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整理のできない人間と収納リフォームの関係 ハウジングアナリスト 松下寛光

●すぐに元の木阿弥になってしまう

リフォームをしたい動機ですが「収納スペースを確保したい」が、いろいろなアンケート調査をみても、かなり上位にきています。どの家庭でも、家の中にモノがあふれかえっている、ということなのです。

そこで、モノを片づけるスペースを確保して、住宅展示場のモデルハウスのようにスッキリさせたいと、誰もが思うのです。しかし、これから収納リフォームを考えている人に水を差すわけではありませんが、たとえ収納スペースを確保しても、スッキリするのは一時だけで、すぐに元の木阿弥になってしまうでしょう。

収納リフォームを決断する前に、自分は日頃からモノを整理するタイプか、整理できないタイプか、そこを見きわめるべきでしょう。もし、後者の場合であったなら、そのリフォーム投資はムダに終わります。

筆者は典型的な後者のタイプです。以前、部屋が雑然としてしまうのは収納スペースが足りないからだと考えていました。そこで、あっちこっちに積んである本を整理するため、知り合いの大工さんに頼んで本棚を作ってもらいました。より収納量を増やすために、棚を2列にし、スライド式の前面の棚を動かせば、後ろの本が取り出せるというスグレモノです。


いやぁー、快適でしたね。まだ空いているところを埋めるために本を買ってきたこともありました。それでも、まだまだ余裕です。

かくして、1年後どうなったと思います。増え続ける本や雑誌で、空きスペースはなくなり、ついついスライド部分にも置いてしまうことになります。そうなると後は“地獄”です。奥の棚にあるであろう本を探すとなると、スライド部分にある本を取っ払い、奥部の探索。それで見つかればまだ救われますが、ないとなると徒労です。崩した本を元に戻す気力などでてきません。

●おまえたちが居座るスペースはない

重い腰を上げて、何度かこうしたことを繰り返しているうちに、スライドする棚が動かなくなってしまいました。何かが引っかかっているようです。「なんだこのやろう、こんな欠陥本棚を作ったヤツは誰だ!」オーバーヒートした頭の中で、知り合いの大工を殴っているのでした。

“もう、こんな生活はいやだ”以来その本棚は放棄されました。捨てていないのでどこかにある本や資料も、なかったものとして対応、図書館に出向いたり、ウエブで探すことになったのです。


こう割り切ってしまうと、精神衛生上もスッキリするというものです。でも、そうなったらなったで、気になる問題が発生してきます。ドデンと偉そうにふんぞりかえっている本と本棚の存在です。「この役立たずが」単に部屋を狭くしているだけじゃないか。

屋敷のように広い家ならともかく、それでなくても狭いわが家、「おまえたちが居座るスペースはないんだよ」と毒づいても、蒔いた種は自分だけに虚しくなるばかりです。


結論。整理のできない人間は収納スペースを増やしてもムダである。

工務店のみなさんもプレゼン段階で、整理できない人間と分かったら、収納リフォームを諦めるように説得してください。少なくとも筆者の場合はそれが有益なアドバイスなのです。それとも、何か天地をひっくり返すような“奇策”があるでしょうか。

いろいろなアイデアが活かされた収納スペース。だが、整理ができる人が使わなければ有効活用できない。

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松下寛光/まつした ひろみつ
プロフィール
住宅アナリスト 1948年札幌生まれ。住宅産業新聞編集長を経て1993年独立、住宅から森林、環境問題まで幅広いジャンルで評論活動を展開している。プロデュース会社(有)インパルス代表取締役。
インパルス・ハウジング・ネット http://www.impulse.co.jp

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