紫式部が「源氏物語」を書いた平安時代の貴族の住まいとプライバシーを覗いてみよう。「源氏物語絵巻」や「紫式部日記絵詞」をみると、外部の仕切りは、格子を上げて、御簾(みす)を巻き上げていたり、御簾越しに男女が対座している光景が描かれたりしている。この格子、蔀戸(しとみど)というが、昔の外壁というのは簡単なつくりだ。
内部はどうかと絵巻に描かれている土御門第の寝殿でみると、唐絵の障子があって、板敷きの間には屏風が立てかけられている。その屏風の横に紫支部と中宮彰子が座って巻物を見る。中宮は簾を巻き上げ、几帳(きちょう)を立てかけた、ちょっと奥まったところにいる。
几帳というのは土居という台に縦横に木を立てて、横木に絹などでつくった帷(かたびら)を掛けるもの。席を仕切ったり、人目を遮ったり、風を防いだりする簡易間仕切りである。大きさは3尺や4尺の几帳もあったという。スクリーンやカーテンと同じようだが、秋草を描いたりと四季折々のデザインに凝っている。