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わずか10cmの隙間が
リフォームの満足度を左右する
ハウジングアナリスト 松下寛光

家事コーナーは、間取りに余裕があれば、ぜひ欲しいと思うスペースではないでしょうか。といっても、家事コーナーはリフォーム動機の主役にはなり得ないかもしれませんが、他の部位をリフォームしたついでに、ちょっとしたデッドスペースの有効活用というかたちで設置されることが多いようです。

マイホーム拝見の取材で伺ったお宅でのことです。その奥様がリフォームをして何が一番良かったかというと、キッチンを改装したついでに設置した家事コーナーだというのです。さっそく見せてもらったのですが、窓際の壁にちょっとしたカウンターが張り出していました。

なるほど、ここに座って家計簿を付けたり、ぼんやり外を眺めるなど、落ち着けるスペースなんだろうと思いました。家事に疎い私としては、その程度のことしか思い浮かばなかったのです。ところが、その奥様は、せっかく取材に来たのに、なぜもっと聞いてくれないのといった顔つきで説明してくれたのです。

そのカウンターは主にアイロン台として使っていること、アイロンや小物を収納できる棚とコンセントが隣接して設置されていること、壁と接しているカウンター部分に10cmほどの隙間が空いていること、などです。

最も肝心だったのは10cmの隙間でした。アイロンがけをした衣服を送っていくと、壁に遮られて、そこに溜まってしまいます。しかし、隙間があることで、スムーズに送り出せるというわけです。なるほど、これは使い勝手がいいに違いない。遅ればせながら、深く納得したわけです。

このアイデアは奥様の発想で、いったん取り付けたカウンターをもう一度取り外し、隙間部分を削ってもらい再び設置したそうです。施工した大工さんもしきりに感心し、ほかの現場でも使わせて欲しいと言っていたそうです。

こうした思い入れがあったせいでしょう、奥様は家事コーナーがすっかり気に入ったようです。こういっては、また奥様にひんしゅくを買うかもしれませんが、わずか10cmの隙間がリフォームの満足度に大きな影響力を与えているといっても過言ではありません。

私と同様、このアイデアに感心した大工さんは、その後どうしているのか気になってしまいます。おそらく、いや間違いなく、ほかの現場でも隙間付きカウンターを薦めて、主婦に喜ばれていることでしょう。ここでも、わずか10cmの隙間で“できる”大工さんと評判を取っているかもしれません。

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松下寛光/まつした ひろみつ
プロフィール
住宅アナリスト 1948年札幌生まれ。住宅産業新聞編集長を経て1993年独立、住宅から森林、環境問題まで幅広いジャンルで評論活動を展開している。プロデュース会社(有)インパルス代表取締役。
インパルス・ハウジング・ネット http://www.impulse.co.jp

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