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ぶつくさおばちゃんの独り言
「飼うべきか飼わざるべきか ワンワン騒動」の巻き
エッセイスト ぶつくさおばちゃん

 あまりの運動不足を見かねて、ある日突然「犬を飼ったらどう?」とお父ちゃんが言い出した。どうやら、散歩やスポーツセンター通いといった自主性が重んじられる対策では効果はないと判断し、犬を飼えば雨が降ろうが雪が降ろうが必然的に朝夕2回の散歩が日課になると考えたらしい。ご主人様の運動不足解消のために飼われる犬も可哀想だか、惹きつけられる提案ではある。以来、ホームセンターのペットショップコーナーを覗いたり、近くの動物愛護センターに出かけたりと、すっかりその気になっている。盲導犬を子犬の間だけ預かるパピーウォーカーも考えてみたが、訓練施設から車で1時間半以内という条件に合わず諦めた。

しかし、問題はどこで飼うかである。最近はゴールデンレトリーバーのような大型犬を室内で飼っているお宅も増えているようだが、大小に関わらず動物は屋外で飼うべしというのがおばちゃんの原則である。というよりも、わが家は間取り的にも機能的にも、動物を家の中で飼えるような環境にないと言った方が正しい。一方、言い出しっぺのご本人はというと、犬と戯れる自分の姿を想像しては家の中で犬を飼う正当性を主張してくる。

「本で読んだけど、犬は群れで生活する動物だから外に独りにしておくと寂しがるらしいぜ。いつも飼い主の姿が目に入るところに居場所を作ってあげましょう、だってさ」

「ということは、家の中で飼いなさいっていうこと? この狭い部屋じゃ無理だわね。それに体臭がするので時々身体を洗ってやるようにとも書いてあるわ」

「フローリングの床は滑りやすいから、床材はカーペットとか滑りにくいものに変えなきゃならないし、滑って股関節脱臼する犬も多いそうよ」

 対するおばちゃんも、何とか家の中で飼うことだけは阻止したいと反論を並べ立てる。

どうも昨今の世の中は、犬を家の中で飼うことが当たり前のようになっているらしい。先日、テレビでペット共生マンションというのが紹介されていたが、各戸には玄関の外にワンちゃん専用の足洗い場が備え付けられ、室内のドアには犬やネコ専用の小さなくぐり戸がついていた。ペットの専門雑誌を見れば、土間を有効に生かしたアイデアたっぷりのお宅が紹介されている。ペット専用洗面化粧台、傷や汚れの目立たないペット対応の床材や壁材、ペットの臭いを吸着・分解する天井材など、ネコも犬も家の中で自らの居場所を着々と確立しつつある。

それにしても、犬を飼うのに何時からこんなに手間がかかるようになったのだろう。第一、昔はどこの家でも犬は外で飼っていたではないか。土足で家の中に入る欧米の家はともかく、玄関で靴を脱ぎ、内と外を厳格に分ける日本の家屋で、動物が自由に内と外を出入りするのには正直言ってやはり抵抗がある。でも犬は飼いたいし・・・という訳で、家族会議で対策案を検討することになった。有力案はリビングの掃き出し窓の外にデッキを張り出してワンちゃんスペースにする案である。

「デッキは日曜大工で作るとして、基礎だけはきちんと工事してもらった方がいいね」

「雨の日はどうする。夏だって暑いぞ。やっぱり屋根もかけてやろうよ」

「それなら葡萄棚がいいな。お洒落だし実もなるし、一挙両得」

「ところで犬の寿命ってどれくらい?」

「4、5年から、最も長くて15年くらいかな」

「ということは、その頃には私たちもお爺ちゃん、お婆ちゃんというわけね。まぁ、ペットと一緒に年を取るのも悪くないか」

「そう思うだろう。だからさ、家の中にも自由に出入りさせてやろうよ」

新しい家族を迎えるというのはやっぱり楽しいものである。


とはいえ、開放的だった昔の日本家屋と違い、いまの高気密高断熱住宅では犬一匹飼うにも臭い対策や何やかにやで難しいものがある。わが家も結論を出すまでにはもう少し時間がかかりそうだ。 

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ぶつくさおばちゃん
エッセイスト。雑誌・新聞社、住宅メーカーなどの編集業務に携わり、現在、エッセイストとして活躍。

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