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葛西紀巳子のくらし色いろ第19回
和室は日本の風土色
アメニティ&カラープランナー
葛西紀巳子

以前、フランスの女性建築家が日本に来てこんなことを言っていました。「和室は素晴らしい。テーブルを置けばリビングになり、布団を敷けばベッドルームになる。可変自在な和室は、日本独特の文化。素晴らしいアイディアだ」と、絶賛でした。

確かに、洋風住まいのお宅でも、必ずといっていいほど、ひと間だけでも和室をしつらえているものです。けれど最近では、住の形態が徐々に変化して、和室のないお宅が増えているのも事実です。そんなことから今回は、和室の素材と色について考えてみたいと思います

1年をほぼ均等に分ける四季。山脈と海流の地形から高温多湿の気候風土。川と山を望む風景の中で、昔の人は、住空間に独特な工夫と素材構成を考え出したようです。

まずは、その1つ。井草を編んで床に敷いた畳です。そして、壁は土を塗って乾かしたじゅらく壁。天井は柾目の木板。そこに直射日光を遮り、陰りを導く障子。押入れの引き戸は襖。どれも木材と土が原料です。紙ももともとは木材ですから、すべてが有機的な素材です。私たちと同じように呼吸をしているのです。ですから、高温多湿の日本の夏には、木や土や紙が空気中の水分を含んでいき、そうして溜め込んだ水分は、乾燥する冬になって、放出するのです。そう、調湿するエコ素材なのです。

そしてまた、このような自然素材は、年月の経過とともに徐々に朽ちていきますが、その変化が味わい深いエイジングの美をかもし出すのです。しかし、こうした素材も現代の生活の多様化とともに、人工素材に変化しました。それでも、畳のある和室は捨てがたい価値があります。

そうした和室に使われている素材を、色彩の面から見てみると、まず、木肌の柔らかなベージュ色、床は井草のうぐいす色。そして、じゅらく壁は土色といった具合に、どれもがややくすんだ色調ですが、その穏やかな色調が気持ちを落ち着かせてもくれるのです。なぜならそれは、日本の風土がつくり出した自然の素材色だからでしょう。そこに、障子や襖の和紙の白がアクセントカラーとなって空間を凛と引き締めてもいるのです。



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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 葛西紀巳子/かさい きみこ
プロフィール
()色彩環境計画室代表/アメニティ&カラープランナー。心理学専攻後インテリアデザイン、色彩、照明を学ぶ。嶋佐知子氏に師事しインテリアデザインを、ジェリィ・フォリー氏からはカラーデザイン学を学び,1993年独立。1994()色彩環境計画室を設立。住宅、病院、施設、ホテルなどの「快適な環境づくり(内外装)」を心理的+生理的+機能的+美的な視点から理論的、総合的に色彩設計していく。他方、専門家や学校教育における「まちの環境色彩教育」の必要性を提唱・実践中。

ホームページ http://www.sikisai.co.jp

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