記録の上では今年、紫式部が「源氏物語」を世に送り出してから一千年なのだそうです。ご存知の通り、「源氏物語」は、世界最古の長編小説。それは平安の都、雅やかな宮中の人々の「もののあはれ」をテーマにした優美で繊細な物語ですが、そこに描かれる気になる色が紫。筆者のペンネームにも使われた色です。それは一般の人々にとって、手に届かないあこがれの色。なぜなら当時は、身分によって使える色が決まっていて、紫は最高位でないと身につけられなかった色、「」とされていたからです。
紫根から染料を採取したという紫の原料は稀少で、それゆえ高価な色となり、しかし、その一方、手に入れられない人々は、いくつかの色を混色して紫をつくりだしてもいます。もちろん、ホンモノの紫とは異なる色。そのせいか紫には、「本紫」という色に対して、「にせ紫」という色名もあるほどです。
ですから紫は、上品にも下品にもなる色。インテリアでは、大きな面積で、はっきりとした色調にすると、扱いが難しいものですが、明度を上げて(明るい色調で)、全面に使うのではなく、寝室の壁の一面だけにその色を使うと、上品で高級感が得られます。また、紫色は、香水などの香りをイメージさせますので、寝室やパウダールームなど、オシャレな雰囲気の部屋には、とても馴染みやすい色です。
小面積のクッションやタオルなどの小物類に使う場合は、類似する色と組み合わせると、組み合わせた色に影響されて印象も加わります。
たとえば、青系と組み合わせれば、すっきりと爽やかな印象になり、ピンク系と組み合わせると、女性的でエレガントな雰囲気になります。紫色は、暖色を組み合わせると暖色になり、寒色と組み合わせれば寒色にもなる中性色だからです。
ところで、紫色をダイニングルームなどに使うのは、避けた方が懸命かもしれません。先ほども述べましたように、紫には香水などの人工的な香りをイメージさせますので、食欲を減退させてしまいます。食事をおいしくいただこうとするならば、食空間に紫色は避けた方がよいでしょう。