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高齢社会に突入し、私のところでも施設の色彩設計が多くなりました。というのも、加齢による視覚機能に変化が生じ、色の見え方が変わることが一般にも認知されはじめたからでしょう。
というのも本来、目の中の水晶体や角膜は無色透明ですが、長い間浴び続けた紫外線の蓄積によって、目の中に日焼け現象が起こり、青や紫などの色が識別しにくくなるからです。
すでに経験から記憶されている色、例えばりんごの色などの場合は、生理的に「赤」と知覚できなくても、「りんごは赤い」などと心理的に補正されるので問題は少ないのですが、そうした関連づけがしにくい色などは、誤認を生じることも出てくるようです。そうなると、段差や手すり、サインなどのように安全性に関わる部分の色彩設計が重要になってきます。このように、安全性を促すところでは、明度の差をつけてコントラストを明確にすることが必要です。
また、高齢者は、グレア(ぎらつき)にも敏感です。ですから、床材にはガラス素材やPタイルなど光沢のあるものではなく、ぎらつきを抑えた素材を選びます。さらに、高齢者の目には、若者よりも高い照度を必要とします。一般には、およそ2〜3倍の照度が必要といわれますが、単純に照度をあげてしまうと、今度は、まぶしさを伴います。高齢者の住環境では、壁面を明るく照らすようにし、壁の色も反射率の高い明るめのものを選ぶと、部屋全体が明るく感じられ、同時に空間に広がりもでてきます。
また、夜間のトイレ移動のための照明としては、足元灯が有効です。片側の壁面に、一定感覚で連続させると、誘導効果が高まります。トイレ前の照明も、ウォールウォッシャーランプなどで、建具を照らすとその部分が浮き立って、わかりやすくなるかもしれません。 |