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プライバシーとリフォーム 
その4
ゴシック建築のバットレス手法でプライベート空間
住宅ジャーナリスト・岡田 憲治

●バットレスとは補強の壁

バットレス(buttress)とかフライング・バットレス(flying buttress)という言葉を知っていますか。専門用語なので、あまり耳にはしないかもしれません。バットレスというのは、控え壁と訳されていますが、建物を補強するもう1つの壁のこと。フライング・バットレスは飛控えと訳していますが、バットレスの壁の上に架けられた梁のようなものです。この建築技術は教会堂などゴシック建築の構成要素の1つです。ノートルダム大聖堂でもこのバットレスやフライング・バットレスが見られます。

この建築手法が日本でも流行っています。1999年に三井不動産が分譲地で導入したのがきっかけですが、南欧風のデザインの分譲地でよく見かけるようになりました。

家が大きく見えたり、また室内と外部の空間の中間空間ができるため、園芸を楽しんだりとテラスのような使い方ができるのが特徴でしょうか。

もう1つ、壁を設けることで、園芸をする姿も見え隠れすることでプライバシーの確保にもなるのです。プライバシーを保ちつつ空間を広がられるということで注目されたのです。

●耐震補強をしつつ、くつろぎの場を創出

この手法をプライバシー・リフォームにも活用したもの。

建物の外側にプライベートな空間をつくりたいのだが、テラスではおおげさ、サンルームのようなものでは人に見られるといったとき、壁の位置を工夫しつつ目隠しをして、フライング・バットレスで雨や陽射しの対策をしていきます。

チェアを置いてくつろぎの空間、読書をしてもいいでしょうし、昼寝をしてもいい。また、趣味の広間としても使えるでしょう。庭いじりの場というのももちろんのこと。玄関の前に壁を設けて、ちょっと目隠し、覗かれたくない個室の前というのもあるでしょう。

東洋エクステリアが「自然浴生活」という提案でこのフライング・バットレスを取り入れた「スカイエール」という商品を出しています。エクステリア空間をどう工夫するか、参考になるでしょう。ホームページはこちらを見てください。

http://www.tostem.co.jp/webcatalog/toex/skyar/index.html

バットレスとフライング・バットレスの手法をリフォームで活用すると、プライベート空間が作り出せるとともに、建物の耐震補強もできるということ。プライベート空間と耐震補強を同時に考えるなら、この手法を取り入れてもいいかもしれません。

写真:東洋エクステリア提供

●壁ががらくた隠しになる心配も……

でも問題点もいくつかあります。敷地が狭いと建物の外側にプライベート空間を作ろうといっても難しい。いや、そういう狭小な敷地だからこそプライバシーを考えたいのですが、その余裕がないのですね。

そんなときは思い切ってフェンス、ブロックを取り払って、敷地ぎりぎりのところから工夫してみてはどうでしょう。思い切った空間活用が斬新なデザインになるかもしれません。

目隠しになる壁を設けることで、そこに物置を置いたり、がらくた集積場になるおそれもあります。目隠しのこわさがここにあります。なんのためにゆとりの空間をつくったのかとガックリ!

そうしないためにも、家族でしっかり目的を確認しつつ、毎日片付けをする努力が大切。ゆとりは努力なしには生まれないのです。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 岡田憲治
プロフィール
住宅ジャーナリスト・NPO法人埼玉住まいの情報ネットワーク代表。辛口『野次馬住宅時評』を発行。著書に『住宅のお値段・原価の秘密』『住宅業者の良し悪しがピタリわかる本』『住まいたちの半世紀』など。近著『昭和の住まい学』。

http:// www.tcat.ne.jp./~yajiuma/
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