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プライバシーとリフォーム 
その10
紫式部と平安貴族のプライバシー
住宅ジャーナリスト・岡田 憲治

●「源氏物語絵巻」を見ると・・・

紫式部が「源氏物語」を書いた平安時代の貴族の住まいとプライバシーを覗いてみよう。「源氏物語絵巻」や「紫式部日記絵詞」をみると、外部の仕切りは、格子を上げて、御簾(みす)を巻き上げていたり、御簾越しに男女が対座している光景が描かれたりしている。この格子、蔀戸(しとみど)というが、昔の外壁というのは簡単なつくりだ。

内部はどうかと絵巻に描かれている土御門第の寝殿でみると、唐絵の障子があって、板敷きの間には屏風が立てかけられている。その屏風の横に紫支部と中宮彰子が座って巻物を見る。中宮は簾を巻き上げ、几帳(きちょう)を立てかけた、ちょっと奥まったところにいる。

几帳というのは土居という台に縦横に木を立てて、横木に絹などでつくった帷(かたびら)を掛けるもの。席を仕切ったり、人目を遮ったり、風を防いだりする簡易間仕切りである。大きさは3尺や4尺の几帳もあったという。スクリーンやカーテンと同じようだが、秋草を描いたりと四季折々のデザインに凝っている。

●衝立、屏風、几帳、障子などが暮らしの仕切り道具

衝立、屏風、几帳、障子などが平安時代、寝殿造りと呼ばれる貴族の住まいに使われたプライバシーの道具。これらは障屏具と呼ばれ、可動式の仕切りである。

こうした障屏具が固定されて襖となり、さらに壁がつくられていくという進化論のような話もあるが、固定化された壁が生まれて人の暮らしが進化したのかどうかというのはわからない。

壁で囲まれた現代の暮らしより、紫式部が生きていた時代のほうが、人間関係は風通しがよさそう。衝立、屏風、几帳、障子など使って、「ちょっとごめんなさい」とヒソヒソ話。
なにかおおらかである。

それは大空間の魅力があるからだろう。大きな空間があれば障屏具でも気分は晴れやかなのである。

そうした気分がリフォームで壁を取って広い空間にするという行為につながっている。広い空間にしたら、そんなとき、紫式部の頃を思い浮かべ、衝立、屏風、几帳、障子などを採用してみてはどうだろう。これも悪くはない。

でも、大空間にするとき、大事な柱を切らないでね。

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住宅ジャーナリスト 岡田憲治 岡田憲治
プロフィール
住宅ジャーナリスト・NPO法人埼玉住まいの情報ネットワーク代表。辛口『野次馬住宅時評』を発行。著書に『住宅のお値段・原価の秘密』『住宅業者の良し悪しがピタリわかる本』『住まいたちの半世紀』など。近著『昭和の住まい学』。

http:// www.tcat.ne.jp./~yajiuma/
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