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ぶつくさおばちゃんの独り言
「日本人は天才や!」の巻
エッセイスト ぶつくさおばちゃん

知り合いの工務店さんから、「船上ショールーム」というのが今度来るから見に来ないかとお誘いを頂いた。ニュージーランドを拠点に木材の育成供給を行なっている日本企業が輸送船をショールームに改装して、自社ブランドの木材を使った内装材や建具、構造材など各種商品を展示して全国の港を回っているのだという。なんというグッドアイディア。「さすが地球規模で仕事をしている会社はやることが違うね!」と、さっそく出かけた。

ワンフロアーを6つに仕切った各コーナーには、同社のシリーズ商品を使った和風及び洋風リビング、ダイニングキッチンなどが提案されていて、その洗練された空間構成に、ここが船内であることをすっかり忘れるほどであった。それにしても内装材や建具類の表面加工のバリエーションの多彩なこと。ドア一枚の塗装にもとことん美を追究するこのこだわりようは、日本人の面目躍如といったところか。


話は変わって、おばちゃんのもっかの関心は網戸である。実はわが家の窓は、和室と掃き出し窓以外は、すべて外開き窓になっている。これは企画型の住宅に多いらしいが、当時はとにかく予算内に納めることで頭がいっぱいだったので、窓の形状にまで頭が回らなかったのである。確かに気密性は抜群だ。けれども、外開き窓というのは開けるときはいいが、閉める時は手が届きにくくて結構大変だ。何より網戸がない。

内開きや上げ下げ窓の場合は外側に網戸を付けられるが、外開きの場合は内側に網戸を取り付けると、窓を開け閉めするたびに網戸を外さなければならないので、結果、付けられないことになる。本当に必要なのは1年のうちのわずか1〜2ヶ月のことではあるが、やはり場所によっては、網戸はあった方がいい。


仕事柄、色々なお宅を取材させていただく機会があるが、ついつい網戸に目がいく。やはり、といっては何だが、こうした細かな箇所に気の利いた工夫が見られるのは、設計事務所が関わったお宅に多い。お施主さんもデザイン性にこだわる方が多いからだろう。市販の商品がなければ作りましょうという訳だが、毎日目につくものだから、多少の出費はあっても、こういうところにこそお金をかけたいという気持ちはよく分かる。


先日訪問したお宅で、折り畳み式網戸というのを見て、「おっ、やるじゃない」と思わず唸った。「庭の景色を楽しむために、掃き出し窓を全開に出来るようにしたい」というお施主さんの希望を受けて、建築士氏は窓を左右開きの引き戸にして、壁の中に引き込めるようにした。とは言っても、夏の夜はどうしても虫が入ってくる。そこで問題は網戸である。色々探し回ってやっと見つけたのが、この折り畳み式網戸というわけだ。

網戸を襖のように左右に引き開けるとプリーツ状に折り畳まれ、左右の桟にぴたっと収まり、全く目立たなくなる。閉めても網目が細くこまかく、それほど視界の邪魔にはならない。サイズは窓に合わせて特注したそうだが、これを応用すれば網戸にまつわる様々な制約をクリアできるかもしれないと、久々に感動した。さらに調べてみると、タイプは違うが、他に玄関用に同様の製品が市販されていた。

消費者の要望にとことん応えようとするメーカーの姿勢も凄いが、それを可能にした素材1つ1つの技術の高さも凄い。用の美の伝統をサッシにまで追求する日本人は、
もしかして、遊びの天才なのかもしれない。

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ぶつくさおばちゃん
プロフィール

エッセイスト。雑誌・新聞社、住宅メーカーなどの編集業務に携わり、現在、エッセイストとして活躍。

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