セルロースファイバーは、新聞紙を粉々にしてホウ酸を混ぜてつくられる天然木質繊維の断熱材です。熱伝導率が低く、熱が伝わりにくい性質を持っています。断熱材の場合、熱を伝える物質は空気ですが、空気が動かなければ熱は伝わりません。一般の断熱材は繊維の間に多くの動かない空気を封じ込めて断熱効果を高めています。けれども天然木質繊維を原料とするセルロースファイバーは、繊維の間の気泡だけでなく、繊維の中にも多くの動かない空気を持っていて、この二重の空気層がダブル効果で高い断熱性を発揮します。ちなみに、つくるときに混ぜるホウ酸は医療や肥料、食器等にも使われている薬品で、毒性が非常に弱く人体への蓄積や残留はほとんどないといわれています。逆に、カビや腐朽菌の生育を阻止する働きがあり、ゴキブリやシロアリ、ダニなどの害虫を寄せ付けない効果があります。セルロースファイバーは、人体への影響が少ないエコ材料であることが最大の特徴で、断熱材では唯一エコマークを取得しています。
セルロースファイバーは欧米諸国で広く利用されていて、住宅の断熱材としてすでに60年の実績を持っています。アメリカの断熱材シェアは、セルロースファイバーが35%でトップ。グラスウール(28%)、ウレタンフォーム(14%)、ロックウール(13%)を大きく引き離しています。ですが、日本でのセルロースファイバーの歴史は約20年とのこと。日本ではこれまで断熱材といえば比較的安価な、無機質繊維系断熱材(グラスウールやロックウールなど)や発泡系固形断熱材(発泡ウレタン、スチレンなど)がほとんどを占め、セルロースファイバーのシェアは約3%とか。けれども昨今環境問題がクローズアップされ、これまでの断熱材を見直す動きが出ています。
地球温暖化の原因の一つといわれるCO2の排出を減らすためには住宅の省エネルギー化の向上、建設資材のリサイクルの必要性が求められます。自然素材の活用は、室内汚染を防ぐためにも効果があります。セルロースファイバーの工事は、一般にブローイン工法という吹き込みで行われます。工事に手間がかかるのがこれまで普及を遅らせてきた原因の一つですが、手の届かない天井裏や狭い場所にも確実に施工でき、すき間がないため冬の寒さや、夏は屋根からの熱の侵入も防ぎます。かつ、建物が解体されたときはリサイクルも可能で、ほとんどエンドレスにリサイクルできるそうです。そして最後は土に還る天然素材です。もっと、使うべきだと思うのですが。