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「シロアリの防除は高いか安いかは置いておき、これはやらないとダメでしょ」と妻のB子。
「いや、そうとも言えない」とO氏。
「この間、ある住宅会社の人に話を聞いたら、シロアリ、薬剤を使うなんてとんでもない、柱にツバでも醤油でもつけとけばいいんです。そう言うんだ。薬剤を使っても効果は疑わしいし、そもそも床下の環境を良くしておけばシロアリは近づけないと言うんだな」
O氏は素直な人であった。だから、東にこういう意見があればウンウンと頷き、西に違う意見があってもオーオーと頷いた。このときは住宅会社の人の話が耳にいっぱい入っていたのである。
ウーンと暫し、沈黙の時間が続いた。
「よーし、結論がでないね、次にいこう」とO氏の息子。O氏に似て、かるい感じだ。だがO氏は「何が次にいこうだ。結論は出す」と言った。
「まあまあまあ、次いこう」とB子も言う。みんなかるい家族なのであった。
「シロアリの巣の根絶だけど……」
「そう、これもね、ある人がこう言う。床下にシロアリが近づかなければいいわけで、殺す必要はない、それに殺すと言っても世の中からシロアリがいなくなるわけではない。そんなことはムダですと。この人、環境にうるさい人なんで信憑性のある発言だなー」
O氏はそう言う。
「そうだ、イラクの戦争も同じだ。テロを根絶させると言っても力で押さえつけてもだめでしょう」と息子。
シロアリとイラクの戦争。深いなー、哲学的だなーとO氏は感心する。そして、
「いい意見だ。シロアリ撲滅反対。これはやらない」
と言った。すると、B子も「19万円消えるわけね。賛成」と喜び、かくしてシロアリ巣の根絶は消去された。
さて、もう1つ、竹炭を敷くかどうかが論議された。テレビなどでも炭の効果など放映されていて、炭に対しては入れてもいいかなーと思うO一家なのであった。だが、ちょっと待て、と一声かけたのはまたしてもO氏。
「先日、炭について勉強してきました。炭ならばなんでもいいというわけではないようです。竹炭と木炭に霧吹きでシューと水を吹きかけたところ、どうです竹炭は水滴が垂れているでしょ、吸収が遅いのです、と言っていました。なるほどと感心したんです」
「ということは竹炭はダメで木炭ならいいということになるのだろうか。備長炭は」
と息子。するどい、とO氏はほめた。
「どうもね、あれがいい、あれが悪いとは一概に言えないようですね。木炭も種類によって違ってくるようだし……」
「ということは……」
「私にはわかりません。業者それぞれ自分の製品だけがいいと言っているので」
わからないもの、不安なものは「持たず」「作らず」「買わず」と非買3原則がO一家の信条だった。だから結論は早かった。
「これは取り止める」
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