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葛西紀巳子のくらし色いろ第32回
防護シートや防護壁の色
アメニティ&カラープランナー
葛西紀巳子

まちを歩いていたり、車窓からの風景を眺めていたりすると時折、工事現場が目に飛び込んできます。それが観光地の中にあったり、美しく連続したまちなみにかかったりすると、楽しみの腰を折られたような気分になり、何だかがっかりしてしまいます。

工事中・つぎはぎシート 現場では安全確保に加え、中の様子が見えないようにと防護壁を立てて配慮しますが、それが鮮やかな色だったり、ときには、あり合わせをかき集めた異なる素材や色のものがツギハギになっていたり、はたまたそこに○○○建設などと自社広告を掲げていたりすると、あぁもう目を塞ぎたくなってしまいます。

シートメーカーのなかには、「養生シートに自社名を入れてPRするには格好の場所」と謳うものもありますが、景観配慮が重要な時代になってきている現在、もう少し発想を変えていく必要がありそうです。

ブルーシート 歴史的建造物の多いヨーロッパでは、修復する建造物の数も多いので、まちのあちらこちらに工事現場があらわれますが、不思議なことにまちなみに違和感はありません。なぜなら現場を被う保護シートには、実物と同じ絵が描かれていて、それがまちなみにしっとり溶け込んでいるからです。修復技術の高いヨーロッパでは、擬似アートも質が高く、本来の風景を損なうことがないように、配慮がなされているからでしょう。

実は絵 それは、建築ラッシュ時のベルリンでも見られました。一見すると、林立した新しいビル群。建設中の建物など見当たりません。しかし、じっと目を凝らして見てみると、それらは絵。そう、防護シートには、そこに建つビルディングの完成予想図が描かれていたのです。

ヨーロッパのこの手法は、住民に対するプレゼンテーションにもなります。実際に建築される現場に建物と同じ高さのシートを張り、そこに、実物さながらの絵を描き、住民はそれを眺めることで、早い段階から景観に馴染んでいくことができます。もしも建物に対する要望や意見、クレームなどがある場合も、完成前にそれらを調整していくことも可能です。景観配慮も視野に入れた、そうしたシートの使い方も参考にすることができそうです。


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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 葛西紀巳子/かさい きみこ
プロフィール
()色彩環境計画室代表/アメニティ&カラープランナー。心理学専攻後インテリアデザイン、色彩、照明を学ぶ。嶋佐知子氏に師事しインテリアデザインを、ジェリィ・フォリー氏からはカラーデザイン学を学び,1993年独立。1994()色彩環境計画室を設立。住宅、病院、施設、ホテルなどの「快適な環境づくり(内外装)」を心理的+生理的+機能的+美的な視点から理論的、総合的に色彩設計していく。他方、専門家や学校教育における「まちの環境色彩教育」の必要性を提唱・実践中。

ホームページ http://www.sikisai.co.jp

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