外観の色彩は、まちなみを印象づける大きな役割を担います。とくに近年は、「景観法」によってまちなみ調和が求められるようになったこともあり、これまでのように外観の色彩を、作り手のイメージや住み手の趣向だけで決めてしまってはなりません。ともすると、それがまちなみ景観を損なってしまうことにもなるからです。
たとえば、東京・千鳥が淵のイタリア文化会館の建物なども、その1つ。イタリア人デザイナーが和の色をイメージしたという外壁の赤が、周辺環境に不調和だとマスコミにも報じられました。日本をイメージしたという赤でしたが、周辺環境を把握しないでその色を選んだために、騒々しい色「騒色」だと問題視される結果となってしまったのです。
それは、近年流行りの「南欧風のまちなみ」や「イタリアの外観イメージ」なども、同じことがいえます。真っ白の外壁やオレンジ色の洋瓦は、建物単体でみると美しく、あこがれの外観なのですが、長期的スパンでは、結局のところ日本の風土に合わないため、時間経過とともに流行り廃れとなり、飽きてしまうのがオチです。定期的に建て替えや改修していく店舗やオフィスならばまだしも、住宅となると、そんなにしばしば買い替えることはできません。ですから外観デザインには、慎重な計画が望まれるのです。
また外壁を塗り替えるときも、「近所と違う色にして」とか、「我が家だとわかるように目立つ色に変えてほしい」という要望もありますが、これまでのそうした発想が日本のまちなみを壊してしまった要因にもなっています。また、「ベージュの外壁に塗装して」などと言葉で色を伝えると、その色が作り手に明確に伝わらず、違う色に塗られてしまうこともあります。色は、必ず色見本で示して伝えることが大切です。
また、大きな建物の外壁や分譲住宅などのように面積のある色を決めるときは、環境の色彩計画の専門家に依頼することも必要となるでしょう。色の見え方は、場所によって変わります。建物を取り囲む周辺環境の色を測って(測色)、外壁色を決めるという時代です。
実際、私たちが建物の外観色を計画するときは、イメージでは決めません。現地にある色を手がかりとするため、周辺の建物の外壁、屋根、土や樹木の色などを測ります。それらをベースにして、建物の色を計画していくのです。もちろん、外壁の色は同じ色ばかり並んでも面白みに欠けてしまいます。そのエリアに調和する色を前提にしつつ、物件の特徴や個性を打ち出す、リズムとバランスのある外観の色を計画していくのです。
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