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ぶつくさおばちゃんの独り言
「でも、やっぱり早い方がいい」の巻
エッセイスト ぶつくさおばちゃん

連日テレビのニュースでは、S社のエレベーター事故の話題で夜が明け、日が暮れる。あまりの騒ぎに、今まで見向きもされなかった各地のエレベータートラブルまで微に入り細に入り報道されるものだから、全国のおばちゃんたちは、かなりナーバスになっているようだ。

先日もテレビで、奥様風おばちゃんがマイクを前にまくし立てていた。

「管理会社に電話したら、すぐ行きますって言っておきながら、20分経っても来なかったのよ。20分もよ」
どうやら同じマンション住民が、エレベーターに閉じ込められたらしい。

 それを聞いて思わず、「20分くらいなら待ってやんなさいよ。渋滞に巻き込まれているかもしれないし、救急車や消防車だって20分以上かかるのはざらなんだからね」と、閉じ込められた人が聞いたら、ぶん殴られそうなことをテレビに向かって言ってしまった。「もう、お客様、利用者という立場の人種は人使いが荒いんだから・・・」

ところが、これが我が身のこととなると、思考回路は突然逆回転を始めるから勝手なものだ。実は、前回の屋根の塗り替えに引き続き、フェンス工事の見積もりでのことだ。色々と事情が重なって、隣家との境にフェンスを立てることになった

予想外の出費に財布はスッカラカン。藁をも掴む思いで、今回もまた2社から見積もりを取ることにした。A社は公共工事も手掛ける地元では名の知れた会社。B社はご近所さんからの紹介である。電話をかけると、両社とも翌日すぐにやってきた。もちろん前回の轍を踏まないように、合い見積もりを取ることについては事前に了解を得ておいた。

 A社は営業マンと設計担当者と二人で来て、細かく寸法を測って行った。B社はおじいちゃん社長が一人でやってきた。

 「あのー、ウチとしては、メンテナンスにあまりお金をかけられないんですよね。ですからー、とにかく丈夫で、頑丈で、長持ちするのをお願いします」

 「ほっ、ほっ、ほっ、分かってますよ。あんたが死ぬまで長持ちする、しっかりしたのを作ってやるから」

 と、おじいちゃん社長は、てきぱきと寸法を測り、勘ピューターで必要な強度をはじき出し、翌日には簡単な図面と見積もり明細をFAXで送ってよこした。

 ところがである、本命のA社から1週間待っても見積もりが来ない。「そろそろ電話してみようか」と話していた矢先、やっと営業マン氏が図面と見積もりを持ってやって来た。

 「FAXでいいと申し上げたのに、わざわざ済みませんね。ウチでは商売にならないと見切りをつけられたのかと思いましたわ、ホホホホホ」

 「奥さん、そんなことはありません。でもね、見積もりで1週間というのは常識ですよ」

 ちょっと待ってよ、勉強会で貰った「悪い業者の見分け方」の一項に、見積もりが遅い業者は要注意とあるではないか。1週間が長いのか短いのか、正直なところ素人のおばちゃんには分からない。でもね、それならそれで、事前に「1週間ぐらいかかりますよ」と一言欲しいのよ。先の見えない状態でじっと待たされるのはエレベーターに閉じ込められているの同じで、結構ストレスが溜るのよね。

 一時が万事、その後もA社とは連絡に関するトラブルが続き、お引き取り願った。

 たった1本の電話でいいのに。それで信頼と安心が築けるのにね。残念

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ぶつくさおばちゃん
エッセイスト。雑誌・新聞社、住宅メーカーなどの編集業務に携わり、現在、エッセイストとして活躍。

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