古代日本人は白に対して、特別な思いをもって接していたようです。というのもその時代、真っ白という色は存在せず、身近にある白らしい色は、麻や木綿の生成り色。人々はそれらを水にさらし、もっと白くなるようにと、踏んだり、叩いたりしながら、白に近づけていったというのです。ですから白は、人々の憧れの色。混じりけのない、清らかな色、その穢れのない色は、当時、神様に通ずる色としてとらえていたようです。

今でもそのイメージは、私たちの潜在意識に引き継がれていて、たとえば花嫁衣裳が白なのも、身の清らかさ、一途な心を象徴しているからです。また、「白黒つける」「白星、黒星」、「ホシは白か黒か」というのも、勝ち負けや正、悪を色に置き換えて、表現したものなのです。
そして、こうした白のイメージを、活用してきたのがこれまでの病院です。インテリアには清潔感があるからと、壁は白。シーツも白。医者も看護婦さんも白衣を身につけていました。ところが、心理的な側面から考えると、真っ白は緊張を伴う色。だれでも白を着た日は、「汚しちゃいけない」という気持ちが無意識に働くでしょ。ですから、真っ白い空間にいると、ストレスが溜まってしまう。イライラして落ち着かなくなってしまうのです。そのような認識が高まって、病院は次第に白から淡い色調に変わってきたのです。
その一方で、都心の流行りの店舗などには、床も壁も真っ白のインテリアが登場しています。そのようなインテリアを見ていて思うのは、そこで働く人々のこと。そこでの滞留時間が短ければ影響は少ないのでしょうが、長時間働くには心身ともに、きつい空間に違いありません。疲労が溜まってしまいます。
ですから、もしみなさんも部屋でくつろぎたい、リラックスをしたいと思うなら、壁や天井だけでなく、床までも真っ白にするというのは、避けた方が懸命です。もしも、部屋のリフォームなどで、壁面のクロスを選ぶ場合は、真っ白ではなく、是非、オフホワイトや生成り色を選んでください。ちょっとぐらい黄みが強くても、実際の壁面に貼ってしまえば、ほとんど白という認識ですから。むしろそのくらいの色調の方が、緊張感を緩和し、インテリアが優しくなるはずです。