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(横浜市金沢区)
国産小麦100%、自然酵母で焼き上げました横浜市金沢区は、鎌倉時代には幕府隣接の港町として栄え、歌川広重の名所絵「金沢八景」でも知られています。金沢文庫駅の海手には、広重の「称名晩鐘」に描かれた、北条実時ゆかりの名刹「称名寺」があります。三方を山に囲まれた境内には、樹齢八百年をこえる大イチョウが茂り、極楽浄土を表した広大な庭園が広がります。駅名の由来ともなった「金沢文庫」は、この境内にある鎌倉時代から続く図書館で、徒然草で知られる吉田兼好も利用したと伝えられています。
この金沢文庫駅の近くに、「パンノオト BAGEL」という、国産小麦100%と天然酵母にこだわった、おいしいパン屋さんがあると聞いて出掛けてみました。 「金沢文庫」駅は、横浜駅から京浜急行線に乗って16分、品川駅からは約33分。駅の西口を出て笹下釜利谷道路を進み、釜利谷交差点を左に曲がったすぐのところにお店はありました。駅から歩いておよそ15分です。
店内も手づくり感を大切にしましたお店は古い木造2階建家屋の1階です。サイディングの白い木の壁が目を引きます。ドアを開けると、お揃いのハンチング帽がお似合いのオーナー夫妻が迎えてくれました。
以前はカメラマンをしていたというオーナーの葭谷秀哉さん。天然酵母を使ったパンづくりの奥深さに魅せられ、奥さまの温子さんと2004年7月にお店をオープン。2010年9月に釜利谷への移転を機に、ベーグルのお店としてリニューアルオープンしました。
外壁と同じ白で統一された店内は、決して広くはありませんが、清潔で、どこか懐かしさを感じます。見上げると、黒い梁や2階の構造部分がそのままむき出しになっています。 天井から吊り下げられた傘電球もレトロで、遠い昔にタイムスリップしたようです。
「この建物は築50年ほど経っていますが、自然素材で手づくり感のあるお店に仕上げたかったので、既存の部分を生かしながら、壁の珪藻土や梁の塗装など、自分たちで出来るところは出来るだけ二人で仕上げました。お店にいらしたお客さまには、店内の雰囲気も一緒に楽しんでいただけたらと思っています」
食べた人の記憶に残るパン屋さん
対面式の棚の上やケースの中には、お店の名前にもなっているベーグルをはじめ、山型食パンやスコーン、フォカッチャなどが並んでいます。
「パンノオト BAGEL」というお店の名前、どんな想いでつけられたのか聞いてみました。 「パンノオトは私たちが作った造語です。パン+ノートで、パンノオト(パンノート)です。ノートに記録することで記憶に残っていくように、パンを召し上がっていただいた方の記憶に残るようなパン屋になりたいと名づけました。実は掛詞にもなっていて、焼きたてのパンがぱちぱちとはぜるような「パンの音」の意味もあるのです」
奥のパン工房も見せていただきました。ちょうど山型食パンが焼き上がったばかりで、良い匂いがします。でも、今まで知っている甘いバターの香りとはちょっと違います。
「バターや砂糖を入れると、釜に入っている時から甘い匂いしかしないのですが、この店の山型食パンは砂糖もバターも卵も入っていないので、小麦の焼けている匂いしかしません。例えれば、お米が炊けたときの匂いと通じるところがありますね」
さっそく焼きたてをいただきました。外はぱりっと、中はふっくらしっとり。口に入れると自然な小麦の味がします。
「焼きたても美味しいですが、次の日の方が適度に水分も抜けて、トーストして食べるとさっくりとして、とても美味しいですよ」
もっちり、むっちり、国産小麦の本当のおいしさを伝えたい
お勧めのベーグルもいただきました。ベーグルという名前は、馬の鐙(あぶみ)に似た形から付けられたとか。パン生地を成形し、一度ボイルしてから天板に乗せて焼くという作り方も、他のパンとはちょっと違います。
手のひらに載せると、ずっしりとした重さがあります。一口食べると、もっちり、むっちりとして、噛むほどに小麦独特の甘みが広がります。これまでの固いイメージのベーグルとは味も食感も違います。若い女性客が遠くから買いに来るという理由が分かりました。
そのままでも美味しいのですが、お手製のポテトサラダを挟んでいただいたら、1/2個でも十分すぎるほど食べ応えがありました。
このもっちりとした食感は国産の小麦を使っているからだそうです。
「私たちが国産小麦にこだわる一番の理由は美味しいからです。ここをベーグルのお店にしようと思ったのも、国産小麦の特徴を一番引き出してくれるパンだと思ったからです。日本の小麦の本当のおいしさを知ってもらい、少しでも消費が増えるように、小さな応援をしたいという気持ちもあるのです。いずれは食育を兼ねたパンづくり教室も開きたいと思っています」
ご主人に、おいしいパンの食べ方を聞いてみました。
「それは多分、家族みんなで笑顔で食べるのが一番おいしい食べ方だと思います。この店を始めるときも、最初に浮かんだのが家族団らんのイメージでした。ですから、この店には食事のためのパンがほとんどです。ご飯と同じように、家族で食卓を囲みながら食べてもらえたら嬉しいです」
シンプルだけど毎日食べていても飽きない、それでいて食べないと何か物足りない、ご飯のようなパンを作りたいと話す葭谷さん。パンづくりにも、お店づくりにも、こだわりを詰め込んだ手作りならではの味わいがありました。
構造補強とともにレトロな雰囲気を大切に
この「パンノオトBAGEL」をリフォームしたのは横須賀の有限会社佐野工務店。葭谷さんが作るパンのファンで、お客さま宛の「すまい造りメール」でも、たびたび取り上げています。
お店の外観は、ご夫婦がこれまでに撮りためた写真の中から、昭和初期の頃の建物を参考にデザインしたそうです。築50年ということもあり、基礎や柱の補強をする一方で、既存の部分も出来るだけ残しながら、手づくり感とともに、当時の懐かしい雰囲気づくりを大切にしています。
夕暮れ時、お店の電燈にあかりが灯りました。「ご飯ですよ、もうお家に入りなさい」というお母さんの声が聞こえてくるようです。
| 店 名 | パンノオト BAGEL |
|---|---|
| 所在地 | 〒236-0042 横浜市金沢区釜利谷東6-1-20 |
| 電話&FAX | 045-786-0141 |
| ホームページ | http://www.pn-bagel.com |
| オープン | 2010年9月17日 |
| 営業時間 | AM10:30~PM6:30 |
| 定休日 | 月曜日 |
| 建 物 | 木造2階建 |
|---|---|
| 延床面積 | 約53.62㎡ |
| 工事面積 | 約40.39㎡(1階部分) |
| 設計・施工 | 有限会社 佐野工務店 |
| ホームページ | http://www.sano-k.net/ |
| 所在地 | 〒237-0068 神奈川県横須賀市追浜本町1-25 |
| 問合せ先 | TEL 046-865-4010 FAX 046-865-6139 |