|
先日、私の地元である多摩地区の工務店社長と話していたら「ひと頃、旺盛だった二世帯住宅の需要が、今年に入ってからほとんど聞かれなくなった」というのです。それは、ある程度需要が一巡して、中休み状態なのかと思ったのですが、社長曰く「いや、親世代、子世代とも住まいに対するニーズや認識が、大きく変わってしまった」と分析するのでした。
「ほぉー」と、少し身を乗り出すかたちでその先を聞いてしまいました。まず、子世代ですが、土地価格が下がってサラリーマン世帯でも贅沢をいわなければ、自前で土地を購入できるようになった。さらに、これまた贅沢をいわなければであるが、マンションと同等な価格でちょっとした建売住宅が供給されるようになった。
そんなわけで、親の土地をあてにしなくても土地付き一戸建てのマイホームを持てる状況になったというのです。
一方、親世代ですが、こちらの方が住まい意識がガラッと変わってきたそうだ。新築にしろリフォームにしろ、自分たちの老後を楽しむことを主眼において間取りを決める。一見あたりまえのように思えるが、具体的にはひと頃に比べ相当異なる。
以前であれば「いつか、子供世帯と同居することになるかもしれない(例えば、連れ添いのどちらかが亡くなった場合など)」「孫を連れて子供が遊びに来たら、泊まるところがなければ困る」といった理由で、普段使うことのない部屋を確保したものである。
だが最近は、そうした部屋はムダと割り切り、自分たちの趣味を満喫するための部屋にしてしまうそうだ。孫たちが遊びに来ても、宿泊は近くのホテルを利用してもらうえばいい。それよりも、趣味にもよるだろうが、子や孫に趣味の上達を自慢するなど、コミュニケーションを大切にする傾向が強くなっているようだ。
子世帯は形態が変わっただけで、まだマイホームというスペース確保に躍起であるが、親世帯はいまあるスペースを自分の楽しみのために使う“余裕”を求めるようになってきたのかもしれない。

写真提供:福井和彦
|