まちを歩いていたり、車窓からの風景を眺めていたりすると時折、工事現場が目に飛び込んできます。それが観光地の中にあったり、美しく連続したまちなみにかかったりすると、楽しみの腰を折られたような気分になり、何だかがっかりしてしまいます。
現場では安全確保に加え、中の様子が見えないようにと防護壁を立てて配慮しますが、それが鮮やかな色だったり、ときには、あり合わせをかき集めた異なる素材や色のものがツギハギになっていたり、はたまたそこに○○○建設などと自社広告を掲げていたりすると、あぁもう目を塞ぎたくなってしまいます。
シートメーカーのなかには、「養生シートに自社名を入れてPRするには格好の場所」と謳うものもありますが、景観配慮が重要な時代になってきている現在、もう少し発想を変えていく必要がありそうです。
歴史的建造物の多いヨーロッパでは、修復する建造物の数も多いので、まちのあちらこちらに工事現場があらわれますが、不思議なことにまちなみに違和感はありません。なぜなら現場を被う保護シートには、実物と同じ絵が描かれていて、それがまちなみにしっとり溶け込んでいるからです。修復技術の高いヨーロッパでは、擬似アートも質が高く、本来の風景を損なうことがないように、配慮がなされているからでしょう。
それは、建築ラッシュ時のベルリンでも見られました。一見すると、林立した新しいビル群。建設中の建物など見当たりません。しかし、じっと目を凝らして見てみると、それらは絵。そう、防護シートには、そこに建つビルディングの完成予想図が描かれていたのです。
ヨーロッパのこの手法は、住民に対するプレゼンテーションにもなります。実際に建築される現場に建物と同じ高さのシートを張り、そこに、実物さながらの絵を描き、住民はそれを眺めることで、早い段階から景観に馴染んでいくことができます。もしも建物に対する要望や意見、クレームなどがある場合も、完成前にそれらを調整していくことも可能です。景観配慮も視野に入れた、そうしたシートの使い方も参考にすることができそうです。