、昭和22〜24年(1947〜1949年)生まれのことを言う。上記3年間の出生数は806万人ですが、2004年現在(総務省推計)676万人となり、この世代が総人口の5.4%を占め、出生率が1.29の現在では考えられない数字です。自分のまわりや親戚縁者にやがて退職を迎える人たちがたくさん見られるはずです。この人たちのほとんどが「団塊」と呼ばれる世代なのです。広告最大手の電通は、団塊の世代が定年を迎え大量の退職者が出るとされる2007年前後に、団塊世代のサラリーマンが、退職をきっかけに消費活動などを活発化させるとみられ、その経済効果は2007年からの5年間で、およそ15兆3000億円余りに及ぶ大きな経済効果が見込まれると試算しています。このうち直接、消費を押し上げる効果はおよそ7兆7000億円です。その内訳として、退職後の住み替えや住宅リフォーム、別荘購入に4兆円ほど、国内外への旅行については1兆1000億円、資産運用のための金融商品の購入や新車など高額商品の購入も期待されるとしています。また、こうした消費の膨らみが物流、建築などにも波及し、最終的には15兆円程度の経済効果を生むと分析されています。最大手の野村証券は、団塊世代の退職金総額が約81兆円に達すると推計しています。それは韓国の年間の国内総生産(GDP)に匹敵するケタ外れの規模になるようで、いかに大きな金額かが想像できます。関連して電通が行った、2000年までに退職した一定富裕層のアンケート調査によると、退職金の使途は、総額の53%を「老後の資金」、21%を「株式、投資、不動産など資産運用」にとしており、使途は「夫婦で相談して決める」が47%と最大でした。また高額商品の購入品目は「パソコン」「車」「家・別荘の購入、家のリフォーム」「旅行」「株やファンド」「デジタルカメラ・デジタルビデオカメラ」となっています。退職後の大型の買い物に、家のリフォームが、旅行や車と並んでいることに注目したいところです。

★団塊世代の特徴−プライド、自己主張が強いなど
■もう一つ考えなければならないことは、団塊の世代の大量退職に象徴される急速な高齢社会の到来です。高齢化に併せて、住宅も長寿命そしてバリアフリー化が必須となります。そのため前述の新しい法律「住生活基本法」が登場したのです。もともとこの法律の名前は「住宅基本法」となって審議が始められていましたが、生活者といういわばユーザーの位置に転換したソフト面が重視され、住生活の安定向上が主な課題となる、ということで、「住生活基本法」に変更されたという経緯があります。
従来の供給者の論理で政策決定がなされてきたハード重視の住宅政策が、安心・安全が前面になり、一気にソフトへ転換する気配が濃厚になってきました。
例えば、5年計画で成果として「良質な住宅ストック形成に向けて数値目標」が策定されます。それが(1)新耐震基準適合率(2)新築住宅の次世代省エネ基準適合率(3)住宅のバリアフリー化率(4)重点密集市街地のうち最低限の安全性が確保された市街地割合(5)適正な長期修繕計画があるマンション管理組合の割合、の5項目が挙げられています。国交省では、全国計画で耐震化率、バリアフリー率、省エネ率、性能表示実施率などのアウトカム目標を定める方針を出しています。  以上の計画目標のほとんどが、一目瞭然でリフォームビジネスなくしては考えられない課題なのです。

注目される「ストックビジネス」でリフォーム業者の出番
■ある経済評論家は、「この新基本法が中古住宅流通のあり方を根本的に変える可能性もあります。真の意味で、良質なストックを蓄積する新築部門とその良質なストックを活用する流通部門の両輪が必要な時代に入っていく事となるでしょう」と指摘し、未開拓部門の中古住宅との関連を先読みしています。
この「住宅基本法」の趣旨は、今後の住宅政策が「良質なストック形成に向けた政策」が展開されることになるというのですが、具体的にはリフォームでなければ解決しえない問題が山積しているように見えます。
従来、ともすればリフォームとは、生活者から補修、修繕と同一視される傾向が強かったのですが、この間の「悪徳リフォーム」問題などで、ユーザーからリフォーム業者の質が問われるようになってきたのでないでしょうか。しかも、現実に市場の90%以上の大半を担っているのが、工務店やリフォーム店です。高度なリフォームの施工技術を有する工務店の力を持ってすれば、国策として掲げられている耐震化率、バリアフリー率、省エネ率を高めうる大きな要因となろう。
そして「ストックビジネス」の一つである住宅リフォーム事業が、良質な住宅供給、愛着が持てる居住環境、既存住宅の有効活用、高齢者や子育て世代への配慮が盛り込まれる政策課題を、ビジネスの面から実現に持っていくのが役割です。
リフォーム事業の出番はこれからだ、ということを、6月のNEWSは示唆してはいないでしょうか。


住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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