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思わぬ災いから発想を変えて実現した空中庭園 ハウジングアナリスト 松下寛光

築30年の2階建て鉄筋コンクリート住宅を躯体だけ活かして、他をすべてリフォームした人がいます。こうしたリフォームのことを業界ではスケルトン・リフォームと呼んでいます。最近では中古マンションを購入して、スケルトン・リフォームするという人も増えています。限られた予算で新築物件を購入するとなると、土地価格の比較的安い郊外になってしまいます。それならその予算で、立地条件の良い場所にある中古物件を探し、躯体以外丸ごと新品にしてしまうニーズが出現しているからです。

それはともかく、今回紹介するスケルトン・リフォームは戸建て住宅のケースです。当初、建て替えを検討していたそうですが、30年前のコンクリート住宅はとにかく頑丈にできていました。壁厚は25cmもあります。耐久性という面では何もいうことのない住宅だったわけです。
だが解体する段になると、これが裏目に出て莫大な解体費用がかかることが判明したのです。周辺は静かな住宅街ですから、重機を持ち込んで大きな鉄の玉を振り子にして打ちつけることもままなりません。ましてやアメリカなどで行われている爆破解体などもってのほかです。


そうした事情もあり解体費用が高いのです。相談に乗った工務店は考えあぐんでいる、その人に「これだけ頑丈ならまだ30年は十分使えますよ」とアドバイスしたことがきっかけでスケルトン・リフォームすることになったのです。
その人は、スケルトン・リフォームにすると決めてから頑丈すぎた躯体を最大限活用することに発想を変えました。陸屋根に空中庭園を設置することにしたのです。いわゆる屋上緑化というやつです。


「屋上に設置したビヤガーデンに友人知人を呼んで冷たいビールが飲みたい」。いっとき肩を落としていたのですが、人間発想を変えると元気が甦るものです。
屋上まで通じる螺旋階段を設置。使っていなかった古い井戸水をくみ上げるポンプをモーター式に変えて、屋上庭園の散水に使えるようにしました。
完成後、すぐにビアパーティーを催したことはいうまでもありません。また、屋上緑化の効用で夏場2階の部屋の室温が下がり、すごく過ごしやすくなったといいます。この人を見習って、時には発想を変えてみることも大切ではないでしょうか。

この空中庭園で飲むビールはさぞかし美味しいことでしょう。

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松下寛光/まつした ひろみつ
プロフィール
住宅アナリスト 1948年札幌生まれ。住宅産業新聞編集長を経て1993年独立、住宅から森林、環境問題まで幅広いジャンルで評論活動を展開している。プロデュース会社(有)インパルス代表取締役。
インパルス・ハウジング・ネット http://www.impulse.co.jp

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