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新・快適生活図鑑 第12回
住む人の心をつなぐリフォーム

建築家 児島敬子

今回で12回を迎えるので、その区切りとして、リフォームのすばらしさ、またリフォームかかわる住み手と作り手の姿勢について書いてみようと思います。

リフォームは、これまでの家族の生活の歴史の上に、これからの新しい生活の歴史を刻みやすいように、生活の場を修正することであり、古くなった壁紙を張り替えたり、壊れた扉や部材を取り替えたりする修繕とは、少し性質の異なるものだと思うのです。

「温故知新」これまで生活をしてきた人達が残してくれたものに触れ、その人達の思い、生き方や暮らし方を知り、それを引き継ぎ、新しい生活の中により良い形で活かしていく。

そういう心の温もりを育てる生活の場をつくり、その積み重ねた歴史を次の世代に伝える。

そのようにリフォームとは、その家に暮らしてきた人々と、これから暮らす人々の心が、より良い形でつながっていくように、生活の場を修正する作業であるべきかと思うのです。

日々暮らす場所が、機能性は勿論、体質や精神にとって快適であるか否かで、住む人の心は豊かにも貧しくもなるのです。ましてその場所が、暮らすのに快適なうえ、長年積み重ねたいろいろな人の思いに触れることができる場所であれば、心はより豊かになるだろうと思います。

建築家は、機能性も含め丈夫で長持ちする家を設計するのは当然の仕事です。が、それに劣らず、そこに住む人の心地よい場所をみつけだし、その場所を作るために、素材・大きさといった具体的なものや寸法を与え、光や風等を考慮し、全体としての秩序が存在するように、それらを配置、構成することがとても重要な仕事だと思うのです。

「家作りは、住む人にとって己を見つめる、自己発見の作業である。」と言われています。が、家作りは家を作る人にとっても、住む人の人となりを知る作業であるはずです。住む人の育ってきた生活環境・精神風土・嗜好感覚・体質・生活実態等を熟知しようとする真摯な姿勢がなくては、住む人の心地よい場所を見つけ出す事はそう簡単にできるものではありません。

殊にリフォームは、今までの生活の歴史の上に、新しい生活の歴史を刻みやすいように家を修正するのですから、住む人の人となりだけでなく、家の構造、家の歴史、またそこに暮らした人々の思いや生き方までも、住む人と一緒になって真摯に考えなくてはなりません。

これからを暮らす人のために、何を捨て、何を残し伝えるのか、また何を加え、心地よい場所にするのか。そして全体としての秩序はどうすれば構成できるのかを考えなくてはなりません。これはかなり大変な作業です。

しかし、長年積み重ねた家の歴史や、暮らしてきた人達の思いや生き方にまで思いを馳せ、新しい秩序のある心地よい場所を造ろうという真摯な姿勢がなくては、人の思いや生き方までを、次代の人に伝える、「住む人の心をつなぐリフォーム」はできないように思うのです。また同時に古き良きものを新しい生活の中に生かすこともできないように思われます。

そしてこの住む人と作る人の大変な共同作業によってはじめて、味わい深い、秩序ある心地よい場所が生み出されるのではないかと思うのです。

フランスの建築家ル・ゴルビジェは、建築家の仕事について、著書の中で次のように述べています。

「住宅は沈思黙考のための場でもあり、そこに美が存在し、人間にとって欠くことのできない静逸を心にもたらす場である。したがって住宅はある種の精神のためには美の感覚をもたらす場であるべきである。そして建築家の仕事は、この住宅にとってほんとうに重要な目的の場を作ることだ」と。

心に静逸をもたらす、精神のための美の感覚は、家にかかわるいろいろな人の真摯な心のふれあいの中で生まれるのではないのでしょうか。

我々家を造ることにかかわる人間は、こうした姿勢で、リフォームを考えていかなければならないのではないかと思うのです。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 児島敬子
プロフィール
デザイナー・建築家。1983年にトータル・ライフコーディネートスタジオ「ZAZA」を開設。1988年、ヒューマンスケールで考える住環境設計を加え、インテリア建築デザイン事務所「ZAZA―YOU、CO」を設立。家が「ゆったりと豊かな時を過ごせる心のすみか」となれるスペース作りを目指し活動を続けている。著書に「インテリア製図の描き方」など。
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