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先日、甥の結婚式に行ってきた。
一ヶ月以上も前から、さぁ、何を着ていこうかと、親戚のオバチャンたちと打ち合わせが始まった。着物が多数派を占めたが、仕切り屋のオバサマが「6月は単衣が常識ですよ」と釘を刺したから、さぁ、大変。着物を着慣れていない若いオバチャンたちは、ウチに単衣の着物なんかあったかしらと箪笥をひっくり返す羽目になった。
何しろ着物と言えば結婚前に親に揃えてもらったものが何枚かあるぐらいで、着る機会もそうあるわけではない。ましてや、着物に季節があるなんて、さらさら考えもしなかった無知なワタシ。
着物を引っ張り出してふと困った。わが家には衣紋掛けを吊しておくのにちょうど良い鴨居がないのである。窓や押し入れ、出入り口には当然鴨居はあるが、わが家の場合、着物を掛けて風を通す場所としては適当とはいえない。
略式の和室だから、当然、長押もない。おばちゃんの子どもの頃の記憶では、昔の和室には長押があって、フック状の金具を掛けられる構造になっていたような気がする。だから、木に傷を付けることなく衣紋掛けだろうがハンガーだろうが、何だって掛けられた。残念ながら、わが家の和室は、そうした先人の知恵はほとんど生かされていないと言っていい。
当然、恥ずかしながら、着物の虫干しも何年もしていない。
一枚一枚選びに選んで着物を揃えてくれたお母ちゃん、ゴメンナサイ。
何とか着物は見つかったが、今度は長襦袢の袖の長さが合わない。大騒ぎをするおばちゃんの一部始終を見ていた父ちゃんが、
「着物って大変だね。当日は暑くなりそうだから洋服にしたら」と言い出した。
けれども、この機を逃したら、今度はいつ着物に袖を通すかわからない。虫干しを兼ねて、ここは着物で通すことにした。
「主役はお嫁さんなんだからね。あんたが気張ってどうするの」
「そんなことは百も承知です。でもね、女たるもの、ここでバシッときめなくて、いつきめるの。誰のためでもない、お父ちゃん、あなたのためなんですからね」
と、喉まで出かかったが、口に出すのは止めた。
「おばちゃん、キレイだよ」
女はいつだって、この言葉を待っているのだから・・・。
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