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リフォームかわら版
その1
「湘南スタイル」ってどんな家?
 メンテナンスはしやすいの?
ゲスト 大木竜二 氏
株式会社コア・ハウズ 専務取締役
                 
司 会 岡田憲治
住宅ジャーナリスト 

憬れの「湘南スタイルの家」って、どんな家?

○岡田 最近、雑誌などで「湘南スタイルの家」というのがクローズアップされているようですが、具体的にどのような住宅スタイルを言うのですか。

○大木 工務店によって考え方は多少違うかもしれませんが、ここ湘南地域でよく見られるのは、外観は白いモルタル壁でナチュラルな感じの建物が多いですね。内装も白が中心ですが、木肌をそのまま生かした無垢の木もよく使われています。間取りでは若いご夫婦が子供さんと一緒に遊べるようなプランが多く、対面キッチンにして子供の様子を見ながらお母さんが台所仕事をしたり、ウッドデッキを作って、休みの日にはお父さんと子供が庭で遊んだりといった感じでしょうか。

僕の場合は、木を使った外観とウッドデッキのある家を基本スタイルとしています。それと、湘南は海や山に囲まれた自然の豊かな場所ですから、そうした環境にふさわしく、内装にも自然素材を多く取り入れるようにしています。

 あとは、湘南はサーファーが多いので、海から帰って来てそのままウエットスーツが洗えるように、屋外にシャワー設備を取り付ける方も多いですね。サーフィンの板やバーベキューセットなど、アウトドア用の道具を置く倉庫をセルフビルドする人も結構います。

○岡田 湘南スタイルの家を建てるのは、やはり若い人たちですか。

○大木 大体、30代から40代の方が多いですね。

○岡田 湘南といった場合、エリアはどの辺りまでを言うのですか。

○大木 大磯から葉山、あと横須賀の一部といったところでしょうか。

○岡田 茅ヶ崎に行ったら、向こうの方の人たちは、厳密には東海道線の線路を挟んで海側を湘南と呼んで、1号線から向こう側は湘南じゃないと言っていましたが、そういう区分けが昔はあったようですね。

○大木  その辺はよく分かりませんが、やはり海に近くないとね。アルーカーのビーチクルーザーに乗って気軽にサーフィンの板を持って波乗りに行けるような。やはり、自転車やバイクに乗って10分から15分位で行ける距離じゃないでしょうか。

○岡田 今のような湘南スタイルの家というのは、いつ頃から定着してきたのですか。

○大木 5〜6年前でしょうか。その前はごく普通の家です。湘南スタイルの家を取り上げた雑誌の影響も大きいと思います。雑誌で見た湘南スタイルの家に憧れた人たちが、埼玉、群馬、栃木などからも移り住んで来ています。

○岡田  開放的な空間づくりも、今の湘南スタイルの家に通じていますね。

○大木 室内を開放的にしてテラスやデッキを作る。こうした空間を通して家族が孤立しないように工夫されている。だから基本的には2LDKが多いです。子供部屋も今はあまり作らなくなりましたね。予備の部屋はありますが。


気候風土が住スタイルを創る

○岡田  海が近いけれども、潮風対策はどうしていますか。

○大木 まず鉄はダメですね。自転車も錆びるくらいですから。洗濯物も乾きにくいです。だから僕は出来るだけ木を使うようにしています。ただ、木は半永久的ではないので、ウッドデッキもそうですが、定期的なメンテナンスが必要です。

逆に、湘南スタイルの家を建てたいという方は、本当にこういう家が好きで、海が好きで、みんなDIYが好きなんですよ。だからメンテナンスも大体は自分たちでしています。

○岡田 以前、この辺りの工務店を取材した時に、海の近い所に家を建てるもんじゃないと言われました。散歩をしながらぐるっと回って海に出られるくらいの場所が一番いいんだよって。

○大木 僕は逗子に30年以上住んでいるけれど、やはり一歩奥に入った方が絶対にいい。それでいて歩いて海に行ける範囲。子供が海水パンツのまま浮き輪を背負って海に行き、帰りもそのまま歩いて来て、自分の家のお風呂に直行出来る距離ですね。

そういえば、この辺りでは皆さん犬を連れて海岸を散歩している方が多くて、犬を介してみんな仲良くなるんです。そうしたことも全部ひっくるめてライフスタイルになっているのが湘南なのかもしれません。

○岡田 傾斜地に建っている家も多いですね。

○大木 湘南スタイルの家を建てたいというお客様を見ていると、全部が新築というわけではなく、わざと古い建物を探してきて、それっぽくリフォームされる方が2割くらい。あと、ちょっと変わった建物を建てたいからと、最初から傾斜地を狙っている方が1割くらいいます。

一般に傾斜地は安いと思われているようですが、基礎工事にお金がかかるので、結局は平地に建てるのと金額的には同じです。

でも景色の良さに憧れて家を建てる人はいますね。ただ、大きな車が入らないとか、不便さはあります。それと買い替えの時は土地の価値が低いので大変だと思います。

一番気をつけなければ行けないのは、やはり地盤の問題と湿気の問題です。雨が降れば、しばらくは水が出ますから。

○岡田 リフォームでも湿気対策には気をつかうでしょう。

○大木  やはり押し入れなどは、石膏ボードとビニールクロスを貼ってお終いというのではなく、調湿性に優れた健康素材を使うなどして対応しています。


湘南スタイルの家はメンテナンスが鍵

○岡田  ウッドデッキを作るときの注意点はありますか。

○大木 見た目はいいけれど、耐久性の面から言うと、もって10年、15年ですね。どちらかというとバルコニーの方が耐久性はあるのですが、やはり見た目の質感とか、リビングのフローリング床の延長で、裸足で歩けて、洗濯物を干したり、バーベキューをやったり、子供と遊んだりできるウッドデッキの方が人気はあります。ですから、お客様には最初にきちんお話するんですよ。1年に1回は必ず塗り替えをしないとダメですよと。

○岡田 湘南スタイルの家というのは、どうやらメンテナンスが重要なポイントですね。

○大木 外壁のペンキ塗装も潮風があるのですぐダメになります。鉄板葺きの屋根も塗り替えは早くて3年だと思います。僕の家は5年に1回、屋根から壁まで全部塗り替えます。だから築45年経っていますが、傷みもなくしっかりしています。

○岡田 予算の都合もあるだろうけど、メンテナンスはちゃんと考えなきゃいけないね。

○大木 お金がある方は、電話一本で業者さんが来てくれるけれども、それだとウチは儲かりますが、つまらないじゃないですか。やはり自分たちの家は自分たちでメンテナンスをして欲しいですね。

○岡田 この辺りは雨の量はどうですか。

○大木  雨は少ないですが、台風が凄い。目の前が海ですから。思わぬところで風が強く吹いていたり。今日は凄く風があるなと思って現場に電話すると、まったくそっちは風がなかったり、そういうこともあります。屋根の形状も風向きをよく考えないと雨漏りの原因になります。


既製品はひと手間かけるが湘南風

○岡田  本当に大事なことは、湘南スタイルと言っても、見た目だけでは本物じゃない。土地の風土や地形にあった建物を作っていかなければダメだと言うことですね。

○大木 地元の気候風土に合わせて、なお且つ、ワンポイントを入れてあげる。隠し味じゃないですけれども。やはりお金をかけた家なので、個性を出したいという気持ちが皆さん大きいわけです。
ただ、予算や手入れのしやすさを考えると、キッチン設備なども既製品に落ち着くことが多いので、そこで見せたくない部分に板を使って上手く隠しましょうとか、扉だけ無垢の板を貼りましょうとか、そういった提案をさせて頂くわけです。
既製品を使っても、ちょっとポイントを変えるだけでも個性的になりますから。例えばシステムキッチンに付いている水栓を、自分で気に入ったものを買ってきて付け替えるとか。毎日使うところですから、それだけでも満足感が違います。

○岡田 既製品も見直して、ワンポイントだけ変えて手作り感を出す。そういうやり方もあるんじゃないかと。

○大木 いわゆるセミオーダー感覚です。価格も安いし、それにメーカー製品には保証が付いていますから。アルミのバルコニーも本体は腐りにくいですから、手摺りのところに木を貼って見た目を良くするとか。そうしたアイデアや手間をかけることが大事だと思います。

○岡田 本物の湘南スタイルの家は、自然素材を使ったら手間もかるしお金もかかる。そこを覚悟しないとダメなんだろうね、本来は。

○大木 そこで出て来るのがセルフビルドなんですよ。お金をかけないで、時間があるときに家族で少しずつ作っていきましょうと。そうすると愛着も湧きますしね。

○岡田 なるほど。今日は、ありがとうございました。


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