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葛西紀巳子のくらし色いろ第26回
清潔感と緊張感の白
アメニティ&カラープランナー
葛西紀巳子

古代日本人は白に対して、特別な思いをもって接していたようです。というのもその時代、真っ白という色は存在せず、身近にある白らしい色は、麻や木綿の生成り色。人々はそれらを水にさらし、もっと白くなるようにと、踏んだり、叩いたりしながら、白に近づけていったというのです。ですから白は、人々の憧れの色。混じりけのない、清らかな色、その穢れのない色は、当時、神様に通ずる色としてとらえていたようです。
白の効果
今でもそのイメージは、私たちの潜在意識に引き継がれていて、たとえば花嫁衣裳が白なのも、身の清らかさ、一途な心を象徴しているからです。また、「白黒つける」「白星、黒星」、「ホシは白か黒か」というのも、勝ち負けや正、悪を色に置き換えて、表現したものなのです。

そして、こうした白のイメージを、活用してきたのがこれまでの病院です。インテリアには清潔感があるからと、壁は白。シーツも白。医者も看護婦さんも白衣を身につけていました。ところが、心理的な側面から考えると、真っ白は緊張を伴う色。だれでも白を着た日は、「汚しちゃいけない」という気持ちが無意識に働くでしょ。ですから、真っ白い空間にいると、ストレスが溜まってしまう。イライラして落ち着かなくなってしまうのです。そのような認識が高まって、病院は次第に白から淡い色調に変わってきたのです。

その一方で、都心の流行りの店舗などには、床も壁も真っ白のインテリアが登場しています。そのようなインテリアを見ていて思うのは、そこで働く人々のこと。そこでの滞留時間が短ければ影響は少ないのでしょうが、長時間働くには心身ともに、きつい空間に違いありません。疲労が溜まってしまいます。

ですから、もしみなさんも部屋でくつろぎたい、リラックスをしたいと思うなら、壁や天井だけでなく、床までも真っ白にするというのは、避けた方が懸命です。もしも、部屋のリフォームなどで、壁面のクロスを選ぶ場合は、真っ白ではなく、是非、オフホワイトや生成り色を選んでください。ちょっとぐらい黄みが強くても、実際の壁面に貼ってしまえば、ほとんど白という認識ですから。むしろそのくらいの色調の方が、緊張感を緩和し、インテリアが優しくなるはずです。 

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 葛西紀巳子/かさい きみこ
プロフィール
()色彩環境計画室代表/アメニティ&カラープランナー。心理学専攻後インテリアデザイン、色彩、照明を学ぶ。嶋佐知子氏に師事しインテリアデザインを、ジェリィ・フォリー氏からはカラーデザイン学を学び,1993年独立。1994()色彩環境計画室を設立。住宅、病院、施設、ホテルなどの「快適な環境づくり(内外装)」を心理的+生理的+機能的+美的な視点から理論的、総合的に色彩設計していく。他方、専門家や学校教育における「まちの環境色彩教育」の必要性を提唱・実践中。

ホームページ http://www.sikisai.co.jp

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