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リフォーム・旬刊タイムス
震災では家具が凶器になるが対策は3割未満
リフォーム&インテリア編集長
 末吉正浩

理由は家具や壁に傷がつくからなど

9月1日は防災の日で、この日をスタートとして今月中、東京都をはじめ関東各都県で、避難訓練などの災害時を想定した防災訓練などが催されます。1923年(大正12年)のこの日に起きた「関東大震災の教訓を忘れない」という意味と、この時期に多い「台風への心構え」の意味もこめて制定されました。9月は、防災意識を高めるための展示会やイベントが多く、震災や台風の被害対策などすまいの防災について考える絶好の機会です。

ところで、過去の大きな災害を振り返ると、1995年の阪神・淡路大震災や新潟県中越地震では、建物自体は大丈夫でも、多くの家で家具が転倒、落下し、家具の下敷きになったり、割れたガラスなどでケガをした被害が多数でました。建物が倒壊しない程度の揺れであっても、家具の転倒により下敷きになって負傷もしくは死亡が報告されています。

家具の転倒・落下により、ケガをするだけでなく、倒れた家具により、部屋の出入り口や廊下がふさがれ、避難することが困難にもなります。

にもかかわらず、避難訓練より家具転倒防止の対策が少数という調査結果もあります。家具転倒防止の重要性は、もっと注目されてもいいのではないでしょうか。防災・耐震というと何か大掛かりな対策だけを想定しがちですが、簡単に誰でも実行出来る効果的な対策もあります。

8月29日のNHKの朝のNEWSでは、東京・ 武蔵野市 では家具転倒防止の一般市民の対策に、1万円を限度に補助金を出すことを決めたと報じています。このような自治体の施策によって、市民の命を守る防災の具体策がより浸透していくことを期待したいものです。

家具転倒で震災被害者の4割が負傷

東京消防庁の「新潟県中越地震」の現地調査で、震源周辺の長岡地域及び小千谷地域において消防本部が搬送した負傷者216名のうち、年齢別で全体の約6割を60歳以上の高齢者が占め、女性が全体の6割以上、家具類の転倒・落下物による負傷者が全体の4割以上を占めている―とレポートしています。

さらに、地震発生時間が18時頃の夕食準備等で台所にいた人が多かったため、転倒した食器棚から散乱したガラス類を踏みつけ、負傷した例が多数あり、やけども多く発生していました。防災面では、家具転倒対策の重要性が問われています。(グラフ参照)

また、家具の転倒はケガだけではなく、避難や救助の妨げにもなります。未然に防げるかもしれない被害も、家具の転倒防止対策を怠ったために多くの被害が発生することも予想されます。室内の危険箇所を点検し、日ごろから家具を固定したり、配置を考えて地震に備える心がけが大事です。しかし、総理府が実施した調査によると、国民の3人に1人は大地震に対し何も備えをしていないといわれ、まだまだ防災意識は低いようです

家具転倒対策未実施者の7割以上が実施意向

同じく東京消防庁が、04年に実施した「都民の家具転倒防止対策に関するアンケート調査」(東京消防庁職員による訪問面接調査、有効回答数 2,138対象)によれば、家具転倒防止実施率が27.8%。これは、「避難場所の確認」や「防災訓練・避難訓練への参加」といった他の防災対策と比較すると、相対的に低いことがわかりました。

また、各家庭で普及率が高い主要家具(食器棚、冷蔵庫、タンス、本棚及びテレビの5点)のうち、複数の家具への実施率は、10〜16%程度でした。(タンス+食器棚+本棚の3点に実施している場合の実施率は10.3%、タンス+本棚で13.5%、タンス+食器棚で16.2%、食器棚+本棚で12.6%となっています。このことから、実質的な転倒防止対策実施率は、概ね10〜16%とさらに低いことが分かりました。

内訳では、居住階が高いほど家具転倒実施率は低い傾向にあり、単純化してまとめるなら、「70歳代」、「賃貸居住者」、「高層階居住者」において低いようです。

 現在、家具類の転倒・落下防止対策を実施していない人の7割以上は、今後実施したいという意向をもっており、今後の普及率の向上が期待できます。 特に、実施率が低い70歳代で、高い実施意向を持っていることから、必要性は認識されているようです。

家具や壁などに傷をつけるから実施しない

主な実施しない理由は、「壁や家具に傷をつけるから」、「家具の見た目が悪くなるから」といった、外観を気にした意見が多数でした。タンス、食器棚については、年代や住居の所有形態に係わらず、壁や家具の傷を気にした理由が最多。これは器具をつけることによって、内装の美観が損なわれることを敬遠するためと推察されます。一方で、テレビについては、転倒落下の危険性について認識していない人が多い。これはテレビの設置場所が低い位置にあることから、転倒防止措置の必要性がないと考えていることと思われます。

逆に実施理由は年代を問わず、「自分や家族を守る上で必要だ」が約9割で、最大の理由で、さらに、「テレビや本で見たから」を挙げている人が多く、「実施方法が簡単だから」、「時間をかけずに実施できるから」など、手軽な防災対策の一つとしてとらえています。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 末吉正浩
プロフィール
沖縄県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業。重化学工業・食品・住宅など各産業専門誌に記者として勤務した後、85年(株)コスモジャーナル社を設立し、隔週刊『リフォーム&インテリア』を創刊。同年より同誌編集長となり、現在に至る。
主な著書に『リフォームで儲ける建設・不動産会社』『笑いの止まらないリフォーム会社の作り方』『住宅リフォーム・原価のからくり』『住宅リフォーム・良い業者・ダメな業者』(エール出版社)『インテリアリフォーム百科』(共著・インテリア産業協会)『住宅リフォーム実務マニュアル』(共著・産業調査会)など多数。
 住☆リフォーム・ねっと http://www.cosmoj.co.jp/

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