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ぶつくさおばちゃんの独り言
「恥を言わねば理が聞こえぬ」の巻
エッセイスト ぶつくさおばちゃん

ご近所の井戸端会議は今、偽装事件の話題でもちきりだ。

旦那さんの大阪出張土産は「赤福」と決めているマリちゃんは、

「うっそ〜、あんなに美味しいのに。さすが日本の冷凍技術は素晴らしい〜」
と、変なところで感心している。

「商売を広げようと思ったら、すべて作りたてなんて無理なことを言わずに、冷凍ですけど美味しゅうおすえ、とでも言っておけば、さすがは老舗、解凍しても美味しい、で済んだものを。売れ残ったら即廃棄処理にする方が、ずっともったいないと思わない」

「食肉偽装のあの社長さんも、考えてみればもったいないわねぇ。クズ肉とは言え、みんなが美味しいって食べてたわけでしょう。色んな種類のクズ肉を集めて、それだけの味を出すには人知れぬ苦労と努力があったはずなのに、そのすべてが一瞬にしてパーになって、天下の悪役にされちゃった」

「偽装するために開発した機械で、農林水産大臣賞をもらったって話よ。それだけの才能がありながら、なんでこんな事になっちゃうんだろうね」

「ねぇ、ねぇ、知ってた? 週刊誌で読んだけど、再生紙って、国内の古紙は質が良くて高く売れるから海外に輸出して、代わりに外国から、それもあまり質の良くない古紙まで輸入して古紙の含有率を上げてるんだって」

「どうりで、うちのパソコンの再生紙、インクの乗りが悪いのよね。製紙会社が古紙の割合を偽って低くしなければ、消費者の求める品質にはとてもじゃないけど追いつけなかったという言い訳も、まんざら嘘じゃなさそうね」

「だったら最初から、ゴメンナサイ。わが社の今の技術では古紙100%のエコ用紙は出来ませんと宣言して、古紙何パーセント含有紙として売り出せばいいのにね。その話が本当なら、わざわざ古紙を輸入してまでやらなきゃいけない事なのかなぁ」

「第一、古紙100%の再生紙以外は使ってはいけませんと押しつけるお役所の方がどうかしてるわね。要求だけ突きつけて、現状と向き合おうとしないというか。これって、技術立国を自称するニッポンの奢りだと思わない。我々に不可能はない、なんちゃって」

「挙げ句の果てに、これまでに作った質の良いエコ用紙は、偽装表示のため販売しませんだなんて本末転倒。もし無理して古紙100%の再生紙が出来たとして、そのために訳の分からない化学薬品が大量に使われたりしたら、それこそ元も子もないじゃない」

「日本人って、完璧を求め過ぎるところがあるからね、どうしても無理が祟るというか・・・」

とまぁ、情報通のおばちゃんたちだけあって、話の矛先は留まることを知らない。

完璧と言えば、以前、「コックさんなるほどトーク&トーク その2」に、姫路城天守閣の心柱の話が載っていた。解説書によると、関ヶ原の役後、徳川家康の女婿池田輝政が入封し、慶長6年(1601年)から8年の歳月を費やして現在の規模に城を拡張し、姫山に5層7階の天守を築いたと言われている。

この天守閣を支えていたのが、直径1メートル近い2本の心柱で、昭和31年から39年にかけて行なわれた「昭和の大修理」の際、2本のうち東の心柱の内部に腐食が見られたため、新しい柱に取り替えられた、とある。この時に使われていたのがツガの木で、この一事を持って、だから木はヒノキでなければダメだという話になったらしい。

腐ったとはいえ、国宝姫路城の地上6階、地下1階の天守閣を350年以上も支えた木である。「350年も良く頑張ったね」と言ってあげればいいものを、「350年しか持たなかった。だからお前はダメだ」と言われたのでは、心柱があまりにも可哀想ではないか。

関西に出かけた折りに、さっそく姫路城を訪れると、噂の東の心柱は、城の敷地の一角にひっそりと保存展示されていた。

「この価格で出来るのはここまでです」。「この工期では安心安全は保証できません」。「今の技術ではここまでが限界です」。

喉元まで出かかっているのに言えない社会、言わせない社会。身の程というものを日本全体で考え直し、みんなで知恵を出し合う時が、いま来ているような気がする。

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ぶつくさおばちゃん
プロフィール

エッセイスト。雑誌・新聞社、住宅メーカーなどの編集業務に携わり、現在、エッセイストとして活躍。

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