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朝も早々にナガオ氏が駆け込んできた。
「ウチの外壁、サイディングの目地にヒビが出始めたんだけど、オタクは大丈夫?」
ナガオ氏は偶然にも、わが家とほぼ同じ時期に、同じ住宅会社で家を建てた父ちゃんの同僚である。以来、家のことで何か異変を見つけると、すぐに「オタクはどう?」と情報交換しあう間柄となった。
あわてて外壁を総点検したところ、幸いに目立ったヒビ割れは発見できず、ほっと胸をなで下ろした。「給料は下がる一方だし、手当は軽いうちに済ませておかないと手が出せなくなっちまうもんな」と、男同士慰め合っている。家については女性の方が関心が高いように見られているが、どうしてどうして、殿方の情報網というのも侮れないものがある。
以前、リフォームの見学会で耐震工事について説明を受けて以来、わが家の父ちゃんはどうやら、近年の耐震システムの進化に興味を抱いたようだ。
その時は、単に筋交いで補強するというのではなく、地震の揺れを吸収する制震装置を躯体に組み込む方法で、思わず「これは住宅のロボコックじゃ〜」と叫んでしまったくらいだ。
先日も新聞に、木造2階建てに構造計算を取り入れた耐震住宅工法の広告を見つけると、「おい、これ見てこようよ」と、さっそく座敷がかかった。
どれどれと、まずはインターネットのホームページで同社の耐震住宅工法なるものを検索してみる。こういう時にインターネットは本当にありがたい。ホームページで予備知識を仕入れることが出来るので、行く行かないを決める判断材料にもなるからだ。
検索を進めていくと、「免震システム」という文字が目に飛び込んできた。
免震システムといえば、地震を感知すると建物全体が水平移動することによって地震の揺れを吸収し、家具等の倒壊を防ぐという最新のシステムではないか。いままでは、免震システム=高層ビルという知識しかなかったが、それがオプションで木造住宅にも取り入れることが出来るというのだ。
「時代はここまで進んだか! これはぜひとも行かずばなるまい」と、さっそく最寄りのモデルハウスに出かけることにした。
「こんにちはー。お宅の会社で木造に免震システムを取り入れていると聞いたんですが、見学できますか」
「残念ですが、このあたり一帯は地盤が弱いので免震システムはやっていないんですよ。何かと敷地条件に制約がありまして ・ ・ ・。もし地盤の状態が良いとしても、建物の周囲に十分なゆとりが必要です。建築費も少なくとも2〜3百万は上乗せになります」
どうも営業マン氏の話しぶりでは、まだ、誰でもどこでも建てられるというシステムではないらしい。けれども、家に帰ってさらに他社の動向もインターネットで調べてみると、なんと、耐震、免震に加えて、最近では制震工法なるものも一般住宅用に開発されていると知って、その進化のほどに驚いた。
一方、おばちゃんはといえば、父ちゃんが技術的な話をしている間、ひとり展示場の中を歩き回り、「わーっ、このロール式の網戸、ウチの洗面所の窓にぴったりじゃん」、と身近なお役立ち情報探しに時を忘れてしまった。
家を建ててからは、展示場巡りや見学会とはとんと縁遠くなってしまったが、その間にも住宅は進歩を続けていることを改めて実感。やっぱり住宅展示場は楽しい!
写真:マツムシ草
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