昔、高倉 健さん主演の「幸せの黄色いハンカチ」という映画がありました。ラストの空を覆う、たくさんの黄色いハンカチが風になびくシーンは忘れられません。ジーンと胸が熱くなったものです。
それにしてもなぜ、ハンカチは黄色だったのでしょう。どうして、青や赤でなかったのでしょうか。ここでちょっと、分析してみましょう。
1つは、黄色はもっとも誘目性の高い色。目立つ色です。ラストシーンが印象的だったのは、青空とのコントラストが強調されて、視覚的効果的が高まったことでもあります。
もう1つは、黄色のイメージが開放的で元気になる色、ほっとする色だからです。主人公役の健さんの不安な気持ちを、いっぺんに幸せな気持ちにさせるには、青や赤ではなく、やはり黄色がふさわしかったのです。そんなことをふと、思い出しました。
実は以前、「真っ白い壁面の中学校は、まるで以前の病院みたい」と指摘したところ、校長先生から「では、学校のカウンセリングルームにはどのような色がふさわしいか」という相談がありました。不安な気持ちを抱えた生徒のために、真っ白は無機質すぎます。でも、ブルー系では寂しい。そして、心理的に弱っているときに赤では強すぎることもあります。そこで薄いクリーム色を壁の色に使うことにしました。黄色は温もりを感じさせ、元気にする色。陽だまりをイメージします。ルドルフ・シュタイナーの色彩論では、解放する色ともいわれています。そんなことから、カウンセリングルームの壁面を薄いクリーム色にしたのです。
その結果、生徒たちは頻繁に、その部屋に訪れるようになりました。悩みが大きくなる前にカウンリング室にやってくるので、問題が拡大化しません。先生や生徒との交流も深まって、よい関係性が保てるようになったというのです。
これも色の効果です。クリーム色の温もりが、閉ざそうとする気持ちを開放させ、元気にしていくのです。ここでは、壁面だけでなく、木質系の素材やテーブルの形、カウンセラーと子供の腰掛ける位置、壁面にかける絵画についてもアドバイスを繰り返し、会話の弾む空間づくりにつとめました。